夕日を見ると思い出す。

汀と初めて出会ったときの事を。


「こうして歩いていると、錯覚しちゃうわね」

「錯覚って?」

「このまま、咲森寺に帰って、今夜のやすみんが作る御飯、何かなー?とか、考えたり。」


・・・それは汀も同じらしく。


私も、あの夏の事を思い出していた。



神社から、移動して喫茶店で一息ついたり。

汀が急に『ヤバイ!若とかに、お土産買わないと!』などと言い出し、慌ててお土産屋を回ったり。


多少ドタバタしたし、時々セクハラされて、色々踏んだり抓ったりしたけど


・・・汀との時間は、楽しかった。


私はチラリと腕時計で、時刻を確認する。


(…6時、か…)


汀と、あと何時間いられるのだろう・・・そんな事をずっと頭の隅に置いていた私。

”あと何時間”が、”あと数十分”になっていく。

時計を見るたびに、ああ、時間が減っていくな、と妙な気持ちになる


「オサ。」

「・・・え、何?」


汀に呼ばれて、私は顔を上げる。


「さっきから時間、気にしてるけど…オサの家、門限厳しいの?」

「いや、そんな事は無いけど…」


厳しいといったら、綾代程じゃない。


「じゃあ、晩御飯も一緒に食べていける?」

「…別に、良いけど…」


私は携帯電話で、実家に晩御飯はいらないと電話をかけた。



「ホラホラ…オサ見て。昼と夜の境目よ・・・」



そう言って、汀は空を見るように私に促した。

私は…空をチラリとみてから、それを見ている汀の横顔を見ていた。


薄く微笑みながら、空を見上げている汀。


…こんな彼女をみると、おどけなければ、汀は美人なんだなという事を、再確認させられる。



夜が訪れる。


そしたら…私達は…また離れ離れになるのだ。






        [ Love is Dreaming ー後編ー ]




食事を済ませて、私達は、駅まで歩いていた。

日はすっかり落ちて、夜の闇が頭上に広がり、周囲は電灯や店の明かりで、眩しいくらいだった。


駅までの道のり、私と汀の口数は、少なかった。

人が多くなってきたのもあってか、話し声はそこらじゅうで聞こえるので、話らしい話も出来ない。


駅が近くなってきた、いい証拠だ。

人の多さと、流れに流されそうになりながらも私は、汀のやや右斜め後ろを歩く。


”ぐい”

汀のグローブの感触が、私の左手を包んだ。


「汀…!」


「頼むわよー、オサー。 その歳で迷子なんて、洒落にならないわよ?」


そう言って、私の手を引きながら振り向いて、ニッと笑う。


「だ、誰が…っ!」


私は、かあっと頬が熱くなりながらも、その手を振りほどく事もできない。


今日ずっと・・・ずっと私が、汀の”右側”に立っていたのは…



この為だったから。



…汀の利き手側にいれば、その右手で私を捕まえてくれると…心のどこかで、思っていた。


汀の利き手側に立つ事で、私は、自分を捕まえやすくしていた。


現に、私が階段で落ちかけた時も、汀は右手で捕まえてくれた。



「いいじゃないのー。こう人が多いと、あたしも迷いそうだしー」


2人の口数が減った分、汀が掴んでくれている手が、無性に嬉しくてたまらない、自分がいる。

しかし、口から出るのは正反対の言葉ばかり。


「大丈夫よっ!別に…手なんか、繋がなくても…」



”私、貴女から離れたりなんか、しない”



