マルキオン教暗黒異端派

    -The Stygian Malkioni-

copyright 1995, David Hall
翻訳・編集(c) 木村 圭祐/'たびのまどうし'しーちゃん ,2000. [2000.05.19].


  マルキオン教暗黒異端派はアーカットの堕落を信じていない。彼らはアーカットがマルキオン教を捨てた後、より高次の秘密へと到達し、それを自分に従う者に教えたのだと主張している。

  暗黒異端派は一般の神々と見えざる神への信仰を結び付けている。厳密に見れば見えざる神の重要性は地域によって異なるが、各教派は自分達だけがアーカットの真の信仰を伝えていると主張している。ある地域ではオーランスやカイガー・リートール、他の神は見えざる神の聖人や使いとして信仰されている。別の地域では見えざる神は“同等者の中の首位”へとおとしめられている。もっとも堕落した地域では、見えざる神はその地域の主神よりも劣る存在と考えられている。

  こうした信仰はアーカットの暗黒帝国の時代、一度はラリオス、さらにその他の地域で支配的となった。暗黒異端派は現在でも主にラリオスに存在している。この信仰形態は非人間の間で唯一影響力を持つマルキオン信仰――グーハンのトロウルの間で信仰されている――である。


エイオル派

  エイオル派は大いなる盟約と時とをもって世界を創造したオーランス、創造主、見えざる神を信仰している。エイオル派にとっては、オーランス神殿の神は、マルキオン教の主要な聖人と同列に崇拝しうる聖人である。
  この教派は中央、南部ヒョルトランドで見られ、通常そこではより慣習的なオーランス信仰と共存している。

暗きアーカット派

  この教派は表向き、トロウルだけが魔道魔術の源として崇拝している。これらの魔術は、偉大なる英雄、“大王トロウル”アーカットがトロウルのために盗み出したものである。彼は“欺くもの”グバージを打ち破り、聖王国に一なる老翁を回復した。しかしながらこの広く広まった秘密主義的な教派はおそらくより複雑で、アーカットによって教授された多くの他の秘密を含んでいる。
  暗黒アーカットの大半は、一度はアーカットの暗黒帝国の一部であったグーハン、ハリキーブに居住している。他の改宗者はヨルプ山脈、トロウル森、影の高原に居住している。さらに他のトロウルの居住地にもわずかだが見出す事ができる。


カルマニア派

  カルマニア派はその起源を、S.T.8世紀初期、ロスカルムの将軍“先陣”サイランティールの伝説的な旅に有している。彼はアーカットの暗黒帝国の同盟者であったが、ジルステラ人率いる銀の同盟に追放された。彼は支持者と共に北西ぺローリアへと逃れ、そこでカルマニア帝国を打ち建てたのである。帝国は1241年ルナー帝国に征服されるまで存続していた。
  カルマニア人たちはマルキオン教的な封建文化は維持していたが、宗教的に重視されるものは変化した。見えざる神が非人格化され、時には無視すらされた一方で、信仰は特定の野蛮なる神へと直接向けられたのである。多くのマルキオン教神学者はルナー帝国がカルマニア的異端派信仰を受け継ぎ、ルナーが見えざる神を赤の女神に単に置き代えたに過ぎないと信じている。

単神教派

  単神教派は、至高の神格としてただ一柱、見えざる神が存在し、他の神は見えざる神を助け、守るが故に重要で崇拝に値するのだと信じている。
  この教派はラリオス中に広まっている。教会の多数派はオトコリオンの大司教サランティールに従っており、彼はその教会の教条をオーランス人の地へと積極的に広めている。しかしサランティールの多神教的な教条解釈をよしとしない教会のその他の派閥がラリオス中に存在している。

サイアノール派

  この教会はフレストル派と直接の競合関係にあり、中央、東部フロネラの大部分の地域に勢力を有している。
  サイアノール派はマルキオンの第三の法を、離婚と再婚の完全なる禁止と解釈する。彼らは結婚の神聖なる誓言を、見えざる神への霊的な愛の完全なる発現であると考える。《切開》は教会によって許されているが、それは姦夫、姦婦と私生子に対してに限られる。双子は神聖なる結婚を汚すものと考えられている。ほとんどすべてのマルキオン教教派は一夫一婦婚を実践しているが、サイアノール派の厳しい解釈は極端であると考えられている。
  他の神々や精霊は見えざる神の賜物の一部であると、この教会は認めている。そうした存在をなだめたり、利用したりすることはできるが、神のように信仰することはできない。
  リバージョインとサウスポイントの町の住人の多くもまた、自分たちがサイアノール派の信仰の内にあると主張している。しかしながら、彼らが見えざる神の第三の預言者として赤の女神を受け入れたことには、すべての正統的サイアノール派教徒が眉をひそめている。


  本テキストはTales of the Reaching Moon誌に掲載された記事を、同書の編者であるDavid Hall氏からの許可を得て木村 圭祐(しーちゃん)が翻訳したものです。
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