サンディ・ピータセン魔道ルール

    -The Sandy Petersen's Sorcery Rules-

copyright 1998, Sandy Petersen
翻訳・編集(c) 木村 圭祐/‘たびのまどうし’しーちゃん ,1999

魔道の概観

  グローランサではいくつかの異なった魔術体系が広義に「魔道」と呼れている。クラロレラの神秘魔術はクラロレラ地方に限定されたものであり、余所者が習得する事は非常に難しい。東方諸島土着の魔術は、魔術エネルギーを操作してその効果を生み出すという点では魔道と似た点がある。ドワーフ魔術は通常の魔道と非常に似通っており、実際には魔道はドワーフ魔術より分かれたものなのかもしれない。

   最も良く知れ渡っている形態の魔道はブリソス人とヴェイデル人を祖とするものであり、この魔道は世界のかなりの地域に広まっている。第三期の多くの――おそらくほとんどの――魔道士はマルキオン教徒ではない。

魔道を学ぶ事のできない者

呪文の習得

呪文技能の向上

記憶の制限

  魔道呪文の記憶には1ポイントのINTが必要である。このINTは魔道士自身の頭脳でもよいし、《呪文封印》呪付でも、呪縛した精霊でも、使い魔でもよいが、どこかに記憶せねばならない。魔道士自身が実際に記憶した事のない呪文でも訓練や研究は可能である(使い魔や魔法の物品などを通じて呪文に“接触”できる必要はある)。

魔道呪文の投射と維持

  魔道呪文の成功率は術者の呪文技能(〈浄化〉技能による修正が加えられる)と同じであり、1D100のロールで判定する。いかなる場合においても、呪文の操作に使用するアートの合計レベルは[呪文技能÷10]以下でなくてはならない。術者の成功の程度によって以下のような結果が適用される。

成功度          結果
決定的成功     呪文成功。1ポイントのみMPを消費する。
効果的成功     呪文成功。必要なMPが1ポイント少なくなる(最低1MPは必要)。呪文は完全に効果を発揮する。
成功             呪文成功。通常通りのMPを消費する。
失敗             呪文失敗。1MPだけ消費する。
ファンブル      呪文失敗。呪文に消費したMPをすべて失う。(もしくは別の標的に呪文がかかる、変わった効果が表れる、など。)

魔道呪文の投射に要する時間は、[魔道士のDEX SR+呪文に使用するMP1ポイントつき1SR]である。これには〈軽減〉や〈速度〉のアート、〈浄化〉技能による修正が加えられる。


アート

  魔道のアート(魔道技法)は呪文を投射する際に使用する。術者が使用する事のできるMPは[呪文技能%÷10]までに制限される事に注意する事。

  一般に3つの基本アートが知られている。〈強度〉、〈合成〉、〈距離〉である。“副次”アートもいくつか一般に知られている。他の副次アートも知られているが、そのすべてがあらゆる魔術学院で学べるわけではない。

アートの習得

  アートを学ぶ主な方法は3つある。これらの方法を同時に用いる事も可能ではあるが、ほとんどの生徒は1つの方法のみを用いてアートを学ぶ。術者の教派がどのようにアートを学ぶかについては、教派独自のアート学習の手段を参照する事。最も一般的なルールだけを以下に記述する。


基本アート(〈強度〉、〈合成〉、〈距離〉)

〈強度〉  Intensity

   最も基本的なアートである。《毒素6》のように、呪文名の後に数字が記されている場合、それは[《毒素》、強度6]を略したものである。

〈合成〉   Multispell

   同一、もしくは複数の標的に同じに複数の呪文を投射するためのアートである。組み合わせた呪文は、アートの合計レベルを同じにする事もできるし、1つ以上の呪文の合計レベルだけを下げる事もできる。〈合成〉1レベルにつき1つの呪文を組み合わせる事ができる。もしくは1レベルごとに全ての呪文をかける対象を1つ増やす事ができる。原注:1レベルの〈合成〉は何の意味も持たない。
   複数の呪文を組み合わせた場合の呪文の成功率は、〈合成〉する呪文うちで最も低い呪文技能と同じになる。《炎発生60%》、《炎動作80%》のの呪文技能を持つ魔道士が2つの呪文を〈合成〉した場合、この呪文でアートに使用できるMPは《炎発生》の60%によって制限され、6MPまでとなる。2つの呪文を投射するのに〈合成2〉を必要とするため、〈強度〉を4以上にする事はできない。しかし〈合成〉によって組み合わされたすべての呪文はその〈強度〉を共有する。そのためこの6MPで炎を〈強度4〉で《発生》させ、〈強度4〉で《動作》させる事ができるのである。
   複数の攻撃型呪文を組み合わせる場合、対象は一度の抵抗ロールですべての呪文の判定を行う。失敗すると全ての呪文が効果を発揮する。抵抗ロールに成功すれば、すべての呪文に抵抗した事になる。それぞれの呪文の対象の抵抗を打ち破る確率が異なる場合は、一度だけ抵抗ロールを行い、その値でそれぞれの呪文が効果を発揮したかどうか判定する。したがって、ある呪文が抵抗を打ち破り、別の呪文が抵抗される事がある。呪文を〈合成〉した場合、すべての呪文に単一の〈強度〉が適用され、この〈強度〉が魔術抵抗呪文を打ち破る際の判定に用いられる。したがって〈強度2〉の呪文が15〈合成〉されていたとしても、《抵抗4》によって抵抗される。

   例:魔術師スラクソンは《STR減退》、《CON減退》、《SIZ減退》、《変身》を合成する。彼は〈強度6〉を適用し、〈合成4〉が必要である(4つの呪文が含まれるため)。必要なMPの合計は10ポイントで、対象はSIZ、CON、STRがそれぞれ6減少し、加えてSIZが12以下であれば《変身》も効果を発揮する。もしスラクソンが〈待機8〉を含めるならば、彼は全部で18ポイントのMPを消費する事ができれば効果を保持できる。もちろんこの場合、これらの呪文すべてに171%の技能が必要とされるが、変成術の専門家であれば86%の技能で良く、こちらはより現実的である(魔道の専門分野については後述)。スラクソンがこの呪文を投射する際には、対象のMPの抵抗を打ち破るために一度だけロールを行う。もしSIZ13以上であればすべての呪文は自動的に失敗する。なぜなら《変身》呪文の失敗率100%が、含まれる呪文の中で“最も低い成功率”だからである。
〈距離〉   Range

  このアートなしでは、遠隔型呪文は10mまでの範囲までしか届かない。〈距離〉に費やす1MPごとに範囲は2倍になる。能動呪文が効果を発揮するためには対象を〈距離〉の範囲内に留めておく必要があるため、十分な〈距離〉が必要となる。

距離/コスト表
〈距離〉    最大距離    〈距離〉    最大距離
    0           10m        11           20km
    1           20m        12           40km
    2           40m        13           80km
    3           80m        14          160km
    4          160m        15          320km
    5          320m        16          640km
    6          640m        17         1300km
    7          1.3km       18         2500km
    8          2.5km       19         5000km
    9           5km        20        10000km
   10          10km


副次アート(〈精度〉、〈軽減〉、〈強制〉、〈待機〉、〈永続〉、〈補強〉、〈速度〉)

〈精度〉   Accuracy

   (例えばランダムに命中部位を決定するなど)対象をランダムに決定する呪文にのみ使用する事ができる。〈精度〉に費やす1MPごとに術者はダイス目を1修正できる。

〈軽減〉   Ease

  このアートは1レベルにつきに呪文に費やすMPを1ポイント減少させる。しかしながら呪文の投射には〈軽減〉のレベル分のSRが余分に必要になる。最終的なMPを〈軽減〉のレベルより引き下げる事はできない。

  例:スラクソンはこちらにいまだ気付いていない衛兵に《麻痺》を投射する。だが貴重なMPを使う理由はないと考えた。そこで《麻痺4》を〈距離2〉、〈軽減3〉で使用し、消費MPは4+2-3=3MPとなった。〈軽減4〉を使用するのは愚かである。その場合少なくとも4ポイントMPが必要となるが、消費MPはすでに3点となっているからである。この呪文の投射にはDEX SRに加えて9SR必要になる。そしてもちろんスラクソンの技能は少なくとも81%は必要である。

