輝く海、熱を放つ砂浜、色とりどりのパラソル、照りつける太陽・・・そんな光景が彼の前には広がっていた。レジャーという面ではいくらか乏しいこの大陸の中で、唯一と言っていいほどのレジャー地。
 季節は夏真っ只中。カップルも、家族連れも、サーファーも、漁師でさえも浮いた気分になるような真夏。砂浜から平和な騒動しか聞こえてこない。たとえ、肌を焼くような熱線が常に降り注いでいたとしても、彼らにとっては何ら関係の無いものなのだ。
 打ち寄せる波の音、波打ち際でふざける子供に、それに踏まれないように逃げ惑うカニ。沖合いからやってくる波は、海岸付近ではとても見れない貝を運び込んできてくれる。そして、それを拾って喜ぶ恋人たち。
 暑さを伴う風も、屋根にぶら下がった風鈴の音色を奏でるのなら何も苦にならない。夏の風物詩と言ってもいいそれは、規則的に聞く者の気分を涼しげにさせるハーモニーを紡ぎ出していた。それは例えるなら歌姫の歌に似ていないわけではない。
 どこにも非の打ち所が無い、幸せな海岸。どんな人間でも楽しめるはずだった・・・だが
「で、何で俺がこんなことをせにゃならんのだぁぁぁ!!!」
「お師様・・・諦めましょうよ。今さら・・・」
 平和な風景とは対照的なほどの悲壮を伴った叫び声と落胆を含んだ声。それが発せられたのは海岸に立てられた、小さな『海の家』からだった。さらに声は続く。
「普通、こういうとこに来たら水着やらなにやら着込んで、日ごろの鬱憤を晴らすために海で泳ぎまくるもんじゃねえのか!? さりげに波間に漂う海藻やら、岩場の陰に潜んだカニやらサザエやらといった役得にもありつけるってもんだろう!? で、俺たちは何をやってる! マジク!!」
 一息でそう言い――叫びきるとオーフェンは隣で焼きそばを焼いている弟子の方を向いた。
「・・・だから、現実逃避は止めて働きましょうって」
 そう言って焼けた焼きそばを容器に盛るマジク。慣れた手つきなのは、過去に家の店の手伝いを続けていた賜物だろう。テキパキとした手つきで次の焼きそばに取り掛かる。
 そして、ソースをかけたところで改めてオーフェンの方を向きやる。焼きいかを作っている師の姿に、何か脱力感のようなものを覚えながらもマジクは言った。
「僕達が食べた分と店や皿を壊した分を働かないことには海にも入れませんよ?」
「だから・・・飯を食べたのは三人とも同じ量で、前の街にいたときには十分勘定を済ませれる量だったにも関わらず財布の中身はいつのまにか減ってるし、店やら皿を壊した実行犯や原因は俺じゃなく、お前でもなく、あの黒い悪魔とその飼い主だ!! それなのに・・・なんで俺たちだけが働いてるのかって聞いてるんだ!!」
「だって・・・クリーオウですもん」
「答えになってねえ!!! 納得は出来るのがやけに怖いが・・・」
 やけくそな気分になって焼きいかを裏返すオーフェン。潮の香りと、いかの焼ける香ばしい匂いに少しだけ気分は安らいだものの、頭に上った血はそのままだった。
「はい、どうぞ」
「ありがとー♪ お兄ちゃん♪」
 隣では小さい女の子に笑顔で焼きそばを渡す弟子と、そんな彼に完全に目がハートマークの少女の姿が映った。言うまでも無く、やり場の無い怒りのゲージが上がっていく。
「おい、オーフェン君。そっちを交代して料理を運んでくれ」
「・・・わかりました」
 店内のほうからかけられた声にうろんげな表情で答えてから、オーフェンはゆっくりとそちらの方に向かって歩きだした。その後ろでは若い女性客の列ができ、その一人一人に笑顔で焼きそばを渡すマジクの姿があったのだが、オーフェンの目にそんなものは映らなかった。
 暑さと疲労、そして理不尽な状況にイライラの頂点にあるオーフェン。彼の頭の中に有る考えは一つ。それは・・・
(なんで、こーなったんだ・・・いや、原因は・・・あいつしか居ねえじゃねえか!!!)