言葉の続きを、頭の中で描いて、言葉に出す前に・・・消す。



だって、もうすぐ…離れてしまうんだから。



手を引かれている今の自分が、秋子さんと旅行していた時の幼い自分に重なる。

あの頃、手を引かれて、歩みを進める度に、これからどこに行くのかと、ワクワクしていた。


でも、今は違う。


手を引かれたまま、私は汀の名前をそっと呟いた。

聞こえないように。


「……汀…」


行きたくない。

別れるための場所なんて、行きたくない。




その駅で、私は上り線の電車に、汀は下り線の電車に乗らなくてはならない。


つまり・・・そこが”別れの場所”。



ホームは、電車を待つ人で、にぎわい始めていた。

私と汀は、下り線のホームにいた。



「見送り結構って言ったのにー。」と汀は言うが、そうもいかない。

「ついでよ、ついで。」と誤魔化しながら、私は汀の右側に立っている。


電車に乗ったら、お別れ。


電車も、飛行機も…いっそ止まってしまえばいいのに…と叶う筈もない願望を、頭によぎらせる。


行かないで、という言葉を私は我慢した。


・・・・・・いや、単に言えないだけ。


白線の内側で、私は汀と一緒に電車を待っていた。


「あの…気を、つけてね…」

「何に?」


「仕事なんでしょ?それなりに…危険とか。」

「そりゃ、前提条件ってヤツよ。気をつけないと、オサのツンデレ顔拝めないじゃないの。」


私はさり気なく、元気でねというニュアンスを含めた別れの挨拶を口にする。

汀は、相変わらず揚げ足をとるような返し方をする。


「…そんなの拝まなくてよろしい。」

「はいはい、ありがと、オサ。言葉だけは頂戴しときます。」


もう、これで汀に会えないかもしれない可能性が、0%な訳ではない。


でも、0にはしたくなくて。

可能性を、残しておきたくて。


汀の顔も見ないで、私は言葉を出す。



「それから…その……暇になったらで、いいから…連絡、しなさいよ。」


さり気なく網を張っているようで、そんな自分が少し、情けなく感じる。


「はいはい、了解でーす。」

「…別に、強制じゃないから。」


汀の口調、声の調子も、変わらない。


「…わーかってるって。

 ……仕事片付いたら上司より先に、オサに、1番にメールするわ。」


優先順位なんて別にいいのに。

それでも、自分が汀の中で1番である事が、心をより締め付ける。



(…だったら、何故行くのよ…)



「・・・・っ・・・

 ・・・ど、どこまで、ホントなんだか・・・。」


口から出るのは、そんな言葉ばかり。



(…行かないで…)



言葉として口に出さない代わりに、頭の中でそれが漏れる。



(…行かないで、汀…。)



言っても、その希望は叶わないと知っているから。

強がるばかりで、言葉も出ないなんて、情けない話だ。



・・・今この場で、叶えられるであろう私の願望は…1つしかない。


(・・・触れたい。)



私は、人差し指を、汀の掌にそっと引っ掛けた。



汀のグローブの皮の感触と冷たさが、人差し指の腹に触れる。


いっそ、がっしりと汀の手を掴めば良かったのだろうが、そんな勇気は、なく。

私が汀の手を握ったら、汀の指にも、手の温もりにも、触れられるのに。


(…私も、十分、馬鹿ね…。)



汀はグローブを付けているから、多分私の人差し指には気付かないだろう。



指一本・・・それだけで、満たされる私の願望。


自分から、汀に、触れる事。


汀みたいに、自分から手を繋いで歩くようなマネは、出来なくて。

汀みたいに、突然人前で抱きついたりも、出来なくて。


それでも、汀にもっと触れていたいという欲求だけが、意地汚く残っているのが、自分でも憎らしい。


私は、きっと…汀に触れてもらうのをまだ待っているんだ、と思う。




  『まもなく3番線に電車が参ります。白線の内側に下がって、お待ち下さい…』




「オサ。」

「・・・ん?」


呼ばれて、汀の方を向くと、汀は私をみて笑っていた。




いつもみたいに、ニヤニヤしたような笑いではなく


私をからかおうだとか、馬鹿にしようなんて、微塵も見えない



・・・微笑み。



私は、今どんな顔をして、汀をみているのだろうか。

目の前の景色が、うっすらと歪む。


汀の口がゆっくりと開き、何かを言いかける。


歪んだ景色を瞬きする事で、私は調整し、汀が何を言おうとしているのか、目を凝らした。




が、その瞬間。




電車が轟音を立てて、ホームに進入してきて、汀の声は聞こえなくなった。


声は聞こえない。


けれど、その唇の動きで、彼女の発した言葉は理解できた。


汀はこう言った。





     ”ホント、オサって不器用ね。”





汀は、汀の掌の中にある私の人差し指を…いや、私の手ごと、グッと握りしめて、引き寄せた。




   『…3番線から、電車が発車します…閉まるドアにご注意下さい…』




電車のドアが閉まり、電車が動き出す。


…流れる景色を、私は……いや、私達は電車の中から見ていた。




「…あーあ…。これである意味、あたし、人さらいの犯罪者ね。」



汀の声が、私の耳のすぐ後ろから響いてくる。



後ろから、抱きかかえるように、汀が私を捕まえている。


右手で私に強く絡みついて、左手と肘でドアにもたれ掛かるように、自分を支えている。


しかし、汀のその体制のおかげで、電車の中は人が多くて鮨詰め状態のはずなのに

汀の腕の中の私は、その圧迫感をちっとも感じなかった。



(…木と蔦…か…)


ふと、昼間の話を思い出した。


私は空に向かって一直線にしか、伸びられない・・・木。

汀は、何か支えが無いと、高い場所にいけない・・・蔦。


私が汀の支えとなって、汀は…私に巻きついて、その蔦を自由に伸ばせばいい…とはいうものの。


でも、現時点では…


支えになる筈の”木”の私が、”蔦”である筈の汀に支えられている、という体たらく。

むしろ、逆なんじゃないか、とも思える。



「…でも…言っておくけど…コレは、オサが、悪いのよ?・・・あんな変な甘え方するから。

 グローブの上からでも、あんな風に触られたらわかるってーの。」


私の耳のすぐ後ろから、汀のいつも通りの軽口が聞こえる。


(汀・・・。)