〈強制〉   Force

  このアートは術者のMPと対象のMPやPOWなどで抵抗ロールを行う攻撃呪文にのみ使用する事ができる。MPを1ポイント費やすごとに、標的を打ち破る確率が5%上昇する。術者が抵抗を打ち破る可能性が5%未満の場合、その不利な状態をうち消せるだけの〈強制〉が必要になる。

〈待機〉   Hold

  1つの魔道呪文を、投射可能な状態で待機させておく事ができる。〈待機〉のアートに必要なMPは他に使用しているアートのうち最も高いものと同じだけ必要になる。この呪文は異界へと飛び出し、そこでいつでも発動可能な状態のままになる。これによって“緊急用”呪文となるのである。〈待機〉した呪文が解放された場合、呪文はDEX SRに発動する。〈待機〉している呪文は、投射されるまで1つにつき術者のプレゼンスを1ポイント占有する(投射された時点で通常通りプレゼンスを占有する)。呪文に必要なMPは、呪文を投射する時点ではなく、呪文を〈待機〉させたときに消費する。そのためこの呪文は“無償の”呪文となる。

〈永続〉   Permanence

  その呪文の実際の大きさに関わらず、呪文は1プレゼンスだけを占有するようになる。〈永続〉に使用するMPは同時に使われた他のアートのうち、最も高いものと等しくなければならない。それに加えて、術者は1ポイントのPOWを消費せねばならない。

〈補強〉   Reinforce

  持続型の呪文に魔術破壊呪文(訳注:《呪払》、《中和》、《魔力消散》など)に対する抵抗力を与える。〈補強〉に費やされたMP1ポイントにつき、魔術破壊の試みに対する3ポイントのかりそめの追加〈強度〉を与える。

〈速度〉  Speed

  より素早く呪文を唱えるために使用される。呪文の投射に必要なSRを計算する際、〈速度〉のSRを加えない(MPの計算には加える)。加えて〈速度〉に費やした1MPにつき、呪文の投射に必要SRが1減少する(ただし最低でも1SRはかかる)。


魔道士の地位

  ほとんどの社会において、魔道士は定められた階級を昇っていき、その実力に応じて階級分けされている。

・生徒  Student

  生徒は年長の魔道士に仕える。地方の習慣によって異なるものの、一般には少なくとも修行者の地位にある者が生徒をとる(魔道士が一般的な社会では、達人だけが生徒をとる)。生徒は最初に特定のアートの習得に専念する(通常は〈強度〉である)。アートを習得すると、公式の式典にて「大いなる誓願」を取る。良い師匠は生徒に複数の呪文を覚えるべきだと主張する。師は新たな生徒に《師弟の契り》をかけてもかけなくても良い。

[生徒の条件]
(1) 魔術分野技能修正が10以上である事。

・徒弟  Apprentice

  生徒が3つの基本アートすべてを習得すると、次の式典で「器の誓願」を取る事が許される。この時点で「徒弟」の階級に昇格し、新たな特典が与えられる。徒弟はいまだ生徒扱いである。重要な生徒になっただけである。師に専門があれば、徒弟はその専門分野を選べる。選ぶ分野は師の専門でなくてはならない。ほとんどの教派では、師は生徒が徒弟になった時点で《師弟の契り》を行う必要がある。

[徒弟の条件]
(1) 全ての基本アートを習得している事。
(2) 〈浄化〉、〈呪付〉、〈召喚〉技能が最低でも01である事。

・修行者  Journeyman

  徒弟として十分修行を積むと、多くの教派では師のもとを離れる事が許される。師のもとを離れなければならないわけではないが、二流として扱われる。技を磨かない限り収入は著しく制限される。これが通常のPCが冒険を始めるレベルである。

[修行者の条件]
(1) すべての基本アート、さらに副次アートを1つ以上学んでいる事。
(2) 〈浄化〉、〈呪付〉、〈召喚〉が最低でも25%ある事。
(3) 少なくとも1つの呪文が90%ある事。

・達人  ADEPT

  達人は魔道のあらゆる面に秀でた者と見なされている。達人は特定の条件を満たさなければならず、どこに行っても尊敬され、畏れられる。文明化された地域では達人は権力者から認可を受け、特定の権限が与えられる。例えば、ほとんどのマルキオン文化では、達人にだけ純白のローブを着用する事が許される。達人は、通常では専門分野の魔道士にだけ許される呪文を習得する事ができる。その分野に十分な知識を持っているからである。

[達人の条件]
(1)すべてのアートを習得している事。
(2)儀式呪文を除く5つの呪文技能が90%以上である事。
(3)浄化、呪符、召喚が50%以上である事。
(4)使い魔を持っている事。
(5)守護聖人が3人以上いる事(マルキオン教徒)。聖人を認めない教派やマルキオン教徒でない場合は同程度の事を成し遂げている必要があるが、内容は教派によって異なる。

・博士 MAGUS

  ある時点までいくと、達人は博士を自称する事ができる。通常は周囲の人々がそう呼ぶようになってからである(そうでなければ単なる笑い者)。特定の条件はないが、通常は少なくとも以下のような条件を満たしている存在だけが博士と見なされる。

[一般的な博士の条件]
(1)浄化、呪符、召喚が90%以上である事。
(2)儀式呪文を除く12の呪文技能が90%以上である事。
(3)最低でも1つ新しい呪文を開発している事。
(4)プレゼンスが50以上。


誓願

  魔道士は守るべき誓い-誓願-を立てる事でプレゼンスを作り出し、増やす事ができる。誓願を破った場合、魔道士はその誓願から得た分のプレゼンスを失い、その誓願を二度と立てる事はできない。この事実は、マルキオン教徒の間では、法の神である見えざる神が魔道を司っている事の証拠と考えられている。

誓願

  魔道士は守るべき誓い-誓願-を立てる事でプレゼンスを作り出し、増やす事ができる。誓願を破った場合、魔道士はその誓願から得た分のプレゼンスを失い、その誓願を二度と立てる事はできない。この事実は、マルキオン教徒の間では、法の神である見えざる神が魔道を司っている事の証拠と考えられている。  

誓願の習得

  魔道士が最初のアートを習得すると、その流派の「大いなる誓願」を立てる事ができる。これは一生を通じての精神的な規範となる。
  基本アートである〈強度〉、〈合成〉、〈距離〉の3つを習得してはじめて「器の誓願」を行う事ができる。これらのアートを学習によって習得する教派では魔道士はそれらのアート技能が+の値になった時点で、「器の誓願」を立てる事ができる。
それ以後1つのアートを習得するごとに1つの誓願を選んで追加する事ができる。加えて、1つの呪文技能が90%になるごとにさらに1つの誓願を選んで追加する事ができる。何らかの理由でアートを忘れるか、該当する呪文技能が90%以下になっても誓願を失う事はないが、そのアートを習得し直したり、呪文が再び90%に達しても、誓願を新たに立てる事はできない。1つのアートもしくは呪文技能に対して立てる事のできる誓願は1つだけである。

習得したアート 習得できる誓願
なし なし
1つだけ 大いなる誓願
基本アートすべて 器の誓願
その他のアート1つにつき どれか1つの誓願
90%に達した呪文1つにつき どれか1つの誓願

大いなる誓願 The High Vow
  通常徒弟が最初に行う誓願である。徒弟は最初のアートを習得した際にこの誓願を立てる。「大いなる誓願」はマルキオン教各派の間で異なるものであり、それゆえ、「フレストル派の大いなる誓願」、「ロカール派の大いなる誓願」、などが存在している。誓願を行った者は教派の掟(カースト制度など)を遵守しなくてはならない。「大いなる誓願」によって増加するプレゼンスは魔術分野修正(魔術による増加分は除く)に等しい。分野修正が0以下の場合には、プレゼンスは1だけ増加する。
他の教派へと改宗した場合、魔道士はこの誓願を失う。ただし改宗先の教派で新たな誓願を立てる機会があれば、もう一度「大いなる誓願」を立てる事はできる。
非マルキオン教徒の間でも、このような「大いなる誓願」に相当する誓願を有している。それは一般に魔道士が精神の拠り所とする理念である。このような精神的な枠組がなくとも魔道を学ぶ事はできるが、もちろんはるかに困難である。無流派といえる魔道士の大半も、「大いなる誓願」として倫理的教義や精神的規範を固守している。自らを取り巻く現実に基づくこのような教条なくしては「大いなる誓願」を立てる事はできず、そうした魔道士の魔道の力は相当に弱くなる。