 オーフェンの心の叫び・・・その原因は今からさかのぼること数時間前・・・



「ねえ、オーフェン、これから泳ぎに行きましょうよ♪」
 海岸に立ち並ぶ海の家の、海の幸をふんだんに使った海鮮料理を楽しんだせいか、なんとなく上機嫌なクリーオウは表情以上に機嫌のいい声でそう言った。そもそも、これが全ての始まりである。
 いや、さらにさかのぼればクリーオウの提案にオーフェンとマジクが同意し、海までやってきたことが始まりである。オーフェンも、長旅で張り詰めた精神を休めるために、どこかで気分転換をしたいと思っていたところである。幸い懐の方は意外と暖かった。
 海に付いたころには既に夕方に達しており、海へ行くのは次の日となっていた。ちなみに、この時点でクリーオウの買い物はオーフェンの知らないところで済まされていたらしい。彼女のリュックが少しだけふくらみを増していることに、疲れのせいもあってかオーフェンは全く気がつかなかった。
 その後いくらかの騒動はあったものの、オーフェン一行は何の気苦労も無くその日を締めくくることが出来た。そして・・・次の日・・・
 彼女の上機嫌な声に、まだ機嫌の良かったオーフェンは賛成を唱えた。
「ああ、でもしばらく休憩してからだな。食ってすぐ動くと体に悪い」
「それもそうね・・・じゃあ先に勘定済ませちゃったら?」
「今さらお金が足りない・・・なんてギャグ話ですからね、お師様」
 苦笑を浮かべながらのマジクの言葉。まだ、この時点で彼の言葉にも冗談の含みが感じられた。もちろん、オーフェンもそんなことは微塵も考えていなかったので、彼の言葉を笑い飛ばしてから財布を開いた。と・・・
「・・・クリーオウ」
「ん? どーしたの? オーフェン」
「お前・・・昨日何を買った・・・」
「え? な、何のことかしら?? 私にはさっぱり・・・」
「とぼけんじゃねえ!! 財布の中身が7割減してるんだよ!!! お前以外に誰が使うってんだ!!!」
 青筋を立てて、オーフェンは今まで自分たちが食事を取っていたテーブルを叩く。衝撃音と、オーフェンの鬼のような形相に一歩下がるクリーオウだったが、すぐに気を取り直すと同じようにテーブルに手をついて大声でまくし立てる。
「何言ってるのよ! 私ってすぐに決め付けないでくれる!? 確かに今回は私だけど、オーフェンが勝手に使ってたって可能性も否定できないでしょ!?」
「きっぱり認めてるじゃねえか! で、なにを買ったんだ!?」
「な、何よ! その『どーせまたくだらんものでも買ったんだろ』って視線は!!」
「そのままの意味に決まってるだろうが! じゃあ、何か!? お前が今まで俺たちの微塵でも役に立つような物を買ったことがあるか!? ああ?」
「今度のは実用的かつ、効率的なものよ!! 今回買ったのは・・・」
「へっ、どうだかな。お前が買うもんなんて何の役に立つかわかりゃしねえ。大体だ、人の財布を持ち出すなってあれほど言ってたのに持ち出しやがって。少しは俺の身にもなってみろってんだ。財布の中身が減ると、どれだけ俺たちが困るか知ってるのか? 何にも考えずに行動しやがって・・・一度はっきり言ってやろうかと・・・」
 クリーオウの言葉にオーフェンは侮蔑のような笑みを浮かべながら続けた。小言のような、愚痴のような彼の言葉を、クリーオウはうつむいて黙って聞いていたのだが、その肩がかすかに震えているのに気が付いたのはマジクだけだった。
「おい、てめえらうるせえぞ!! 痴話げんかだったらよそでやりやがれ!!」
「へへっ、お嬢ちゃん。こんな理解の無い彼氏はほっといて俺と遊ばねえか??」
 悪いとき、悪いことは重なるもの。横でさきほどまで酒を飲んでた男が絡んできたり、派手な格好の男がクリーオウを引っ張り出そうとしたり・・・騒ぎは大きくなるばかり。
「・・・・・・レキ」
 突然、喧騒が静寂へと変わる。彼女から紡ぎ出された言葉はそれほどの冷たさを帯びていた。場の空気が瞬時に凍りつく。
 言葉の意味を知っているオーフェンにマジク、知らなくとも何が起ころうとしているのか本能的に感じ取った周りの人間。彼らが浮かべる表情は・・・恐怖。そして、対照的に彼女の表情に浮かんだ物は・・・怒り。
「鬱陶しいの全部吹き飛ばして!!」
 そして・・・いつもどおり―――認めるのは悲しいがいつもどおりである―――に、オーフェンとマジクは焼け石に水と知りながらも防御の魔術を発動させ、仲良く吹き飛んでいった。


 あれから数時間。あるだけの材料を集め、魔術でいくらか店を修理したものの、あらかたの材木は飛んでいってしまったため、店は半壊状態で妥協することになった。
 そして、それらの修繕代、先ほどの騒動で壊れた皿と机などの弁償代、従業員が怪我をしてしまったため必要になった労働力・・・その全てをオーフェンとマジクが払うことになってしまった。
