熱の産生と消失
<1999年4月に行った雪上訓練時に「低体温症」を勉強し、作成した資料です>




熱の消失

熱は以下の4つのことより私たちの体内から徐々に、あるいは急激に失われていく

対流 対流による熱の放出は、体温より低い水や空気が皮膚に接触する際に必ず起きる
空気は体に接触すると暖められ、次にくる空気も必然的に暖められる。
こうして次々に来る空気を暖めなければいけない為、熱は失われてくる。
スープなどを飲むときに、フーフーと吹いて冷まして飲む事を思い浮かべてください。
服が濡れていると、対流による冷えがますますひどくなる。
伝導 伝導とは、体と接触している物質に熱エネルギーが移る現象をいう。
空気は伝導によって熱を伝えにくく、無風状態だと対流によっても熱が
失われないので優れた断熱効果がある。
水は伝導体として優れていて、その伝導率は空気の240倍。
蒸発 適温帯での蒸発による水分の消失は3分の2は皮膚から。残りは気道で行われる。
これらは自覚症状のないままに体から水分を失う。
量的には1時間あたり30gの熱の消費量に換算すると、1時間あたり18カロリーとなる。
激しい運動をすれば、当然この消費量は劇的に増加する。
寒冷地においても、乾いた空気を暖めて気道に運ぶ為や、空気を充分に湿らせて肺に
運ぶ為、このエネルギー消費量の方が運動エネルギーの消費量より多い場合もある。
また、高所においては平地に比べ呼吸は深くて早い。
吸い込んだ空気を加湿する為、1日あたり3〜4リットルの水が必要。
この加湿によるエネルギーの消耗は、1,500カロリー〜2,000カロリーで
補給しないと、脱水状態になり、ますます低体温症は悪化する。
着ている服が濡れていると蒸発によって、大量の熱が失われる。
放射 放射は熱エネルギーを直接放出したり、吸収したりする現象である。
人体は自分より、温度の低い近くの固体の物質に常に熱を放射している。
人体はまた、放射によって大量の熱を得ることができる。



低体温調節機構のページへ