知識の通暁 Lore Mastery
この誓願は、即座にプレゼンスが増加につながるかどうかに関わらず、魔道士が2つ目のアートを習得した際に立てる。基本的に「知識の通暁」は魔道士の特定の技能が90%に達した、すなわちその技能を習得した場合、その技能1つにつき、魔道士のプレゼンスに1を加える、というものである。この「誓願」が効果を発揮する技能には〈(全ての言語)読み書き〉、〈(全ての)知識〉、〈浄化〉、〈呪付〉、〈召喚〉、技能として習得している〈(アート)〉技能が含まれる。「器の誓願」と同じく、実質的にこの技能を破る事はできない。魔道士の技能が90%未満になったとしても、この誓願は破った事にはならず、その技能が再び90%に達するまで、その技能から得た分のプレゼンス減るだけである。

器の誓願 The Vessel
基本アート(〈強度〉、〈合成〉、〈距離〉)を習得したときに取る誓願である。呪文を記憶していない分のINT、すなわちフリーINTが“魔法の器”となり、プレゼンスに加えられる。術者個人のINTのみを計算する。この誓願は事実上破られることがないので、特に便利である。魔道士のフリーINTが0の場合、この誓願からプレゼンスを得る事はできないが、呪文を忘れれば(フリーINTを開放すれば)プレゼンスは再び増加する。
 

その他の誓願


それぞれの誓願の後に記されている数字は、プレゼンスの増える量を示している。


専門化

魔道士は特定の種類の魔術を専門にする事ができる。専門分野の魔道士はその専門分野呪文はすべて[技能÷5]レベルまでのアートを使用する事ができる。逆に専門外の呪文は[技能÷20]レベルまでのアートしか使用する事ができなくなる。例えば、幻術師が《視覚錯覚》と《手当》の呪文をそれぞれ85%で習得している場合、《視覚錯覚》は17レベルで使用する事ができるが、《手当》は5レベルしか使用する事ができない。専門を持たない魔道士はどちらの呪文も9MPまで使用する事ができる。
 
専門分野の例:
呪文:専門分野に含まれる全呪文。
誓願:専門分野により変更される誓願。
知識の通暁:通常の「知識の通暁」よりも多くのプレゼンスを得る事のできる技能、「知識の通暁」が適用される技能。
その他:特別なボーナスやペナルティ。
 
錬金術師 Alchemist
呪文:《(物質)動作》、《(物質祝福》、《(属性)増幅》、《吸盤》、《物体探知》、《(エネルギー)放射》、《(物質)感応》、《鍛剣呪付》《バシリスク創造》、《(金属)呪鍛》、《呪付変成》。
知識の通暁:〈製作〉、〈鑑定〉、〈鉱物知識〉、〈世界知識〉技能はそれぞれ2ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊アート〈錬金術〉を学ぶ事ができる。
 
招霊術師 Conjuror
呪文:《バシリスク創造》、《(異界の種族)制圧》、《魔道眼》、《防御円》、《耐魔》、《耐霊》、《(種族)召喚》、《呪縛》。
知識の通暁:〈悪魔学〉、〈魔術知識〉、〈精霊知識〉、〈召喚〉技能はそれぞれ2ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊魔道呪文《エレメンタル増幅》を学ぶ事ができる。
 
治癒術師 Healer
呪文:《(医療機具、解毒剤など)祝福》、《(病の精霊、感情精霊、治癒精霊)制圧》、《再生》、《耐死》、《耐病》、《耐毒》、《(治癒精霊)召喚》、《手当》。
誓願:特殊なものはないが、「不殺生」と「危害拒否」が一般的。
知識の通暁:〈応急手当〉、〈毒の治療〉、〈病気の治療〉はそれぞれ2ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊呪文《病気の中和》。
 
《病の中和》 Neutralize Disease
接触、瞬間
病気の効果を取り除く。呪文の〈強度〉と病気のPOTで抵抗ロールを行う。病気が病の精霊によって引き起こされたものであれば、精霊のPOWをPOTの代わりに用いる。通常の病気であれば、病気の“レベル”1レベルにつきPOT5と見なす。つまり軽度の病気はPOT5、中度の病気はPOT10と見なされる。呪文の〈強度〉が病気のPOTを打ち破れば、病気は治癒する。
他の《中和》呪文とは異なり、《病の中和》は呪文の〈強度〉が病気のPOTの半分以下でも効果を発揮する。通常様々な薬も必要になる。
 
呪付師 Enchanter
呪文:全ての呪付呪文。
知識の通暁:〈呪付〉、〈魔術知識〉はそれぞれ2ポイントのプレゼンスを得る事ができる。最初に通暁した〈製作〉技能は3ポイント、2番目の〈製作〉は2ポイント、それ以降は1ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊魔道呪文《条件打破》を学ぶ事ができる。
特殊能力:〈呪付〉に条件を施す際にPOWを必要としない。
 
草木術師 Forest Mage
呪文:《木材動作》、《植物動作》、《樹木動作》、《(植物の種族)動作》、《知覚分野技能増幅》、《隠密分野技能増幅》、《(森林地帯の種族)制圧》、《(感覚)突出》。
知識の通暁:〈植物知識〉は3ポイント、全ての隠密技能は1ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊魔道呪文《樹木への変移》、《臭跡破壊》、その他の特殊呪文を学ぶ事ができる。
 
《臭跡破壊》 Destroy Scent
遠隔
この呪文は標的のSIZの3分の1以上の〈強度〉が必要である。この呪文を維持している間、標的は良い香り、悪い臭いに関わらず、一切の臭いを放たなくなる。
 
幻術師 Illusionist
呪文:《(感覚)錯覚》、《(感覚)突出》。
知識の通暁:〈早業〉、〈物を隠す〉、全ての知覚分野技能、全ての隠密分野技能は1ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊アート〈幻術〉を学ぶ事ができる。
 
〈幻術〉
この呪文は持続型の呪文にかりそめの知覚力を与える。術者は他のアートの中で最も高い同じレベルで〈幻術〉のアートを使用せねばならない。アートの内容を説明するよりも、この〈幻影〉がどの様に機能するかの例を示す方が、このアートをより容易に理解できる。《聴覚錯覚》で空中に声を出す幻影を生み出す。〈幻影〉のアートを使えば、術者は誰かが部屋に入った時にのみ声を発するようにセットする事、さらに簡単な質問に答えを発するようにする事もできる。また《窒息》呪文で〈幻影〉のアートを使用し、誰かが毒ガスの幻影の内側に踏み込んだ際に効果を発揮する様にセットする事もできる。〈幻影〉を適切に使用すれば、能動、集中呪文は自立的に制御されるので、術者の集中を必要としない。
 
変成術師 Metamorpher
呪文:《増幅(能力値)》、《減退(能力値)》、《変身(種族)》、《切開(POWとINT以外の能力値)》。
誓願:「(能力値)献呈」の誓願をとってはならない。
知識の通暁:〈動物知識〉と〈植物知識〉はそれぞれ3ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
 
識術師 Monitor
呪文:《制圧(種族)》、《魔道眼》、《魔道抑圧》、《魔酔》、《INT切開》、《テレパシー》。
知識の通暁:全ての交渉分野技能は1ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊魔道呪文《誘眠》、《澄心》、《理解》、《刷り込み》、《精神捜査》。
 
《澄心》 Clear Mind
遠隔
〈強度1〉につきINTに影響を与える呪文に対する抵抗力を1ポイント与える。例えば、《麻酔》に対しては防御のためにかりそめのフリーINTとして働き、《惑い》から回復するために対象のINTから1引いてくれる。同様にINTを対象とする他の呪文に対しても、より助けになるようにINTを上下させる。
対象は心理的または感情的な効果を発揮するあらゆる呪文に対して抵抗力を有するようになる。対象が《澄心》より〈強度〉の低い精神呪文の影響下にあった場合、《澄心》は《澄心》が失われるまで精神に影響を与える呪文の効果を覆い隠す。これは有害な呪文にのみ抵抗力を与えるわけではなく、《熱狂》や《テレパシー》、《恍惚の極み》、《精神結合》などの有益な呪文にも効果を発揮する。同盟精霊や使い魔との精神的な繋がりはそのまま残る。
 