 無論、あの場で原因を作った酔っ払いやナンパ野郎にはそれ相応の報いと、それなりの賠償金をせしめておいたのは間違いない。
 エプロンのような前掛けに違和感を覚えながら、オーフェンはなれない接客業を営んでいた。皿を両手に持ち、泳ぎ疲れやってきた海水浴客の間を歩き回り、笑顔で食事を渡す。果たして、それが彼に向いた職業であるか・・・
「ったく・・・第一、なんで店を吹き飛ばした張本人・・・は無理だから、その保護者が責任を取らねえんだよ。まあ、俺もあいつの保護者であるのは間違いねえわけだが・・・。にしても、あのじゃじゃ馬娘はどこ行きやがった・・・まあ、あいつが居ても手伝いになるかどうかなんて怪しいもんだが・・・」
「ねえ、オーフェン」
「のわぁぁぁ!? ・・・・・・ク、クリーオウ!?」
 突然の声に叫び声をあげ、オーフェンは前につんのめる。料理の皿が落ちないように必死にふんばり、体勢を戻すとホッと息をつき・・・改めて後ろを振り返った。そして、予想通り、その場にいたのはクリーオウだった。
「何、大袈裟に驚いてるのよ、私が居ちゃ駄目なわけ?」
 オーフェンの独り言を聞いていなかったのか、クリーオウはちょこんと首を傾げて見せた。
 まだおさまらぬ動揺を必死にどうにかしようとして黙るオーフェンを尻目に、クリーオウは気楽な調子でこう言った。
「ねえ、オーフェン。さっきは言いそびれちゃったんだけど」
「誰のせいだ・・・誰の・・・」
 オーフェンが苦しげにうめくが、クリーオウは気付いたそぶりを見せない。なぜか嬉しそうな口調で続ける。
「実はね、オーフェンの財布の中身をちょっと貰って買ったのは・・・これなの」
 そう言ってクリーオウは羽織っていた上着をばっと放り投げた。とりあえず投げ出された上着が飛んでいく様を眺めるオーフェン。そして、再び彼女のほうへ目をやると・・・
「いいでしょ、これ。安かったからつい買っちゃった♪ どうかな?」
「・・・いくらだ・・・」
「似合ってるかどうか、いまいち不安なんだけど・・・ってオーフェン。何か言った?」
 上機嫌の彼女は自分の身体を誇らしげに見せるかのようにポーズを決めてみせる。どうやら彼女は、今自分が身に付けているものについて一言言って欲しいようだったが・・・オーフェンには、そのことについて触れれるほど余裕は無かった。
 わなわなと震える肩と手。そんな彼の状態を見て取ってか、クリーオウは少しだけ後ろに下がった。
「それはいくらしたかって聞いてんだ!!」
「いくらって・・・そんなに高くないわよ? たかだか・・・ソケットくらい」
「十分に高いわい!! おまえ、それだけの金があったら食料の心配はせずに済むし、さっきもあんな騒動を起こさずに済んだんだぞ!?」
「さ、さっきのは悪かったわよ・・・で、でもね」
「でも、じゃねえ! いいか!? お前が短絡的な行動を一つするたびに、俺とマジクの負担は比例的な跳ね上がりになるんだよ!」
「な、何よそれ! まるで私が今までずっと迷惑ばっかりかけてきたみたいじゃない!」
「しっかりかけてんだよ!」
「オーフェンだって、というかオーフェンのほうが短絡的で本能に走った行動ばっかり取ってるじゃない! 迷惑はオーフェンのほうがかけてるわよ!! それにさっきは水着のグラマーな女の子にデレデレしちゃって! いい年して恥ずかしくないの!?」
「んだと!? じゃあこの前の―――!」
「なっ!!! それを言うならオーフェンだってこの前―――!!」
「―――!!」
「―――!!」
 とりあえず、2人の口論はまだまだ続きそうであった。


「それで・・・結果がそれですか」
「うるせ・・・」
 休憩時間となったのか、二人は忙しすぎる仕事の手を休め、せめてものの報酬である麦茶のグラスを前につかの間のリゾートを味わっていた。
 呆れるような口調のマジクは、グラスを机においてそのままの姿勢で続けた。肘をつき、必死で目の前に座る師の顔を見ないようにしてだ。
「それにしても・・・立派なもみじですね。夏なのに」
「だから、うるせえって言ってんだろ」
 ブスッとした口調と顔で、オーフェンは手元のグラスの中身をぐぐっとあおった。中身が酒なら気を紛らわせることが出来たのかもしれないが、所詮は麦茶。夏の昼過ぎの猛暑を少しだけやわらげてくれるのが、せめてものの救いである。
 カランと音がして、氷がコップの底へとつく。そのままグラスを置いたオーフェンの顔、主に左側の頬に・・・クリーオウの手の形に良く似たもみじがくっきりと浮かんでいた。
「くそっ、あのじゃじゃ馬・・・何も殴ることはねえだろ」
「そうですかね? 仕方ないと思う部分もあると思うんですけど?」
「何でだ。そもそもはあいつが財布を持ち出したことが問題・・・」
