ねらわれた学園   (眉村卓著)             


 中学生の頃、夢中になって読んだ本である。一週間前に書棚の奥から出てきた。東京の古本屋で買ったので
あると思う。
 薬師丸ひろ子さんのアップの表紙のものである。裏が白いスタンドカラーのシャツの薬師丸ひろ子さんの写真。
 私は中学生の頃、このスタンド・カラーのシャツが欲しくて、街中の百貨店を探し回ったものである。ついに、某
スーパーの衣料品のお店で見つけた。その時の感激は今も忘れない。
 
 眉村卓先生の、角川文庫からの版は絶版になったことを知ったのだが、講談社の青い鳥文庫からは出版されているのである。 
 それを知ったのは昨日である。眉村卓先生の『ねらわれた学園』、しかも薬師丸ひろ子さんの写真の本だ。
これは、プレミヤが付くだろうと思っていたら、ネットの古本屋のコーナー判で押したように1円だったのだ。
だって市立図書館で探したけどなかった本なのに・・・

 私は中学一年生の頃、異性よりも、超能力のほうに関心があった。『ムー』という雑誌にはまり、ESPカードも
購入し毎日、透視(クレヤボヤンス)の訓練をしていた。超能力者になりたい。ただその一念だった。

 本の話しに戻ろうと思う。
 英光塾の実質の力を得た、京極と言う青年が、(彼は未来社会から来た)秩序と、規律を作り出そうと或る
中学の生徒を集め、その塾生である、(超能力を得た)高見沢みちるが今回のこの小説に出てくる中学の
生徒会長になる。そして、校内パトロールを組織し、校内の規律、秩序を守ることをうたいながら、次第に
校内の自由が奪われていく。
 この高見沢を初め、他の英光塾の息のかかった、学級委員に立ち向かう主人公、その主人公の父親が
いい味を出している
 自分の子供を守ろうと、子供の喧嘩に面と向かって口出ししないものの、たまに人生訓などを口にする。
見守っているのである。
 主人公の母親は、自分の息子可愛さに、過保護になりつつも、主人公の父親に制される。
 今回、ご紹介させていただいた、『ねらわれた学園』も傑作だが、『謎の転校生』、『地獄の才能』・・・も凄い。
 『産業士官候補生』、『EXPO`87』も読みたいと、中学生の頃、思ったが、その思いは未だ果たせていない。
 
 いつ力を持った権力に自由を奪いかねない危うさを危惧しているし、ファシズムの全体主義に警鐘
を鳴らしているので、超能力に興味の無い大人でも読める本であると私は思う。

 眉村卓著『ねらわれた学園』是非、お読み下さい。              

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