《精神探査》 Mind Probe
攻撃、遠隔、集中
標準INTを有する生物にのみ効果を発揮する。対象がMPの抵抗ロールに敗れた場合、対象のMPで《精神探査》の〈強度〉と抵抗ロールを行わねばならない。これに対象が敗れたならば、術者は対象から1つ真実の回答を手に入れる事ができる。術者は毎戦闘ラウンド同様の試みを続ける事ができる。一度でも抵抗ロールに対象が打ち勝ったならば、その時点で呪文は終了する。
回答はテレパシーで送られる。もし術者がすでに対象とテレパシーで結びついているならば、標的の《精神探査》に対する呪文抵抗は自動的に失敗するが、〈強度〉とMPの抵抗ロールは行う事ができる。術者が相手の言語を知らなかった場合、答えは「はい」、「いいえ」、「知りません」という形でのみ与えられる。
 

死霊術師 Necromancer
呪文:《死体動作》、《(アンデッド)制圧》、《枯渇》、《死の手》、《耐死》、《生命感応》、《亡者感応》、《(能力値)切開》、《魂追い》、《バシリスク創造》、《ヴァンパイア創造》、《不死》、《(アンデッド)召喚》。
誓願:「天空拒否」が第三の誓願として必須。加えてAPPが1になるまで誓願5つごとに必ず「APP献呈」をとらなければならない。「不殺生」、「不死拒否」は禁じられる。
知識の通暁:〈魔術知識〉と〈アンデッド知識〉は2ポイント、全ての隠密分野技能は1ポイントのプレゼンスを得る事ができる。。
その他:特殊魔道呪文《生命隠蔽》。死霊術師は混沌であるか、少なくとも混沌と関連すると考えられている。
 

《生命隠蔽》 Hide Life
自身のみ
対象は《生命隠蔽》より高い〈強度〉で呪文がかけられない限り、探知系の呪文で発見する事ができなくなる。もし能動呪文として術者がこの呪文に集中しているならば、《生命隠蔽》は探知呪文と〈強度〉の抵抗ロールを行う事ができるようになる。
 
船術師 Ship's Sorcerer
呪文:《(ロープ、キャンバス、木など)動作》、《船(と船用機具)祝福》、《(船の能力値)増幅》、《風放射》、《吸盤》、《開洋》、《命の皮》。
誓願:「海拒否」、「嵐拒否」、「天空拒否」は禁止される。
知識の通暁:〈操舟〉、〈(適切な)製作〉、〈航海術〉、〈操船〉、〈世界知識〉は2ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
 
(エレメント)術師 Warlock [of named element]
呪文:(該当するエレメントの)《動作》、《招来》、《放射》、《耐(攻撃タイプ)》、《感応》。《制圧(エレメンタル)》、《召喚(エレメンタル)》。
誓願:「(対立するエレメント)拒否」が第三の誓願として必須。対立するエレメントは自身のエレメントに優るものと劣るものである。例えば、水と闇は炎と対立するエレメンタルである。もう一種類の「エレメンタル拒否」は第5の誓願として獲得せねばならない。敵対する「(エレメンタル)忌避」の誓願は通常に加え1ポイント多くプレゼンスを得る事ができる。
知識の通暁:〈鉱物知識〉と〈世界知識〉は2ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊魔道呪文《増幅(エレメンタル)》。リストの呪文は選択したエレメントに関連する呪文だけ使う事ができる。例えば《耐傷/炎》は専門だが、《耐傷》は専門ではない。選択したエレメントが関連するものはすべて専門になる。例えば炎術師は《炎放射》も《光放射》も共に専門の呪文である。
 
天候術師 Weather Mage
呪文:《霧動作》、《(適切なエネルギー)招来》、《シルフ制圧》、《稲妻放射》、《突風放射》、《飛行》。
誓願:「天空拒否」、「嵐拒否」は禁止される。
知識の通暁:〈世界知識〉は4ポイントのプレゼンスを得る事ができる。
その他:特殊魔道呪文《天候予測》など。
 
《天候予測》 Predict Weather
浄化、遠隔
その時から1日の天気を正確に予測する。儀式がファンブルなら、天候術師には誤った予測がもたらされる。呪文と超自然の効果は予測できない。この呪文の予測は呪文の範囲内だけのものである。
 
 

魔道呪文

 

他の魔術と魔道


他の種類の魔術は魔道に干渉する。魔道士が精霊呪文や神性呪文を唱えた場合、それらはプレゼンスを使用する。それらの呪文のプレゼンスの占有は呪文が失われるまで持続し、魔道の妨げとなる。だが魔道士は通常通り呪文が終了するか、または(それらの維持を中止できる場合は)維持を中止するまで呪文(訳注:精霊呪文もしくは神性呪文)を中断する事はできない。精霊呪文はポイントにつきプレゼンスを1ポイント使用する。神性呪文は1ポイントにつき4ポイントのプレゼンスを使用する。持続時間が瞬間の精霊呪文、または神性呪文は、呪文を唱えたラウンドの間プレゼンスを使用するだけである。
魔道と他の種類の呪文が同一の対象に投射された場合、同じような効果を持つ呪文の効果が累積するする事はなく、それらの効果は“重複”する。例えば、《損害増幅6》と《鋭刃4》が同じ剣に投射された場合、(《損害増幅》の効果によって)ダメージが6ポイント上昇し、(《鋭刃》の効果によって)命中率が20%上昇する。
組み合わせの可能性は無数にあるため、特定の呪文同士の組み合わせが“重複”するかどうかの最終的な判定はGMの判断に委ねられている。同じような効果を持つ呪文同士が“重複”する事はないという事に注意。例えば《火剣》と《損害増幅》の組み合わせは、両方の呪文が共にダメージを増加させるため、それらの効果は“重複”しない。この場合《鋭刃》と共に《火剣》が投射された場合のように《火剣》が優先する。
 

呪文投射の詳細

《足かせ》などの攻撃型呪文は、効果を得るためには自身のMPで標的のMPを打ち破ねばならない。標的は抵抗しない事もできる。《手当》などの非攻撃型呪文は通常標的のMPを打ち破る必要はないが、標的は抵抗する事もできる。
能動型呪文の場合、これを維持している間は他の呪文を投射する事はできない(〈待機〉させている呪文は例外である)。能動型呪文と別の呪文の効果を同時に得るためには、〈合成〉を使用する必要がある(例:《飛行》と《石動作》により空飛ぶガーゴイルを作る)。精神集中により、能動型呪文の効果は一時的に停止させたり、また再開させたりできる。同時にコントロールできる能動型呪文は1つだけである。
“集中型”の呪文は能動型と同じであるが、加えて精神集中が途絶えると呪文も失われる。同時にコントロールできる集中型呪文は1つだけである。
呪文の多くは、消費するポイントや与えるダメージが1D(強度)に等しくなる。これは最大値が〈強度〉等しい1つ無いし複数のダイスの組み合わせでダイスロールを行う、という意味である。それゆえ:〈強度3〉=1D3、〈強度6〉=1D6、〈強度10〉=1D10、〈強度14〉=1D8+1D6、〈強度18〉=3D6、などとなる。
ある種の呪文は《動詞(名詞)》の書式(《動作(物質)》など)で表現される。このような呪文はさまざまな形態のヴァリエーションが存在し、それぞれの呪文について記述されている呪文もあれば、そうでない物もある。《動作(物質)》は1つの呪文ではなく、そのカテゴリーに含まれる複数の呪文すべてを示しており、それぞれの呪文は別々に習得せねばならない。《石動作》の知識は《炎動作》呪文を投射する際には何の役にも立たないのである。
 

一般魔道呪文


 
《死体動作》 Animate Dead
遠隔、能動
〈強度〉1ごとに1D6のSTRで、もしくはSIZ6の死体を操る事ができる。通常は、死体のSIZを操るのに十分な〈強度〉が必要である(特殊な場合としては、死体の手や頭などの部分だけを操る事が必要な場合もあるかもしれないが)。STRに使用される〈強度〉は少なくともSIZに使用される〈強度〉の半分以上でなければならない。この場合、はいずり回る事ができるだけで、大きく動く事はできない。死体の元々のSIZ以上を操る事はできないが、生前のSTR以上のSTRを与える事はできる。死体の移動力は生前より1少ないが、スケルトン(骨格)を操る場合には同じ移動力で移動できる。
例:魔道士スバディムはSIZ32の馬の死体を操ろうとする。〈強度6〉がSIZから必要となり、STRに使用する分として少なくとも〈強度3〉(これにより3D6のSTRが与えられる)が必要である。