「クリーオウは、きっと何か言って欲しかったんですよ。お師様に」
「あのじゃじゃ馬がか? んなわけねえだろ」
 マジクの言葉に怪訝そうな表情を浮かべるオーフェン。そんな師の顔に、やれやれと言った感じで首をすくめたマジクは、身を乗り出し師に指を突きつけてこう言った。
「お師様、クリーオウの様子見て何も思わなかったんですか?? 昨日からあんなにそわそわして、ときどき荷物の中身を覗き見て、お風呂の時間も以上に長かったじゃないですか」
「お前・・・よく見てるな」
 思いがけない弟子の言葉に冷や汗を流すオーフェン。
 確かに彼も彼女の様子に気がつかなかったわけではないし、彼女が先ほど言いたかったことも今なら察しがつく。かと言って、それがどうしたのだろうか? 別に自分がどう言おうと関係ない・・・と思ってしまうのだ。
「クリーオウ、一人で泳ぎに行っちゃいましたよ?」
「知らねえよ・・・ったく、何をカリカリしてやがんだか」
「・・・本気で気付いてないんですか?」
「・・・・・・・・・うるせ」
 そう言って、オーフェンはゆっくりと立ち上がった。空になったグラスを、皿洗いをしていた店員に渡すと、オーフェンはそのまま店を出て行こうとした。
「どこ行くんですか?」
 白々しくマジク。もちろん、目は笑っている。
「・・・散歩だ。あと、せっかく海に来たんだから泳がずに帰るってのもあれだしな」
「じゃあ、いってらっしゃい。あんまり遅くならないで下さいねというか遅くなっても僕が気が付かないようにそっと帰ってきて下さいね」
「どー言う意味だ・・・コラ」
 悪態を付いてから、オーフェンは照りつける太陽の元へと歩いていった。そんな彼の後姿を見てマジクはため息をつく。と・・・
「おい! いつまで休憩してるんだ!?」
「あっ! はい! 今行きます!!」
 店の置くからかかった声に、マジクも立ち上がった。空のグラスをオーフェンと同じように店員に渡し、支給品の前掛けを身につけ、焼きそば焼きの業務に戻ろうとして・・・ふと気が付いた。
「もしかして・・・僕が二人分働きゃいけないってことになってるんじゃ・・・」
 彼の悲しい問いに応える者は・・・誰もいなかった。



「・・・あいつ・・・どーいう道を歩いてやがるんだ・・・」
 マジクと別れてから数時間後、オーフェンは海岸から少しはなれた森の中を歩いていた。いつもの皮のジャケットを脱ぎ、水着とTシャツだけと言った海水浴スタイルだったため歩きにくいこの上なかった。
 さらに履いている物は借り物のサンダルのため、時々枝が脚に刺さり、その度に舌打ちをして傷を確認した。いつものブーツならこんな森など何の苦も無く歩けるのだが・・・さすがに海水浴場にいつもの格好で行くほど、オーフェンは世間知らずではなかった。
 さて、なぜオーフェンがこんなところを歩いているかというと・・・これまた数分前、クリーオウを探していた彼は、偶然海水浴場で歩いていたカップルに『金髪の女の子なら、森のほうへ歩いていったぜ?』という証言を得ることが出来た。
 なんでも森の奥は、岬が一望できる崖になっており、一種の穴場として観光客、特にカップルには人気らしい。そこの事は確かクリーオウも知っていたはず―――前日に宿の人から話しを聞いたのを覚えている―――なので、森へ行く目的はそこしかない。
 クリーオウがそこへ行った理由は不明だが、彼女がそこにいるなら行かないわけにはいかない。放っておいてもいいかもしれないが、後々面倒、というか復讐されるという事態は避けたいのでとりあえず彼女を探しにオーフェンは森へと入っていったのだった。
 そして数分。未だにオーフェンは森の中を歩いていた。
「しっかし、よくこんな道を歩いていけるもんだな、あいつも」
 そう言って、片手をかざしてオーフェンは天を仰いだ。その顔には苦笑が浮かんでいた。
 それもそのはず、数分歩いただけで脚は泥と傷だらけ、Tシャツには葉っぱや枝が絡みついているし、汗が滝のように流れ落ちてくる。
 頬からあごに伝う汗を払ってから、オーフェンはため息をついた。
「第一・・・なんで俺がこんなことをしなきゃいけねーんだよ・・・あのワガママ娘の懲りないワガママと俺の久しぶりに潤った財布の中身が消えたことと、またくだらん騒動に巻き込まれてこのクソ暑い中延々ただ働きしてることは・・・普通怒るべきことだと思うぞ、実際」
 そこで一息つく。それでもオーフェンの足は止まっていなかった。また枝を踏み、跳ねた破片に脚を引っかかれ、舌打ちをする。
「まあ、確かにあいつの仕返しはトラウマになるほど危険なのは分かってんだ。だからって俺がここまで妥協する必要なんてあるのか? ねえだろ。原因だって全部あいつじゃねえか。勝手に買い物して、勝手に騒動起こして、勝手に怒って・・・」