私は、自分の鎖骨付近にある汀の右手を、両手で握り締めた。



汀の言う通り、私は不器用だ。・・・自覚している。


それに・・・ずっと。


ずっと、汀がこうして捕まえてくれるのを、待っていた。



「…後で、家に電話させてくれたら、犯罪にはならないわよ…。」



揺れても、ドアが開いても、汀は私を離そうとはしない。

私も、離して欲しくはなかった。











「あ、意外に…」

「そ、意外と狭いのよ。ダブルでもなんでも。シングルもそうだった。」


部屋に入り、電気をつけるとその部屋は、ベッドで部屋の半分以上が占拠されていた。

汀の宿泊しているホテルの部屋。

荷物を置いて、まずは一息つこうと、ベッドに座る。…他に、座る場所が無いのだ。



「…ふー…先にシャワー浴びて来いよ、梢子。」


何を思ったか、汀はそう言い放ち、タバコをふかすマネをした。


「・・・・・・殴られたいの?」


私が来たせいでシングルの部屋をダブルの部屋に変えてもらったのは、悪いとは思っているが

その台詞をベッドの上でするとは、センスの欠片も無い。



守天党も大変だろうな…こんなお金の使い方する部下がいるんじゃ…

…と心の中で合掌する。



「いやぁ〜定番かな?と思って♪滅多に言う機会ないし♪」

「あってたまるもんですか。」


守天党も大変だろうな…こんな…こんな部下がいるんじゃ…


…と心の中で合掌する。



「…まあまあ、お先にどうぞどうぞ。

 あ、そうだ。よ〜く、身体の隅々まで、洗っとかないと……後で大変よ?」


そう言って、ニヤリと含み笑いを浮かべる汀。

…その板かまぼこみたいに笑った目が、すごくいやらしく感じた私は・・・。


「・・・・・・。」



”ゴン!ゴン!!”


無言で、拳骨を喰らわせた。


「…ひっどー!ホントにグーで殴ったー!オサのどつき魔ー!」


ベッドの上で、汀は頭をさすりながら抗議する。

抗議だろうと、なんだろうと、この状況でその台詞は”狙っている”としか思えない。


「自業自得よ、このエロ猫。」


私は、腕組して汀に言い放つ。


「ちょ〜っと待った!オサ!」


「何よ?色魔。」


「…隅々まで洗っとかないと、汗で肌べたついて大変よーっていうミギーさんの”忠告”が

 何故”エロ猫”やら”色魔”になるのかなー?

 せっかくの人の親切心を、拳骨やらエロやら、酷くなーい?」


「・・・・・・・。」



・・・・しまった、ヤブヘビだった。



鬼の首を取ったー!と言わんばかりに嬉しそうに汀は私を指差し…


「あーっ!さてはオサ、違う事想像し」




”ゴンッ!!・・・スタスタスタスタ「ちょ、オサ…酷…」・・・バタンッ!!!”




私は、馬鹿猫を放置して、シャワーを”一人で”浴びる事にした。





お湯を浴びているうちに、ふと先程の汀の台詞が頭をよぎる。



『よ〜く、身体の隅々まで、洗っとかないと……後で大変よ?』



・・・あれは、本当に冗談、なのだろうか・・・

いや、変に深読みしては、いけない気がする。



(別に…別に、そんなの期待してるわけじゃないし…そんなのまだ早いし…)



……でも、汀ならやりかねない、かもしれない。


そう思いつつ…妙に丁寧に体を流してしまう、残念な程、悲しい自分が、いる。


(これは…汗を流しているだけ…これは、汗を…)


念仏のように、頭の中で呟く。



シャワーを浴び終わり、とりあえずバスローブに袖を通す。



バスタオルで髪を拭きながら、浴室を出て、ベッドへ目を向けると


そこには・・・

すっかり荷物の整理を終えて、ベッドの上で猫のように体をくの字に曲げて


汀が寝ていた。



「……なによ、先に寝ちゃって…。」



髪の毛の水分を、タオルで拭き取りながら、私は汀の顔を覗き込む。



(…息、してるのかしら…?)



