活字本コーナー

難しい本は無し

読んで面白い本を紹介します

趣味が違う人は面白くないですが…(^^;)

そこのところは紹介文を読んで判断してね

 

 

著者名のアイウエオ順に並んでいます


コンスタンティノープルの陥落  著者 塩野七生  新潮文庫

 アジアとヨーロッパの境目に位置する町、コンスタンティノープル。 ビザンチン帝国の首都であるこの町は、地中海世界に並ぶものの無い3重の巨大な城壁に守られ、西暦330年の誕生以来1000年以上にわたって栄華を誇ってきた。 しかし、かつては地中海世界を支配したビザンチン帝国も新興勢力のオスマン・トルコの前に後退を続け、今では首都コンスタンティノープル周辺を維持するのみであった。 西暦1453年、7000名の兵士と10隻の大型船を主力とする26隻の船が守るこの町に、オスマン・トルコの若きスルタン、マホメッド二世の率いる大砲を備えた15万の兵と200隻の軍船が迫っていた…

 世界史好きの人にお勧めの本。 キリスト世界とイスラム世界の激突を描いた塩野七生の3部作の1作目です。 史実に忠実に従って小説の形で書かれてます。 史実であるがゆえに、歴史が動いたその瞬間をリアルに感じることができます。 エンターテイメント小説というより、ドキュメント小説という感じです。 ちょっと読み手を選ぶかな。 おすすめ度70%。


ロードス島攻防記  著者 塩野七生  新潮文庫

 イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置するロードス島。 コンスタンティノープルを陥落させ、巨大な帝国を形成しつつ西進を目指すオスマン・トルコにとって、この島は喉元のトゲであった。 1522年、大帝スレイマン一世は自ら陣頭指揮をとり、20万の兵と500隻の船を率いてロードス島攻略戦を開始した。 対して、聖ヨハネ騎士団が守るロードス島の戦力は騎士600人、傭兵1500人、民兵3000人であった…

 某「ロードス島戦記」とは関係ありません(^^;) 3部作の2作目。 「コンスタンティノープルの陥落」に比べ、一人の騎士を中心に据えた書き方で、より小説色が強くなっています。 ロードス島の戦いの歴史的意義は3部作の中で一番劣りますが、小説として読んだとき、個人的には一番面白かったです。 っていうか、男としては「騎士団」という言葉に弱いッス。 先日、ロードス島がTVで紹介されてましたが、城壁や騎士団の館が今でも残っているそうです。 はぁ〜、行ってみたいなぁ… おすすめ度80%。


レパントの海戦  著者 塩野七生  新潮文庫

 地中海の制圧を目指しキリスト教世界に対し圧力を強めるオスマン・トルコ。 その圧力を直接受ける立場にあるヴェネチアは、教皇を利用し、西欧連合艦隊を編成しようとする。 紆余曲折を経て編成されたスペインを中心とする連合艦隊は十字軍と呼称された。 1571年、それぞれの神の加護を受けた二つの艦隊、両軍合わせて500隻の船と17万人の人間は、ギリシア・ペロポネソス半島の付け根、レパント沖で激突する…

 塩野七生の3部作完結編。 誰でも聞いたことはあるであろう「レパントの海戦」を取り上げています。 「ロードス島攻防記」と同様、ヴェネチアの海将を主人公とし、小説色が強くなってます。 教科書ではトルコの膨張を止めることになった大事な海戦と評価されてますが、この本を読む限り、トルコにとってはそれほど大きなダメージとはならなかったようです。 トルコは翌年にはこの海戦で受けた被害を全て回復しています。 一戦場の勝利が国力の違いを引っくり返すことは無いということでしょう。 第二次世界大戦の日本とアメリカみたいなものかな。 でも、敗退を続けたキリスト教世界が一矢報いたという精神的効果は大きかったでしょうね。 このように歴史を考えるには面白い本です。 おすすめ度70%。


銀河英雄伝説  著者 田中芳樹  徳間書店  1〜10巻 外伝1〜4巻

 遥か未来、生存圏を銀河系宇宙にまで広げた人類社会は銀河帝国と自由惑星同盟とにわかれ長い戦いを続けていた。
 数百年もの間続いた戦いだったが、両陣営に同時期に誕生した2人の英雄によって歴史が動きだす。
 一人の名はラインハルト・フォン・ローエングラム、そしてもう一人の名はヤン・ウェンリー…

 スペース・オペラという分野を切り開き、マンガ、ゲーム、アニメと、多くの分野に進出している銀河英雄伝説。 マニアック道への登竜門ですね。 数多くのファンを持つ田中芳樹の代表作。 中学時代に出会ってから現在に至るまで、私の中で一番の小説です。 ただ2つの国家の戦い、ラインハルトとヤンの戦いを取り上げているのではなく、専制主義と民主主義のイデオロギーの対決もあって、結構考えさせられます。 本編10巻、外伝4巻の長編で、気楽に読める長さではないですが、読んで後悔はしないと思います。 読むのが面倒な人はアニメ・マンガから入ってもいいでしょう。 原作の出来が良いのでアニメ・マンガもかなり面白いです。 おすすめ度100%。


アルスラーン戦記  著者 田中芳樹  角川文庫  1〜10巻

 大陸の東西を繋ぐ大陸航路。 その中央に位置するパルス王国は豊かな富と強大な軍隊を持つ大国である。 西の蛮族、ルシタニアが侵入してきたときも、パルスは小揺るぎもしないと思われていた。 しかし、味方の裏切りによりパルス軍は大敗、パルス国王が囚われてしまう。 初陣のパルス王太子アルスラーンは混乱の中を脱出し、仲間と共にルシタニアの手に落ちた王都奪還を狙う。 ルシタニアに協力する謎のパルス人「銀仮面」、混乱に乗じて侵入する周辺国家、蛇王復活を画策する謎の集団、そして自らの出生の秘密と戦いながら、アルスラーンは人間として大きく成長していく…

 これまた田中芳樹の代表作。 パルスはペルシア(ササン朝あたりらしい)を、ルシタニアは十字軍をモチーフにしているそうです。 ルシタニアの暴虐ぶりっていったらもう… 十字軍当時のヨーロッパは確かにペルシア(十字軍の時代はイスラムと呼ぶべきか)に比べると蛮族と呼べる状況だったのでしょうけどね。 テーマとしては銀河英雄伝説ほど深くないですが、エンターテイメント性はこちらが上かも。 こちらもマンガ、ゲーム、アニメと揃ってますが、小説に比べると…ちょっと…。 小説で読みましょう。 ただし、忍耐力を要求されます。 読むのに、じゃなくて、次の本が出るのが遅い。 間が2〜3年空くのは珍しくありません… 現在1〜10巻が発売中。 こちらもおすすめ度100%。