(最後の奴は実際俺のせいでもあるかもしれねえんだけどな・・・)
 自分の考えに、オーフェンはため息をついた。こう考えた時点で負けは決定しているのだが、どうしても妥協してしまうのは・・・自分が心が広い、という事にしておこう。
「でも・・・俺が謝らんことには解決なんてしねえんだろうな・・・いや、謝るだけじゃ駄目か。ったく・・・また面倒なことになっちまった・・・」
 そうぼやいているうちに・・・オーフェンの目の前に、光の塊が飛び込んできた。森の出口である。
 やれやれとため息をついてから、オーフェンは歩く速度を速めた。この蒸し暑い森から一刻も早く脱出したかったのだ。それにやっと謝ることを決意したのだから、それが揺るがないうちに彼女に会っておきたい。
 そして、オーフェンは森を抜けた。いっせいに浴びかけられる太陽の光に目を細める。そんな彼の目に飛び込んできたのは・・・
「・・・なるほど」
 感嘆の声をあげて、オーフェンは目の前の光景に改めて感心を覚えた。宿の人間が言った言葉は誇大広告でも何でもない、真実だったのだ。
 半円を描くような入り江に、それに沿うように広がる海岸。そこには色とりどりのパラソルの花が咲き、人間がまるで花の周りを飛び交う虫たちのように動いていた。
 海にも、カラフルなヨット、サーファーや泳いでる人間にボート。海の活気をそのまま、遠く離れたこの崖の上まで伝えてくるようである。
 さらには、海から吹いてくる潮風が崖の上まで届いており、心地よい風となってオーフェンの頬を叩く。さきほどまでの森中での苦労も、これで全て報われる、そんな気がした。
 さらには森の中のセミが奏でる音色に重なるように、空を飛び交う海カモメたちが泣き声をあげる。その美しい自然のハーモニー。まさしく最高のオーケストラである。
 ここが最高の観光地であり、最高の穴場であることは・・・十分に納得できることなのだ。
 オーフェンはそんな、今まで味わえなかったリゾートを堪能していると・・・自然のハーモニーに混じって、こんな声が聞こえてきた。
「何一人で納得してるのよ、オーフェン」
「・・・クリーオウか」
 彼女の存在を視界に納め、これからしなければならないことにため息をつく。そんな彼の仕草を見てかどうかなのかは分からないが、クリーオウは不機嫌の声でこう言った。
「何しに来たのよ、今さら」
「何しにって・・・そりゃ」
(謝りに来たんだよ・・・なんて言えねえよな・・・)
 またも、心の中でつぶやいてからオーフェンは黙った。彼が口を開かないまで――というか謝るまで自分も口を開くつもりが無いのか、クリーオウも押し黙ったままである。沈黙が2人の間を流れた。
 と・・・
「・・・悪かったな」
「え?」
 ボソッとオーフェンはつぶやいた。それは、自然のざわめきたちに消されてしまうような微々たる音量のものだったのだが・・・彼と向き合ってるクリーオウには十分届いていた。
「悪かったって言ってんだよ。その・・・何も聞かずに怒鳴ったりして」
「・・・そんなこと、わざわざ言いに来たの?」
 呆れた顔のクリーオウ。自分でも何をやってるんだか、と思っていたこともあってか、オーフェンも憮然とした表情になるしかなかった。
「お前、そんなことって・・・たく、これを言うのにどれだけ俺が悩んだか分かってるのかよ」
「はは・・・ごめん、ごめん。でも、オーフェンわざわざ謝るためにさっきの森抜けてきたんでしょ? ご苦労よねぇ~」
「ご苦労ってお前も・・・」
 そこまで言ってオーフェンはあることに気が付いた。クリーオウもオーフェンと同じように水着の上からTシャツを羽織っている程度の服装なのに、そのTシャツがどこも汚れていないのだ。足元もサンダルだけで傷など一つも無い。
 納得のいかないようなオーフェンの表情を見て取ってか、クリーオウはいたずらが浮かんだ子供のような無邪気な笑顔でこう言った。
「知らないの? 海伝いにグルッと回って来たらここにつくのよ?」
「・・・知らなかった・・・」
 がっくりと肩を落とすオーフェン。そんな彼の様子にクリーオウは笑い声を上げた。
「・・・そうね、もう許したげる。わざわざあんな歩きにくい森を通ってまで謝りに来てくれたんだもの。それにね、この景色を見てたらどうでも良くなっちゃった」
「なんだそりゃ・・・俺が悩んでたのは一体なんだったんだよ・・・ったく」
「でもね、私が本当に怒ってた訳は―――」
 そこまで言って、唐突に彼女の体のバランスが崩れた。同時に何かが崩れるような音。オーフェンの視界の中で、その様子はスローモーションにして流れていった。
 彼女が走りよったことで、もろくなった崖の先端が崩れ、海面へと落下していく土砂と一緒に彼女の身体も宙を舞ったのだ。何が起こったのか分からないのか、悲鳴も上げずに海へと吸い込まれていくクリーオウ、そして・・・
