湧き上がってくるこの感情は何だろう?
心がどこかに行ってしまったと、奴は言った。
そんなことがありえるのかどうかはわからない。
けれど、彼女は意志を持たない人形のように全く動かなくなった。
どれだけ呼びかけても、体を揺すっても、何一つ反応を示さない。
イミテーションの宝石のような青い瞳は何も映さず、瞬きもせず、ただ虚を見つめていた。
「馬鹿野郎、俺のパートナーなんだろう? 何やってんだよ。」
あいつの声が聞こえない。
あいつの視線を感じない。
それだけで何故こんなに不安になるんだろう?
いつの間にあいつの存在がこんなに大きくなっていたんだろう?
何度も自問するが、明確な答えを出せずにいた。
いや、わざと答えを出すのを避けているのかもしれない。
「・・・我ながら情けねぇな。・・・けど・・・。」
―――けれど、たぶんわかっているんだろう。
思わず苦笑しながら、彼女を見やった。
「待ってろよ。必ずお前を取り戻す―――。」