トモ君が綴った詩のようなもの


                異空


 ゴーン・ゴーン・ゴーン
 
 聴こえて来るのは音なのか?どうか判らない
 今生では、三千世界の果てに降る雪の音色も
聴こえてきたのに、今はもう判らない。
 心の果ての世界に辿り着いた時、藍色の液体に浮かんでいた。
 辿り着いた所は、時間も空間も無いところだった。
 ゼロという概念を数字化した時点でゼロでなくなると判ったとき、
全ては無であるが、無は全てで無いと判る。
 無は無であるし、無は無でもない。

 小学生の頃に習った正比例のグラフは間違い。
 Xがゼロの時に、Yはゼロではない。
 事実を隠蔽させるために数学者が考え出したトリックに
先生までもが騙されている。

 ゴーン・ゴーン・ゴーン

 心のスクリーンに映し出されるのは妄想の映像。

 教えて博士!
 時空から、人は離れることが出来るの?
離れてしまえば離人症と診断されることもないの?
 今、見える映像は、心のスクリーンに映し出された妄想の産物なの?
 「肉体は借り物なんだよ。」と誰かが言っていた。
 
 ゴーン・ゴーン・ゴーン
 
 数字をゼロで割る。「X軸とY軸の交点は手で隠してしまえばいいんだよ。」と
博士が仰った。

  時空にまだ存在(いる)君に聴いて欲しい。
 心の果ての世界の音色を。

 ゴーン・ゴーン・ゴーン
 ゴーン・ゴーン・ゴーン
 ほら、もう淋しくないだろう。

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   醜形恐怖


 ナイフの鞘(さや)で突き立てた三面鏡
 砕け散った破片は、私の魂(こころ)
 鏡の王國の崩壊から彷徨(さまよ)い続ける未開の褶曲谷(しゅうきょくだに)
 麗人の國にから追放されて、流浪の旅は今日も続く
 神を見た人と邂逅(かいこう)したくて
 視線の奴隷となる私は尼僧


 かつての醜奴(しゅうど)の傷は、愛撫の証(あかし)
 血に染めた肉体(からだ)は私の供養
 鏡の王國に戻りたくて彷徨(さまよ)い続ける淫靡な桜桃の園
 麗奴に堕ちた柘榴(ざくろ)の掟、燎原の炎は今日も続く
 免罪符を持つ僧(ひと)に会いたくて
 視線の奴隷となる私は無双



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       FOOL〜伝えたい愚か者の僕へ〜



零(ゼロ)という概念を数字化した時点で零(ゼロ)でなくなることに気づいた僕は、

時間の無い世界にタイム・スリップさ。

隙間のない空間に押し込められて、言葉ではない言葉で、時空に存在(いる)君と通じあう。

 今生では、自分勝手に檻を創り、みんな自分で鍵を持っているのに、時が来るまで誰も

牢獄から出て行こうとしない。

君を想ったのは、この冥土の世界の果てには僕だけしか存在(いな)いから・・・

 あの日の僕は、色の無い液体に浮かび、漂うこともなく、未来も過去も現在という時間

感じなかった。

 そう、あそこは、幸福も不幸も無く、他者や自己やエゴも無く、刹那や永遠という時間

も無い所
  
 あそこは人の『心』の果ての世界。降りしきる雪の音色も聴こえない世界。

                   
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 全ては無であるが

 無は全てではない


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