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┃☆┃もっと知りたい「さけ」のこと/吉田志津雄@活法研
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1.「こんなに大きな魚がどこから来たの?」
 北海道蘭越町にある名駒小学校
    http://www.ne.jp/asahi/nakoma/es/
は、全校児童11名の極小規模校である。学校の周辺には水田がひろがり、近くにはサクラマスやサケが上る「目名川(めながわ)」が流れている。
 低学年生活科の単元「さがそう、あそぼうなこまの秋」で、子供たち(1年生1名、2年生1名)は目名川に秋をさがしに行った時、川を上ってきたサクラマスとシロザケを見つけた。川幅わずか20メートルほどの川である。その川に体長が1メートル近い魚がいたのである。
「こんなに大きな魚が、どこから来たの?」
2年生のGくんは、川面を指さして叫んだ。この体験は子供たちに強いインパクトを与え、子どもたちのなかにサケやサクラマスへのこだわりが生まれた。

2.『さけが大きくなるまで』の学習の中で
 子供たちが秋さがしに夢中になっているころ、2年生の国語では説明文『さけが大きくなるまで』 (教育出版・2年国語上巻)の学習に入った。
 この説明文は、自分の生まれたもとの川へ、産卵のために戻ってくるサケの成長過程が美しい写真とともに記述されている。
 2年生のGくんは、教科書に書かれてある説明を読みながら、教科書の写真をもとにサケの一生についてまとめていた。
 そんなときに、目名川で本物のサケに出会ったGくんの追究意欲は格段に高まっていた。
「もっとサケについて調べてみたいな…」
そんな言葉を残してGくんは教室から出て行った。しばらくして、教室に戻ってきたGくんは、
「図書室にはサケについてくわしく載っている本がなかった…」
とややがっかりした顔でつぶやいた。
「じゃあ、どういうふうに調べたらいいかな?」
ときくと、Gくんはしばらく考えて、
「先生、インターネットで調べられるかな?」
と言った。
「どうかなあ、じゃあ調べてみようか」
 さっそくGくんとパソコン室に向かった。

3.「ご指定の条件では見当たりませんでした」?!
 意気揚揚とパソコンを起動し、インターネットに接続したGくんにとって情報検索ははじめての体験である。
まず、「お気に入り」の中からkyositu.com (http://www.kyositu.com/)をクリック。
 キーワード検索のところに『さけ』と入力して検索ボタンをクリックした。
本校では、低学年から少しずつワープロソフトを使い、かな入力で教科書を視写させているので、1年生でもかな入力ができる。
 しばらくして、「ご指定の条件では見当たりませんでした」の表示が出た。
「『さけ』じゃあ、見つからないなぁ…。じゃあ、『さけが大きくなるまで』でやってみよう」 そう言ってこんどは『さけが大きくなるまで』でキーワード検索をやってみたのだが、「ご指定の条件では見当たりません」の表示が再び出た。
「やっぱり、インターネットでもさがせないのかな」
 がっかりした様子のGくんに、こりゃあ、何とかしてやらなければと今度はわたしが燃えた。

4.「やった!ついに見つかった!」
 キーワードでだめなら、教科で検索してみようということになり、「生活」をクリックした。
「334件が見つかりました」
という表示と共に、10件ずつサイトのリストが表示される。あとは、Gくんとふたりで、片っ端からありそうなところをクリックしていった。まさに、インターネットで迷子になるというのはこういうことか、と思いつつ10分ほどさがし続けて、とうとう見つけた。
 「わくわく体験館」
 http://www.wnn.or.jp/wnn-s/wakuwaku/index.html
そのトップページに、「シロザケの一生を見てみよう」という文字を発見したとき、Gくんもわたしも「やった!!」と叫んでいた。
 このサイトは札幌市豊平川さけ科学館のサイトで、「カムバック・サーモン」で有名な豊平川のサケのことが紹介されている。写真がきれいで成長段階ごとに解説されていてとても見やすい。
「100個の卵からかえったサケでまた同じ川にもどってこれるのは何匹くらいかな?」
ときいてみると、「30匹くらい」とGくんは答えたが、解説を読んでいくと、100匹かえったうちのたった15匹だということが
わかり、びっくりしていた。
 このページを印刷して、Gくんが画像を切り取って模造紙に貼り、わかったことや思ったことを自分でまとめてみることになっ
た。
 もちろん、難しい語句や漢字についてはわたしが説明し、1年生にもわかるような言葉をえらんでに書き直すよう指導した。
こうしてはじめての情報検索は大成功に終った。
「こんどはサクラマスのことをインターネットでしらべたいな」
(同じサケの仲間であるサクラマスも時期を同じくして目名川に上って来るのである)とGくんの追究意欲はさらにパワーアップしている。

 なお、「わくわく体験館」については、現在は『さけ』『サケ』でも検索できるようになっている。実際に使ってみて、より使いやすいように、検索用語の変更等が柔軟にできるところがkyositu.comの大きな特長である。(終)

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