「き、きゃぁぁぁぁぁ!!!」
「クリーオウ!!!」
 聞こえてきた声に、オーフェンは彼女の名を叫びながら駆け出していた。
 ためらいも無く、崖から飛び降りる。身体に重力を感じひたすら落下するだけの運動の中で、彼は必死にクリーオウの姿を探した。
 はるか前方、宙に咲く花のように、金髪は風にたなびき大きく開いていた。悲鳴はもう聞こえない。落下のショックで気絶してしまったのか、それとも彼女の頭が、悲鳴を上げることをやめさせたのか。
 オーフェンにとって、そのことはどちらでもよかった。視界にさえ入れてしまえばいい。あとはもう見逃すことなんてありえないのだから、絶対。
 自由の利かない身体にもどかしさを覚えながらも、オーフェンはクリーオウを必死に追った。手が届けば、後少し手が届けば・・・そんな祈りを心でつぶやきながら、彼の身体は海中へと沈み込んでいった。


 衝撃と同時に水の冷たさと重さが体を襲った。身に付けた衣服が水を吸い、重みを増していくことに焦りを感じながら、オーフェンは目標へ向かって必死に水をかいていった。
 水中に漂う金髪は、まるで別の生き物のようになびいていた。ゆっくりと、自然の流れに身をゆだねたように落下していく彼女の身体に向かって、オーフェンは必死に手を伸ばした。
 そして、ついに彼女の身体をつかみ、自分の方へと引き寄せた。触れ合う部分から感じる彼女の暖かさに、オーフェンは安堵を覚えた。
 クリーオウを抱きかかえたまま、オーフェンは水面にむかって身体を動かした。息がそう長く続くわけでもないし、自分は人一人を抱えているのだ。さらに彼女の意識がないことから水を飲んだと予想される。すぐさま水上へと出なければならない。
 思い通りに動かない体、徐々に重くなる手足、続くかなくなる息。全身の細胞が酸素を求め、激しい痛みによって肺と心臓へと訴えかける。限界はそう遠くないのだ。
 視界の中に映る、確かな光。それを見据えながら、自分の抱える少女の暖かさを感じながら、オーフェンはただ必死に水を掻いた。そして・・・
「っぶはぁ!! ・・・はぁっ! はぁっ!! ・・・ぐっ!」
 水上に出たとたん。大きな波をかぶってしまい、オーフェンは呼吸の中断を余儀なくされてしまった。ただでさえ体力の消費された今、崖にぶつかり返って来る波はあまりに凶悪なものと感じられた、だが・・・
(顔さえでりゃ! どうにでもなるぜ!!)
 構成を必死に展開し、水を飲まないように寄ってくる波を警戒しながら呼吸を整え、オーフェンは崖の上をにらみ据えていた。
 そして、構成が完成した。日ごろから、成功確率の低い魔術。こんな集中力を保つのがこんな場面で使うことにはいささか不安があるのだが・・・今はそれしか方法は無い。ここから脱出するために、自分の腕の中にある命を救うために。
「我は踊る天の楼閣!!」
 波の揺れと同時に、視界も揺れる。だが、それは波によるものではなく、自分の体が宙を舞うときのものだとオーフェンは本能的に理解した。
 目の前に唐突に現われた崖。オーフェンは片手を使い、必死で飛び出た岩の部分をつかんだ。海の中からちらっと見た崖には、人が十分入れるような空洞があったのだ。そして、今彼がつかんでいる岩こそ、その場所の入り口である。
「くっ・・・」
 中和された重力が戻ると、一気に腕へと膨大な質量がかかった。自分の体重、そしてもう片方の手で抱える彼女の体。少し気を抜くと指が岩から離れてしまいそうである。だが・・・
「そう簡単に、落ちるかよ!!」
 腕に全ての意識を集中させ、自分の身体を上へと放り投げた。声を呪文として強化した腕の筋肉は、なんとか彼の体を空洞の中へと放りこむことが出来た。もちろん、彼の手の中にはクリーオウの姿もある。
「はぁ・・・はぁ・・・くっ・・・」
 大きく肩で息をするオーフェン。衣服の全てがぐっしょり濡れてしまっているため動き辛い体に難儀しながら、オーフェンは空洞の奥にクリーオウの身体を横たえた。
 目を閉じて地面に横たわるクリーオウ。濡れた前髪は額に張り付き、後ろ髪は地面に無造作に流れていた。オーフェンはなんとはなしに前髪をのけてやった。
 そして、すぐさま応急処置を施すことにした。まずあごをひかせ、鼻と口に耳を近づける。すると・・・
「―――!?」
 近づけた耳には、何の音も聞こえない、何も感じない。彼女が呼吸をしていないのだ。
(くっ・・・落ちたときに海水を飲んじまったか)
 オーフェンは不安によって早鐘のように打ち鳴らされる心臓の鼓動を必死に抑えながら、改めて彼女の気道を確保する。
「・・・不可抗力だからな。我慢しろ」
 我ながらいい訳じみたことを言っていると苦笑しながら、オーフェンはゆっくりと彼女の顔に自分の顔を寄せていった。
