マルキオン教一般に関する翻訳ノート

by木村 圭祐/‘たびのまどうし’しーちゃん ,1999

マルキオン教七つの教会会議

The Seven Ecclesiastical Councils of Malkion(Tales of the Reaching Moon #13, pp.51.)の翻訳です。中世ヨーロッパ史なんかででてくる「公会議」というヤツです。ただ原語が若干異なるので翻訳も少し変えておきました。神々の評議会とのカラミでもう少しひねった訳も考えましたが、無難なところに落ち着きました。現実の中世ヨーロッパのように絶対的な教皇が存在しているわけではないので、各教派の代表が教義についていろいろ協議する、というのが実際のところでしょう(まあ異端が宣告されたケースも無くはありませんが)。むしろ政治的な意味合いも強いようです。
  さて1625年現在行われている第七回教会会議ですが、これを呼びかけた修道僧ノツロールはNotslorと綴ります。なーんかどっかで見たよーな綴りだねぇ、と思うのは私だけでしょうか。

マルキオン教の聖書

The Malkioni Bible(Nick Brooke氏のホームページ)の翻訳です。「翻訳注意報」にも書こうと思いますが、ちょっと覚書っぽくてわかりにくのでこの場で少し補足しておきます。キリスト教の聖書には外典や偽典と呼ばれる文献が存在します。これらは現在の聖書の元になったある版の聖書があるんですが、そうした版に含まれていなかった聖なる文献群のことです。さらに言えばキリスト教でも教派によって、どの文献を外典として扱いどの文献を正典として扱うかが異なっています(1、2点についてですが)。マルキオン教の場合、教派によってかなり大きく異なるようです。

この文章のいうところは、神代にあった“真にして一なる聖典”や神智者の編纂した“ブック”はたしかに統一されている。しかし現在の各教派が使用している文献は、マルキオン教の中核的な部分については皆共通だけれども、地方的、神学的特性が反映されて、さまざまに異なっている。この方がゲーム的にも、またいろいろな思索の上でも便利だし、おもしろいし、さらにこれまで発表されたマルキオンに関する記述と深刻な食い違いが発生する可能性は低いから、この方がいいだろ、とまあこう言うところです。[1999.09.10]

訳注:
1)セシュネラのについての項にnail to〜という表現が出てきます。どうやらロカールがルターのように教会の戸に彼の主張を打ちつけたのでないかと思います。現在著者に確認中。

2)本文中にTalorianという教派が出てきます。どうやらティロールと関係がありそうなのでティロール派と訳しましたが、どうなのでしょうか。


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