《動作(物質)》 Animate [substance]
遠隔、能動
術者は〈強度〉1につき、SIZ1、ENC1、あるいは1立方mの物質を操る事ができる(空気、光、火のような形の無い物質なら立方m単位、といった具合である)。物質はそれぞれ異なった性質を持っている。《動作》呪文はトロウルや人間のような複雑な生命体には使用する事はできない。動作させる物体が適切な作りをしていなければ、(その物質からできている一部を動かす事で)物体や道具の全体を動かす事はできない。物体のAPは以前のままである。通常、木製の物体は移動力3で、石製の物体は移動力1、金属製の物体は移動力2で動作する。他の物質は石、木、金属などとの比較で移動力を算定する。
動作させる物質は《青銅動作》のような限定されたものでも、《金属動作》のように範囲の広いものでもかまわない。呪文による動作の程度を決定するためには、呪文の限定性と状況を併せて考慮せねばならない。基本的なシステムは以下の通りである。
 
DEX倍率 呪文
×7 品物を特定する――《剣“雑草喰らい”動作》。
×5 品物の種類と材質を特定する――《青銅剣動作》。
×3 材質を特定する――《青銅動作》
×1 材質の分類を特定する――《金属動作》。
 
・物体が意図する動作に不適切なものであるなら、DEXロールの結果に関わらずその行為は行えない。動作に非常に適した物であれば、ボーナスを得られるかもしれない。
・(扉の錠のように)標的に可動部分がある場合で、DEXロールよりも〈修理〉技能が低いならば、その〈修理〉技能を用いる。
・ダメージを受けた物体を《動作》呪文により修復する事も可能である。術者は少なくとも1時間(宝石や精密機械のような微妙な仕事にはより時間がかかる)と、適切な〈製作〉技能に成功する事が必要である。
・〈永続〉の効果を与えた場合か、上記の通り〈製作〉技能に成功したのでなければ、《動作》呪文が終了したときに物体はもとの形に戻る。

《誘引(危害)》 Attract [harm]
攻撃、接触、集中
この呪文の対象は様々な害意ある攻撃を引き寄せやすくなる。標的の周囲半径10mに効果を発揮し、〈距離〉を使用する事で効果範囲を拡大する事ができる。標的が生命のない状態になった場合(死亡した場合など)には呪文は失われる。
2つの《誘引》呪文が1つの攻撃に効果を発揮した場合、まず、より高い〈強度〉の呪文が効果を発揮したかどうか先にチェックする。同じ〈強度〉を持つ呪文が競合した場合、攻撃により近い方を先にチェックする。

《魔術誘引》 Attract Magic
これは遠隔型の呪文のみを引き寄せる。加えて、標的は呪文が投射される条件を満たしていなくてはならない。例えば、術者の視界に入っていなければ、呪文を引きつける事はできない。《魔術誘引》呪文の〈強度〉と、対象となる呪文の〈強度〉で抵抗ロールを行い、《魔術誘引》呪文が勝てば、たとえそれが術者自身を標的にしたものでも《魔術誘引》の対象がその呪文の標的となる。
《発射物誘引》 Attract Missiles
該当する発射物すべてに対し1D20をする。その合計が呪文の〈強度〉以下であれば、発射物は《発射物誘引》の対象に命中する。発射物を発射した際のロールが貫通や決定的成功であった場合、その効果は《発射物誘引》の対象に適用される。
《精霊誘引》 Attract Spirit
精霊戦闘を仕掛ける能力を持ち、呪文の効果範囲内にいる全ての精霊は、毎ラウンド呪文の〈強度〉とMP抵抗を行わなければならない。精霊が抵抗ロールに敗れた場合、精霊は《精霊誘引》の対象を攻撃せねばならない。すでに精霊戦闘を行っている精霊や、呪文の〈強度〉より1も10ポイント以上多いMPを有している精霊はこの呪文の効果を無視できる。
 
《祝福(物体)》 Bless [object]
接触
特定の道具や武器に弱い魔力を与える。〈強度〉ごとにその道具を使用した際の判定に5%のボーナスを加える。武器の場合、攻撃と受けの両方に適用される。
 
《硬度増幅》 Boost Armor
接触
物体のENCに等しい〈強度〉が必要となる。その値を越える〈強度〉1ポイントごとに物体のAPに1が加えられる。例えば、ミディアム・シールド(ENC3)に《硬度増幅8》を投射すると、盾のAPは5増加する。鎧は重量がありすぎるため、通常一度で鎧全体にかけるのではなく、防具の一部品ごとにかける(例えば、Mサイズのチェインメイルの全身鎧は少なくとも〈強度20〉を必要とするが、チェイン製のコイフはわずか〈強度2〉ですむ)。
 
《損害増幅》 Boost Damage
接触
〈強度〉ごとにダメージに1を加える。硬貨のような無害な物体にダメージ能力を与えるために、使用する事も可能である。
 
《射程増幅》 Boost Range
接触(ただし呪文の投射には〈距離〉のアートが必須)
この呪文は発射物に投射し、呪文の〈距離〉を発射物の基本射程と遠距離射程に加える。発射物のENCに等しい〈強度〉が必要となる(発射物のサイズは小さいので、通常は城塞兵器を除いて〈強度1〉で十分である)。
 
《増幅(能力値)》 Boost [characteristic]
接触
〈強度1〉ごとに選択した能力値に1を加える。《APP増幅》を投射する事で標的のAPPが元の値の2倍を超えると、標的の識別が不可能になる。INTとPOWは本来値を超えて《増幅》させる事はできないが、《切開》や病気によって失われたINTやPOWを補う事はできる。
 
《増幅(技能分野修正)》 Boost [skill bonus]
接触
〈強度〉2につき、特定の技能分野修正値に5%を加える。その分野に属するすべての技能が上昇する。例えば《知覚分野技能増幅4》はすべての知覚技能を10%上昇させる。(原注:魔道呪文技能は《魔術分野技能増幅》の効果を受けないが、〈浄化〉や〈召喚〉、〈呪付〉は効果を受ける。)
 
《招来(エネルギー)》 Call [Energy]
指定したエネルギーを呪文の範囲内全体に発生させる。
《凪招来》 Call Calm
〈強度〉ごとに風力を2kph弱める。
《冷気招来》 Call Cold
〈強度〉ごとに温度を2度下げる。
《熱気招来》 Call Heat
〈強度〉ごとに温度を1度上げる。
《光招来》 Call Light
おぼろげな輝きを作る。〈強度1〉なら読書に十分な光を、〈強度5〉なら日光に近い光を、〈強度10〉なら眩しい日光を作り出す。
《影招来》 Call Shadow
おぼろげな影を作る。〈強度5〉なら日中の光の中に影を作り出す。〈強度10〉なら月の無い夜のようになる。
《潮流招来》 Call Tide
海岸でのみ使用できる。水位が〈強度〉ごとに±2cmできる(術者の選択)。
《風招来》 Call Wind
〈強度〉ごとに風力を2kph強める。
 
《呪文返し》 Castback
接触
攻撃呪文が対象のMP抵抗に打ち勝てず、かつその〈強度〉が《呪文返し》のより低かった場合、攻撃呪文はその術者へと跳ね返る。対象と術者の両方が《呪文返し》を身に帯びている場合には、呪文が最終的にどちらかに影響を及ぼすまで跳ね返りつづける事も考えられる。
 
《減退(能力値)》 Diminish [characteristic]
攻撃、遠隔
《減退》させる事ができるのは、STR、CON、SIZ、DEX、APPのみである。〈強度〉1につき、指定された能力値から1を引く(最低値は1である)。標的のAPPが通常の半分よりも少なくなれば標的本人である事を認識できなくなる。
 
《減退(技能分野修正)》 Diminish [skill bonus]
遠隔
〈強度〉2につき、特定の技能分野修正値を5%低下させる。これにより、その分野に属するすべての技能が減少する。例:《運動分野技能減退》は〈受け〉を含む全ての運動技能を減少させる。
 
《制圧(種族)》 Dominate [species]
攻撃、遠隔、能動
これは複数の呪文の総称であり、各呪文は一種類の生物にのみ効果を発揮する。《制圧》には、少なくとも標的のMPの半分の〈強度〉が必要である。標的が抵抗に失敗すれば、術者の支配下に置かれる。標的は非常に嫌な行為を強制された場合、直ちに制圧を破るための抵抗ロールを行う事ができる。どんな場合でも、知性を持つ生物は1日に一度は制圧を破るための抵抗ロールを行う事ができる。
呪縛呪付に捕らえられた生物はこの呪文に抵抗する事はできず、また捕らえられた生物のMPに関係なく必要な〈強度〉は1である。
 