 そして、肺一杯に空気を吸い込み、ゆっくりと自分の唇を彼女のそれにあわせようと顔を近づけていった。
 10cm、5cm、3cm・・・オーフェンとクリーオウ、2人の距離が段々近くなっていく。そして・・・
「がはっ! ・・・ごほっ! ごほっ!」
「のぅいえあおえおえおうれおう!?」
 彼女の口から吐き出された海水を、直接顔面に被ってしまった。身体をくの字に曲げて咳を繰り返す彼女を見ながら、オーフェンは改めて早くなった心臓の鼓動を必死に元に戻そうとしていた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
 さきほどの自分と同じように必死に肩を上下して呼吸を繰り返すクリーオウ。生死の境を彷徨っていたのか、表情はひどく疲れたものへとなっている。
「大丈夫か? クリーオウ」
「・・・はぁ・・・はー・・・大丈夫、なんとかね・・・」
「そうか・・・」
 彼女の答えにオーフェンは安堵の表情を浮かべた。そして彼女の様子が落ち着くまで、少し離れたところでオーフェンは改めて腰をおろした。
 その表情がどこかさびしそうで、残念そうな事に・・・クリーオウは気が付いてはいなかった。


「オーフェン・・・」
 クリーオウの声に、オーフェンは閉じていた目を開いた。すると、目の前に申し訳無さそうな表情のクリーオウが立っていた。
「・・・ん? もう大丈夫なのか?」
「うん・・・その・・・」
 何か言いたそうに口ごもるクリーオウだったが、今はここから出て行くことのほうが先決である。そう判断したオーフェンは手を振って彼女の言葉をさえぎってから言った。
「そうか、じゃあさっさと戻るぞ」
「えっ? 戻るって・・・ここ、どこ?」
 初めて気が付いたかのように周りを見渡すクリーオウ。確かに、現在地を確認する余裕なんてなかったかもしれないが、彼女の言葉にオーフェンは呆れた表情を浮かべるしかなかった。
「お前な・・・お前が落ちた崖の途中だ」
「崖の途中? ・・・どうやって昇るの?」
 クリーオウの疑問に、何を言ってる、といった表情で誇らしげにオーフェンはこう言った。
「俺を何だと思ってやがる。人一人抱えて崖の半分くらい重力中和しながら昇ることくらいできる」
「それもそうね。じゃあ、行きましょ」
「ああ・・・ってそう言えばお前、レキはどうした?」
 崖の上で再会してから、レキの姿が無いことをいぶかしげに思っていたオーフェンは思わず聞いた。もしレキが居れば、別に自分が失敗するかもしれない魔術を使わなくても、より安全に崖の上までいけるはずなのだ。
「レキ? マジクに預けたわよ? ちょっと一人なりたかったというか、たまには一人もいいかな?って思って」
「ったく、レキがいりゃあ俺もあんな危険まねをしなくて済んだものを・・・」
「なんか言った? オーフェン」
「なんでもねえよ。それよりさっさと上がるぞ。ほら、掴まれ」
 差し出した手にクリーオウは素直に掴まった。抱えたときに感じた体温より、なぜか一回り暖かく感じる彼女の体温を感じながら、オーフェンは魔術の構成を編んでいた。そして・・・
「我は駆ける天の銀嶺」
 二人の体が宙に浮き、ゆっくりと空洞から崖の外へと飛び立ったのだった。



「はぁ・・・なんとか戻ってこれたな」
「・・・そうね。はー、疲れた」
 海から脱出してさらに数十分後、オーフェンとクリーオウはなんとか元の海岸へと戻ってくることが出来たのだった。
 延々と歩きつづけ―――さすがに森は通らなかったが―――疲れきった身体を一時休めるために、クリーオウは砂浜へと身体を投げ出した。そして、その隣に腰掛けるオーフェン。
 少しの間、二人は無言のままだった。と言ってもオーフェンのほうは、大魔術の連続使用に、今までの徒歩(往復)、クリーオウの安否について使った神経などによる疲労で、口を開く元気が無かっただけだった。
 と、同じように黙って海を眺めていたクリーオウが唐突にオーフェンのほうを振り向いた。
「ねえ、オーフェン。一つ聞いていい?」
「ん? なんだよ」
「あのさ、助けてもらったときなんだけど・・・目を開けたらオーフェンの顔が目の前にあった気がしたのよね。あれってどういうことかしら? なんだかその後のオーフェン、ちょっとだけ顔が赤かった気がするんだけど・・・」
「な、な、な、何のことだ!? 別に何にも無かった! お前の見間違えだろ!?」
「力いっぱい否定するところが微妙に怪しいのよねー」
 ジト目でオーフェンをにらむクリーオウ。対するオーフェンは心の動揺を必死で悟られないように、あさってのほうを向いていた。
(まさか言えねえよな。人工呼吸をしようとしていたらお前が起きて焦った・・・なんて)
