「・・・いつものオーフェンだよね・・・。」
一瞬、彼女が何を言っているのかわからなかった。
「・・・夢を見たの。オーフェンが泣いてる夢。だからどうやって元気づけようかなって思ったの。」
何も答えることが出来ず、ただ彼女の瞳を見返すしかなかった。
「夢なのにね。どうしてそんな事思ったんだろう。」
クスリと笑いながら首を傾げる彼女を、思わず抱きしめたい衝動に駆られた。
俺を見てくれる者。
俺の傍にいてくれる者。
そして・・・。
「・・・そろそろ戻るか。昼飯も出来てる頃だろう。」
見上げた空はどこまでも高くて青かった。
無限のように感じられるそれに、全てが吸い込まれてしまいそうな、そんな気さえする。
「こんな日は外で食べたい気分よね。」
「そうだな。」
こちらを見上げる彼女の髪が薫風に揺れる。
さらさらと流れるその香りに浸りながら、彼は目を閉じた。
今まで抱いていた彼女のイメージが、日毎に変化していることに気づいていた。
彼女は思っていたより弱くて、思っていたより強くて、思い掛けず女で――。
「まぁまかせといてよ。これからもしっかりばっちりパートナーとしての役目を果たすから!」
いつものように唐突に調子を上げて話し始める彼女を見て、思わず溜め息が出る。
「・・・ったく、分からねぇ奴。」
だが、無性に知りたいと思う自分がいた。
俺を見てくれる者。
俺の傍にいてくれる者。
そして、俺が見ていたいと思う者。
俺が傍にいたいと思う者。
求めていたのは互いに想い合える相手。