《枯渇》 Drain
攻撃、遠隔、瞬間
〈強度〉1につき、標的の疲労ポイントを1D6低下させる。
 
《放射(エネルギー)》 Evoke [energy]
遠隔、瞬間
術者は、エネルギーを光線として敵に向けて放ち、ランダムな一身体部位を攻撃する事ができる。
《冷気放射》 Evoke Light
呪文の〈強度〉と同じラウンドだけ持続し、標的に1ポイントのダメージを与え続ける。防具は役に立たない。
《炎放射》 Evoke Flame
炎は1D(強度)のダメージを1部位に与える。可燃性の物質は〈強度〉×5%で発火する可能性がある。防具は、命中した最初のラウンドだけ効果がある。炎が2ラウンド続けて同じ身体部位に命中するか、標的が発火してしまうと防具は役に立たない。
《光放射》 Evoke Light
目標は明るく照らし出される。ハッグやシェイドのような暗黒の存在やアンデッドは、上の効果に加えて2D(強度)のダメージを受ける。《光放射》は暗黒の属性の魔法を中和する。
《稲妻放射》 Evoke Lightening
標的はランダムな一身体部位に1D(強度)のダメージを受ける。金属鎧は役に立たない。
《影放射》 Evoke Shadow
標的の視覚に基づく技能を〈強度〉1につき5%低下させる。この状況は毎ラウンド5%づつ回復する。この呪文は大地の属性の魔法を中和する。
《水放射》 Evoke Water
〈強度〉1につき1D6のノックバック攻撃を与える。加えて、火の属性の魔法を中和する。
《突風放射》 Evoke Windblast
1D(強度)の磨滅ダメージを与え、まず命中した部位の防具を、その上でHPにダメージを与える。加えて、水の属性の魔術を中和する。
 
《飛行》 Fly
遠隔、能動
術者はSIZ3の物体を浮遊させて移動力1で動かす事ができる。〈強度〉を1増やすごとに、術者の選択でSIZを3ポイント増加させるか、移動力を1m増加させる。意識を失っている対象に対しては、この呪文はもちろん攻撃呪文として作用する。
 
《白熱》 Glow
遠隔
《光招来》のように機能するが、この呪文は物品に投射する点が異なっている。以後物品は〈強度〉によって決められた明るさで輝く(1で字が読め、10は輝く日光程度である)。この光は呪文の〈距離〉のアートで決められた半径で周囲の空間を照らす。
 
《馳せ足》 Haste
遠隔
〈強度〉2ごとに標的の移動力が1m/戦闘ラウンド増加し、DEX SRが1減少する。DEX SRがどれほど減少しても、1行動のDEX SRが1を下回る事はない。標的は〈強度〉と同じだけFPを消費する。
 
《足かせ》 Hinder
攻撃、遠隔
〈強度〉1ごとに標的の移動力を1m/戦闘ラウンド減少させ、DEX SRを1増加させる。対象のSRの合計が10を超えると各近接戦闘ラウンドに1回の行動しかとれなくなる。

《吸盤》 Holdfast (旧 Bind)
攻撃(生命体にかけた場合)、遠隔
2物体の10cm×10cmの接合面をくっつける。〈強度〉1につきSTR3相当の吸着効果がある。最低でも〈強度〉2が必要である。追加の〈強度〉は吸着面の各辺を10cmづつ増加させるか、吸着面のSTRを3増加させる。生命体の身体に作用させる場合は標的のMP抵抗を打ち破らねばならない。
接合面の形は、呪文で決められた面積以下であれば、術者が呪文を投射する際に変える事ができる。対象がSTRの抵抗ロールで一度でも打ち勝てば、呪文は即座に効果を失う。
 
《呪文判別》 Identify Spell
遠隔、瞬間
この呪文により、術者は呪文を判別する事ができる。
強度 判別可能な事象
1 呪文の一般的なカテゴリー(魔道、神性魔術、精霊魔術、神秘魔術、ドラゴン魔術など)
3 呪文のポイント数(魔道の場合〈強度〉のみ判別できる)
5 呪文の名称
7 呪文の詳細
 
《物体探知》 Locate Object
接触、能動
術者は、この呪文の対象となった物体の行方を追跡する事ができるようになる。物体に意識を集中すれば、物体についてのイメージが心にもたらされ、物体の現在の方向と距離が感覚的に分かる。加えて、《物体探知》が打ち消された場合術者はその瞬間に、特に集中していなくても物体の現在の方向と距離を知り、さらに中和呪文をかけた人物の心象映像を得る。術者と物体が呪文の〈距離〉以上に離れてしまった場合、呪文は働かないが効果は持続する。
 
《気力》 Muster Power
自身のみ
〈強度〉ごとに1ポイントのトータルHPと1D6ポイントのFPを失い、失ったFPに等しいMPを得る。術者は《気力》呪文によっても自身のPOW以上のMPを保持する事はできない。
 
《魔道眼》 Mystic Vision
自身のみ(ただし呪文の投射には〈距離〉のアートが必須)
この呪文は術者本人にしか効果を発揮しない(呪文の〈距離〉は射程距離ではなく、見る事ができる距離である)。暗闇や視線を通さない物体は、術者がMPを見る障害となる。術者が注視すれば、そのものの正確なMPの量が分かる。しかし、呪文〈強度〉の3倍を上回るMPは、ただ「多い」と分かるだけである。
近い距離(数m)では、《魔道眼》によってあるMP源がMPを回復する事が可能か、そうでないかがわかる。これによって精霊から魔力封印呪付を、アンデットから生物を識別する事ができる。術者は効果を発揮している精霊呪文とを知る事ができ、ある魔道士の魔力の流れから、その魔道士が維持している呪文がわかる。
 
《中和》 Neutralize Magic
遠隔、瞬間
防御側の呪文のポイントに対して《中和》の〈強度〉で抵抗ロールを行い、それに打ち勝てば、呪文を打ち消す事ができる。《中和》は少なくとも防御側呪文のポイントの半分の〈強度〉が必要である。
 
《麻痺》 Palsy
攻撃、遠隔
この呪文は近接戦用身体部位表に従い、ランダムな一身体部位に作用する。標的が抵抗に失敗し、〈強度〉が命中部位の現在のHP以上であれば、その部位は麻痺する。ダメージを受けた部位が麻痺し、その後治癒されて《麻痺》の〈強度〉以上のHPになったとしても、いまだ麻痺したままである。頭部が麻痺すれば、標的は意識不明になる。胸部が麻痺すれば、標的は無力化し窒息し始める(CON×10からロールを始める)。選択した部位がすでに麻痺している場合、麻痺していない部位が選択されるまで命中部位を振り直す。
 