 不可抗力とはいえ何を言われるか分からない。いや、なにかを言われるだけならまだしも、彼女の場合は報復と称して様々な嫌がらせを実行する。筆頭としては黒い悪魔の魔術なわけだが・・・
「さ、さっさと宿に帰るぞ! 疲れを取らねえと倒れちまうからな!!」
「・・・オーフェン、ごまかしてない?」
「うるせえ! ・・・さっさと行くぞ、ホラ」
 そう言ってオーフェンは立ち上がり、クリーオウに向けて手を差し出す。その手をクリーオウが握ってから、彼女を立ち上がらせた。
 そして、彼女が完全に立ち上がったのを確認してからオーフェンはゆっくりと歩きだした。と、
「あー・・・一つ言い忘れてたんだが・・・」
 立ち止まり、歯切れ悪そうに言葉を発した。どこか照れくさそうな雰囲気を、あたまをかくという仕草によって漂わせながらも、オーフェンは言葉を続けた。
「その・・・お前の水着な、似合ってるぞ」
「へっ!? ・・・・・・あっ、その・・・ありがと・・・」
 オーフェンの言葉に真っ赤になって俯くクリーオウ。言って欲しかった言葉ではあるのだが、言われてみると逆に恥ずかしいものである。
 そして、オーフェンも恥ずかしさに真っ赤になっていた。それを気取られないようにさっさと彼女から離れようと歩きだ双としたオーフェンだったが・・・唐突にTシャツを引っ張られた。
 振り向くとクリーオウがいつのまにか歩み寄っていた。少し目線をそらし、言いにくそうに顔を俯く彼女だったが、ようやく決心したのか、オーフェンの顔を上目遣いで見上げてこう言った。
「・・・ごめんなさい・・・心配かけて」
「・・・・・・もういい」
 そう言ってオーフェンはクリーオウの頭に、ポンッと自分の手を置いた。そして、ため息をついてから改めてこう続けた。
「でもな、もう勝手に一人で泳ぎに行くんじゃねえぞ。俺の目の届くところに居てくれ・・・それかせめてレキを連れてってくれ。わかったな?」
「なんだか保護者みたいで偉そうな口調が気にいらないけど・・・わかったわ」
 今日はやけに素直だな、と心の中でつぶやいてから、オーフェンはクリーオウの頭から手を離した。
 そう言えばこれも子ども扱いしてるようなもんじゃねえのか?などと火に油を注ぐような言葉が浮かんだが、そのままの事態になりそうなので飲み込んでおくことにした。オーフェンとしても嫌がられない点では安心しているのだ。
「ほら、今度こそ帰るぞ。夕食は宿泊でセットになってんだから無駄には出来ねえぞ?」
「あっ、それもそうよね。じゃあ行きましょうか!!」
 そう言って走り出すクリーオウ。そのあとを慌ててついていくオーフェンだった。
 と、追い風を受けながら、クリーオウに聞こえないような小さな声でオーフェンはつぶやいていた。
「・・・怖かったんだからな」
「えっ? 何? 何か言った?」
 しっかり聞かれているようだった。
 クリーオウは走るスピードを緩めると、オーフェンと並走しながら彼の顔を覗き込む。
「何でもねえよ!!」
「何よー、白状しなさいって!! それになんだか顔が赤いわよ?」
「うるせえ! さっさと帰るって言っただろうが!!」
「あっ、ちょっと待ちなさいよー!!!」
 突然スピードを上げたオーフェンを、声を上げてからクリーオウは追って行った。言葉とは裏腹に、その声は何かを楽しんでいるようにも感じられた。
 夕日が海を赤く染める中・・・長く伸びる影と共に二人は海岸から走り去っていった。
 夏の海岸は、一日の終わりと共に静けさと闇に包まれていった。




 そんな海岸の中に存在する海の家の一つ。
 客も居なくなり、閉店の準備が着々と進む中、一人の少年がぽつんと座っていた。
「・・・で、どこ行ったんだろうねぇ。お師様とクリーオウは・・・」
 ぽつりとそんな言葉をもらすマジク。
 そんな彼の言葉を聞いてか、ひざの上のレキは音の無いあくびをしたのだった。

あとがき : 影虎さま
 どうもー!影虎です!!オリジナル以外ではかなりお久しぶりですー!オークリ!
 題して『波乗りジョニー発売記念(大嘘)真夏の海岸編!!』です
 影虎がこれ(あとがき)を書いてる時点ではタイトル未定ですが(爆死)
 と、いうかそのオークリも既成事実って言うのは・・・僕も相変わらずって奴ですね(苦笑)
 なお、この小説の内容に関しまして様々なアイディア、妄想を提供してくださいました
 卯月さん、神楽坂さん、モーブさん、ゆかなかさんに改めてお礼を申し上げます(ぺこり)

 内容については・・・人工呼吸『未遂』<ポイント♪
 別にさせちゃっても問題なかったんですけど・・・まあ、悲しいオーフェンがもれなく見れるって事で。
 あとでそのねたを使っていじめれますし(外道)
 ちなみにオチは卯月さんから頂きましたー!

 ではでは!夏らしく!海岸編でしたー!
影虎さま、ありがとうございました!