和菓子歳時記  
       

季節の和菓子 
秋 十月

   こなし「紅葉」

      

 羽二重餅「衣がえ」            時雨「柚子」


  
  

 「紅葉」は、白餡に小麦粉などを加えて蒸した生地のこなし製。
手と木へらで形を作ります。

 「衣がえ」は、つぶ餡を大島(黒砂糖)の羽二重餅で包んだもので、
うす茶色の生地が柔らかく口当たりの良いお菓子です。
 
 「柚子」(ゆず)は、まだちょっと早いので青く小さい品しか手に入りませんが、
香りは十分です。
 ほんのりとした香りがする時雨製の蒸し菓子にしてあります。
色はまだ黄緑ですが、本物が黄色くなるのと合わせてお菓子の色も黄みがかります。
 
 当店のお菓子は、地味だとよく言われますが、そのとおりだと思います。
出来る限り着色料は使わず、どうしても使う場合も少なくしています。
本来の素材の持つ色が一番、自然ではないでしょうか。
 
餡の薄紫色は良質の小豆から、茶色は黒砂糖、クリーム色は白味噌、薯蕷(じょうよ)の白は山芋(伊勢芋)からなどです。
若い女性のために色鮮やかな可愛らしいお菓子を作れと親父に言っても無理
でしょう。

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