《錯覚(感覚)》 Phantom [sense]
遠隔、移動させたり攻撃させたりする場合は能動/それ以外は持続
幻覚を生み出す呪文で、それぞれ特定の感覚に作用する。術者が精神集中すれば幻覚を移動させたり、動作させたり、変化させたりできる。呪文に《触覚錯覚》が含まれなければ、術者は幻覚を信じがたいスピードで動かす事ができる。《触覚錯覚》が含まれる場合は後述するような制限がある。
《嗅覚錯覚》 Phantom Odor
〈強度〉が強いほど、臭いも強くなる。〈強度1〉は穏やかで、嵐の後の空気のようである。〈強度3〉なら幾分強く、折れたばかりの草程度である。〈強度10〉は非常に強力で、炒めたニンニクや鼻につく香水、または犬のはく息並みの臭いである。
周囲の臭いより強烈な臭気はその臭いを隠す事ができる。(例えばアンデットの鼻をつく腐敗臭を隠す)。周囲の臭いより弱い臭気はそれを変更するために使う事ができる(例えば切り出された木の臭いを杉の木の臭いへと変化させる)。
悪臭は攻撃的に使用する事もできる。その場合臭いの〈強度〉と対象のCONで抵抗ロールを行う。もし臭気が勝ったら、対象はそのラウンドに何もする事はできない。対象が成功するまで毎ラウンド抵抗ロールを振り直し続ける。成功した場合、その臭いになれた事になり、臭気の〈強度〉が上がるまで再度ロールをする必要は無くなる。
《視覚錯覚》 Phantom Sight
〈強度1〉につきSIZ3の確固と見た目の幻影を作る。代わりにいくぶんかすれているが、より大きな幻影を作り出す事もできる。例えば、〈強度1〉でSIZ6にするとほぼ明確ではあるが、輪郭がぼやけた幻像となる。〈強度1〉でSIZを大きくしていくと、SIZ6では幻影は半透明に、SIZ12で色のついた透明なものとなる。SIZ18では輪郭だけ、もしくはかすかな影になる。SIZ24では〈捜索〉ロールを行わずには見つけるのが困難になる。
《聴覚錯覚》 Phantom Sound
〈強度1〉につき10デシベルの音を作る。長い、もしくは分かりにくい会話や音楽などの幻影の場合、能動呪文として精神集中をする必要がある。
デシベル 内容
10 通常の息
20 草のさざめく音
30 大きな空き家
40 夜の静かな村
50 昼間の静かな宿屋
60 会話
70 交通量の多い高速道路
80 ヘアドライアー
100 地下鉄
120 銃声
140 ジェット戦闘機の離陸
160 風洞
《味覚錯覚》Phantom Taste
SIZ1の空間に作用する(強さは〈強度〉に比例する)。〈強度1〉ではレタスや水のようなまろやかな味を作り出す。〈強度3〉ではリンゴやフライドチキンのようなちょっと強い味を作り出す。〈強度10〉ではレッドホットペッパーや新鮮なレモンをかじった様な、とても強烈な味を作り出す。
味覚の幻覚は《嗅覚錯覚》のように敵を攻撃するのに使う事ができるが、その場合対象が実際に幻影を口にしなければならない。対象は自身のCONで幻影の〈強度〉と抵抗ロールを行わねばならず、失敗すればそのラウンドは何もできない。2ラウンド続けて抵抗ロールに打ち勝ったならば、対象は再び幻影を口にするまでその影響から逃れる事ができる。
《触覚錯覚》 Phantom Touch
見えない固い力場を作り出す。この力場は非幻覚呪文(《白熱》や《対魔》など)を投射するための対象となりうるが、そのような呪文は《触覚錯覚》の〈強度〉を上回ってはならない。《触覚錯覚》自体はダメージを与える事はできないが、その上に《損害向上》を投射したり、熱したり、他の呪文を投射する事でダメージを与える事はできる。《触覚錯覚》に集中した場合、〈強度1〉につき移動力1で幻影を動かす事ができる。
 
《物品保護》 Preserve Item
接触
呪文の対象となる物品の1ENCごとに〈強度〉1が必要である。この呪文は保護する物品のAPに1を加える。このようにして祝福された物品は、呪文投射時と同じ状態を保つ。鎧ならば新しく輝き、衣服は汚れにくく、部屋は小きれいで片付いたままとなる。
 
《突出(感覚)》 Project [sense]
遠隔、能動
特定の感覚を、呪文の〈距離〉まで離す事ができる。“視点”を1m/ラウンドの早さで動かす事ができ、〈強度〉1につき移動力が1増加する。〈強度〉1につき10cmまでの厚みの物体であれば、感覚を通り抜けさせる事ができる。“視点”は通常の感覚で捕らえる事はできないが、魔術的な感覚では感知できる。突出した感覚に対して投射された呪文は、その場に術者が居るかのごとく術者に影響を与える。この呪文は能動呪文であるため、この視点を通して呪文を唱える事はできない(《待機》させている呪文1つだけは例外である)。術者と《精神結合》している者は呪文を唱える事はできるが、その呪文はそれがどこであれ視点に届くだけの〈距離〉を有していなければならない。
 
《防御円》 Projective Circle
接触(ただし呪文の投射には〈距離〉のアートが必須)
他の呪文をかけるための魔術的な受け皿となる円を作る。〈距離〉1につき、円の作用半径に1mを与える(最低でも〈距離1〉が必要である)。〈強度〉は防御円に魔術的な強さを与え、円に投射される呪文の〈強度〉は《防御円》の〈強度〉を上回ってはならない。円はかけた物体に固定される。その物体が移動すると(例えば船の甲板など)それにつれて円も移動する。
《防御円》の術者やその中にいる者は、円に他の呪文をかける事ができ、その呪文は防御円の一部となる。例えば《命の皮》でグループを守る事は良い方法である。瞬間型および攻撃型の呪文は防御円に発動せずに貯えられ、特定の物体が防御円の外周を越えた(内、外どちらからでも)瞬間に発動する。例えば、《中和》呪文を防御円にかけると、別の呪文が円の境界を越えた瞬間に発動し、その呪文を《中和》しようとする。《人間制圧》呪文の場合は人間が防御円の境界を越えるまでは発動せず、境界を越えたときにはその人間を《制圧》しようとする(防御円には精神がないため、支配された人間は抜け殻となる)。円をMPで増幅した場合、攻撃呪文はあたかもそのMPを持つ者が投射したかのように、対象のMPに対して抵抗ロールを行う。
 
《再生》 Regenerate
接触
切断された四肢を、1週間に〈強度〉1ごとに1%の割合で再生する。四肢が完全に回復するまで呪文を維持し続けなければならない。完全に再生する前に、呪文が破られたり維持するのを止めた場合、四肢はショックを受ける。1D100をロールし、中断された《再生》呪文の〈強度〉を差し引く。その%に等しい割合の四肢は壊死してしまい、その部分を取り除かないと次の《再生》呪文は効果を発揮しない。その結果が極めて低い値(マイナス)の場合、その四肢は余分に回復する事に注意する事。すでに失われた部分から、さらに壊死した部分の%が失われる。合計が100%以上の場合、四肢を再生できないほどの深刻なダメージである事を表す。
例:“不幸な”ヘニファーは戦闘で自身の右腕の70%を失った。治癒術師はその腕に《再生12》を投射した。右腕は6週間かけて完全に再生するはずである。それから1週間後、《再生》呪文が破壊された。彼の右腕は現在30+12=42%まで《再生》されている。彼は1D100-12%の割合の右腕を再び失う事になる。このロールの結果がマイナスであれば、さらにすこし回復する事になる。このロールの結果が43以上であれば、彼の右腕はあまりのダメージのために二度と《再生》事ができなくなる。
 
《ダメージ再生》 Regenerate Damage
接触
この呪文は負傷した身体部位に投射し、その部位の通常のHP以上の〈強度〉が必要になる。呪文は肉体の自然治癒のプロセスを加速させる。呪文が投射されたラウンドに負傷らの出血がとまり、そのラウンドから1戦闘ラウンドに1ポイントの割合でHPが回復し始める。これは負傷が完全に治癒するまで続く。この回復プロセスが完了する前に再び負傷を受けた場合でも、回復プロセスは持続する。CONを持たない生物や自然治癒能力を持たない生物はこの呪文によっても治癒する事はない。
 
《耐(攻撃タイプ)》 Resist [attack type]
接触
加えられた攻撃は、呪文の〈強度〉の抵抗を破らない限りダメージを与える事ができなくなる。ほとんどの《耐(攻撃タイプ)》は少なくとも攻撃してきた数値の1/2の〈強度〉を有していなければならず、さもなければ呪文は無視される。同様に《耐(攻撃タイプ)》呪文の〈強度〉の1/2の値しか持たない攻撃も通常同じように無視される。

《耐傷》 Resist Damage
物理的なダメージを止める。《耐傷》は防具や防具のように機能する呪文の外側に投射背ねばならず、そうでない場合効果を発揮しない。呪文によってダメージを止めたとしても、ノックバック効果は発生する。
《耐病》 Resist Infection
病気に対する抵抗の助けとなる。病の精霊に教われた際には《対霊》呪文の様に機能する。通常の病に襲われた場合、《対病》呪文の〈強度〉を用いて追加のCONロールを行い、成功すれば病に冒される事はない。
例:ディーンティムのCONは12である。彼は「震え」に襲われ、GMは感染を防ぐためにはCON×4のロールが必要だとした。ディームティムは《対病8》を帯びており、まず32(8×4)以下のロールを試みた。このロールに失敗した場合にのみ、彼はCON×4ロールに頼れば良い事となる。
《耐魔》 Resist Magic
呪文抵抗の助けとなる。《大地振動》のように間接的に効果を与えるような呪文に対しては効果を持たない。
《耐毒》 Resist Venom
あらゆる毒に対する抵抗の助けとなる。
《耐霊》 Resist Spirit
精霊戦闘の際、攻撃する精霊は対象を攻撃する前に呪文の〈強度〉と抵抗ロールを行いこれを打ち破らねばならない。この抵抗ロールは毎ラウンド行わねばならない。
 
《感応(物質)》 Sense [substance]
遠隔、能動
精神集中する事で、術者は範囲内の特定の物質を探知する事ができる。この呪文は〈強度〉1につき10cmの厚みの障害物まで見通す事ができる。一般に金、銀、青銅、宝石などの物質を探知するのに用いられる。一般的でない“物質”には以下のようなものがある。
《生命感応》 Sense Life
生物を探知する。生物にはもちろんエレメンタルやアンデッドなどの半生命体は含まれない。
《魔術感応》 Sense Magic
効果を発揮している呪文や呪付を探知する。
《敵意感応》 Sense Malice
術者に害意を抱く者を探知する。標的が術者に気付いていなければ作用しない。
《(種族)感応》 Sense [species]
用法は明らかである。トロウル、エルフ、馬などに対する《感応》呪文がよく用いられる。
《亡者感応》 Sense Undead
アンデッドや死亡しているにも関わらず活動している死体を探知する。ヴァンパイアのような明らかなアンデッドだけでなく、操られた死体やゴーストなども探知する。
 
《変身(種族)》 Shapechange [species]
攻撃、遠隔
この呪文には少なくとも標的となる生物のSIZの半分に等しい〈強度〉が必要となる。この呪文は完全生物にのみ効果を発揮する。この呪文には標的となる生物の種類それぞれに対して異なるヴァージョンが存在するが、術者は呪文を投射する際に標的を何に変えたいかは選ぶ事ができる。《変身》がSIZを含む能力値を変化させる事はない。標的の生物の特殊能力は、それが身体構造や生理によるのでない限り、保持される。それゆえコウモリに変身した人間は飛ぶ事ができ(もちろん飛び方を学習しなければならないが)、もし魚になれば水中で呼吸する事ができる。
 
《命の皮》 Skin of Life
接触
術者は特定の種類の生物学的脅威による被害から身を守る事ができる。
〈強度6〉=息をする必要がない。
〈強度12〉=食べたり飲んだりする必要がない。
〈強度18〉=寝る必要がない。
 
《窒息》 Smother
攻撃、遠隔、集中
〈強度〉1につき1ラウンド持続する。標的は通常の窒息ルールと同様にCONロールを行い、失敗したラウンドごとに1D3ダメージを受ける。
 
《魔酔》 Stupefy
攻撃、遠隔
この呪文が効果を発揮するためには、呪文の〈強度〉が標的のフリーINT以上でなくてはならない。その上で標的が抵抗に失敗した場合、標的は全行動を停止し、その場に立ちすくむ。そして自身の意思を無くし自分の周囲で起こる事に興味を示さなくなる。標的を強制的に立たせたり、食べさせたり、座らせたりする事はできるが、標的が自主的に行動する事はできない。標的は意味の無いたわごとをつぶやく事もある。標的が物理的、魔法ダメージを受けるか、呪文の効果が失われるまでこの状態が持続する。
 
《魔道抑圧》 Suppress Sorcery
攻撃、遠隔
この呪文は標的のプレゼンスに影響を与える。〈強度〉ごとに1ポイントのプレゼンスを抑圧し、呪文の補助や投射に使用できないようにする。
 
《切開(能力値)》 Tap [characteristic]
攻撃、接触、瞬間
この呪文は特定の能力値を1D6ポイント永久に破壊し、破壊したポイントと同じ量のMPかFPを術者にもたらす。標的の能力値を0以下に減少させる事はできず、それを越えるポイントが差し引かれる事はない。呪文が特定の能力値に対して効果を発揮するために必要な最低〈強度〉は様々である。
1D6ポイントの破壊に必要な〈強度〉
STR:〈強度2〉
CON:〈強度3〉
SIZ:〈強度4〉
INT:〈強度5〉
POW:〈強度1〉
DEX:〈強度4〉
APP:〈強度3〉
ある人物の最大MPはPOWである事に注意する事。POWを持たない存在にはMPの最大値が存在せず、無制限にMPを得る事ができる。
 
《テレパシー》 Telepathy
遠隔、能動
術者と対象、もしくは術者の選んだ2つの対象の間で心の伝達ができるようになる。後者の場合〈合成〉のアートが必要になる。標的が望まない場合は抵抗を試みる事ができる。
〈強度1〉=対象間で生死と意識不明かだけ判別できる。
〈強度3〉=《霊話》に相当する。
〈強度5〉=互いに相手の目を通して物が見えるようになる。
〈強度7〉=互いの呪文を使用できるようになる。
〈強度9〉=互いのMPを使用できるようになる。
〈強度11〉=相手のMPを抵抗ロールで打ち破る事で相手の行動を支配できる。支配を持続させるためにはするためには毎ラウンド抵抗ロールを行わねばならない。抵抗ロールに敗れた場合、逆に支配される事もある。
この呪文は能動呪文なので、〈強度7〉や〈強度9〉の効果を受けられるのは、誰か他人がこの呪文を投射するか、(使い魔のように)標的と精神的に結びついている場合だけである。
 
《テレポート》 Teleport
遠隔、瞬間
〈強度〉1につきSIZ3の物を、呪文の範囲内で術者の視界内の地点か、呪文の範囲内の転送円へとテレポートさせる。術者は対象に触れておらねばならない。範囲内に複数の転送円がある場合、どの転送円にテレポートするか選ぶ事ができる。
 
《手当》 Treat Wounds
接触、集中
この呪文は2つの方法で使用できる。
緊急形態:対象のダメージを1D(強度)ポイント癒す。
通常形態:〈強度〉に等しい回数の〈応急手当〉を受ける事ができる。通常の〈応急手当〉のルールに従いダメージを癒すが、時間は一戦闘ラウンドしか必要としない。決定的成功、効果的成功、ファンブル等は通常通り適用する。
 
《毒素》 Venom
攻撃、遠隔、瞬間
標的が抵抗できなかった場合、〈強度〉に等しいPOTの毒が標的に注入される。標的はPOTに対して自身のCONで抵抗ロールを行い、成功した場合半分のダメージを受ける。そうでなければ、POTに等しいダメージを受ける。

異界の生物と魔道

異界の存在の中には多かれ少なかれ魔道に頼るものも多数存在するが、それらは誓願を取らず、また通常とは異なる手段でアートを学んでいる。通常、魔道はそれらの存在にとって“自然”なものである。それは彼らの血であり、肉であり、彼ら固有のものである。
標準INTを持たない不完全生物は、通常魔道を使う事はできない。特別な、魔道に似た効果を起こすものもわずかながら存在するが、それは変異的なもの、あるいは生まれついての特質であり、彼らが意図的に周囲の環境を操っているわけではない。
アート:一般的に異界の生物は聖マルキオンに接触できず、また「アートの誓願」を得る事も難しいため、学習によってアートを習得する。
誓願:全ての異界の生物はアートを知っているならば、「上なる誓願」を得る事ができ、3つの基本アートを習得したなら「器の誓願」も得る事ができる。真に完成された生物の中には独自の「大いなる誓い」を持つものもある。フリーINTを持つ不完全生物(呪縛されておらず、当然知的であり、使い魔ではない)はときに他の誓願を習得する事も可能である。そのような誓願はしばしば非常に奇妙なものであり、人間の理解を超えるようなものもある。
元魔道師:魔道師の亡霊(ゴースト、マミー、ヴァンパイアなど)は生前のプレゼンスと誓願を保持している。しかしながら、邪悪な亡霊はしばしば誓願を逆転させている。例えば、生前切開拒否を持っていたら、「切開を毎日行う」に置き換えられたりする。
 

超自然の存在の魔道へのアクセス

チョンチョン:この存在は精霊呪文によって創造され、魔道を学んだり使用したりする事はできない。
ゴッブラー:呪文を教わる事はできるが、隠れ場に〈呪付〉してあるアートとプレゼンスしか使用できない。
グレムリン:呪文を教わる事はできるが、呪付物か、グレムリン自身に呪付されたアートとプレゼンスしか使用できない。
ヘリオン:ヘリオンのプレゼンスは他の能力値と同様HPに等しい。
ニンフ:オーロニアド、ドライアド、リモニアド、ナイアド、オレアドは魔道を学ぶ事はできない。
魔術精霊:魔道を使用する特殊な魔術精霊だけがプレゼンスとアートを得る事ができるが、全ての呪文精霊は魔道呪文を学習し投射する事ができる。


  本テキストはSandy Petersen氏が作成した作品を、氏からの許可を得て木村 圭祐(しーちゃん)が翻訳したものです。
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