汀が静かに目を閉じていると、汀が溺れた時の事を思い出す。

普段の彼女が、彼女だけに、静か過ぎると逆に怖い。


耳を澄ませて、よく観察すると、寝息も聞こえるし、胸もわずかだが、上下している。


私は、それを確認すると、ホッとした。



・・・余程、疲れていたのだろう、私が前髪を撫でても起きない。



「まったく…人、連れ込んでおいて…先に寝るなんて…」


思わず、そんな文句が口からこぼれる。



汀は、あと何時間かで、帰ってしまうのに。


私はここに残り、汀は…。



「…汀…」



寝ている汀を見ているうちに、私のバスタオルがするりと、落ちた。



寝ている汀の横で、自分だけが、取り残された気分だった。


私は、汀を責めている。



置いていかれるのも

置いていくのも



どっちだって、結局は……辛いって解っているのに。



私は、汀を責めている。



どうして、私の近くにいてくれないのか、と。



汀に『行かないで』と言えたら、私は楽になるのだろうか?



言ったら、汀を、きっと困らせる。


いや、案外…『なぁに言ってんのよ、オサも意外とカワイイ事言うじゃない?』なんて言って

人をからかった挙句、軽くスルーしてしまうかもしれない。


そうしたら、そうしたで…私は、また不安になる。


『私の傍にいて。』


これも、言えない。


わがままもいい所で、自分勝手だと自分自身で解っているから、口には出さないし、出せやしない。


今度はいつ会えるのか、の保障も無く別れるのが、何よりも私を”不安”にさせる。

もう会えないと決まった訳でもないのに。


それを、聞けない、確かめられない。


それを確かめようともせず、不安を溜め込むしかない自分に、一番腹が立つ。



不安だけが、心に重くのしかかる。



「…汀…の…馬鹿…」


不安と一種の感情がごちゃ混ぜになって、突き動かす。


私は、バスタオルを拾う事もなく…ただ、体を沈めた。



そして私は、汀の唇に、そっと唇で触れた。



汀の温かく、静かな呼吸音が、より近くで聞こえる。

ぽたりと、私の髪から、雫が落ちて、汀の頬を伝う。



心のどこかで、これで汀が…起きるかもしれない、と期待している自分がいる。

でも、このまま起きないで欲しい、とも願う自分がいる。



手の届く距離にいる貴女に、ただ、少しでも触れていたくて。




私の唇と汀の唇のわずかな隙間から、吐息が漏れた。



(……馬鹿は…私ね…)



唇を離した瞬間。



「…いーけないんだ、寝てる人に、そういうイケナイ事しちゃ。」



そう汀が呟いて、片目を開けた。


そして、指先で、驚いて止まったままの私の横髪を、そっと耳にかけた。


「・・・汀、起きてたの・・・?」


私は、言葉を失う。

汀の指は、私の髪を毛先まで撫でて、そのまま下に落ちた。


私は、どうする事も出来ず、たださっきまで”目を閉じていた”彼女の上で、言葉を探していた。


謝ろうか…それとも…



「いんや、起きたのよ。

 そんな優しいキスされたら、姫役のあたしとしては、起きなくちゃね。」


起きてたの?という問いに、汀はいつもの調子で答えた。


そう言われては、何も出来なくなる。

いや、汀が起きた時点で、私はもう何も出来ないのだ。


「………。」


「まあ、あたしって元々、眠り浅い方だしー?

 そうじゃないと、鬼切りは務まりませんってね。

 …気にしないでいいわよ、あたし、全然気にしてないから。」


「………。」



”ゼンゼン キ ニ シテナイ”



それは…気にする必要が無い…って事…?

私は、寝ている汀にキスをしても、気にする必要なんか…ない存在…


・・・だから、なの?


私から、あっさりと離れていくのは。



寂しいと感じているのは、ひょっとして、私だけ?




「さぁて、あたしもシャワー浴びよっかなー」



汀は少し伸びをして、ベッドから立ち上がり、浴室へと向かおうとした。




「…ちょっとは…気に、しなさいよ…!」




「…ん?なんか言った?オ…サ…」


今度は、私が、汀を捕まえた。


私は、汀の肩をしっかりと壁に押し付けて、そのまま何かを言いかけた汀の唇を


塞いだ。



「ん…っ!?」



汀に振り回されていた、今までの自分に、内心、嫌気がさしていた。


最初からちゃんと…自分の気持ちを素直に言葉にしていたら…

こんな事、汀にしなかったのかもしれないのに。



こんな事・・・



「……痛…。」

「…オサ、勢いつけ過ぎ…歯、当たったわよ…?」


・・・こんな情けない事。


お互い、唇を押さえながら…歯の当たった部分をさする。


「……ごめん…」


私は、呟くように小さな声で謝るしかできない。

一時の感情に任せて、なんて馬鹿な事したんだろうと、私は自分自身を恥じた。


汀の目すら、まともに見られない。


「……今日のオサは…ホンっトに、あたしの予測を越えてくれるわ…。」


それは、今のキスの事だろうか…


「…だから、ごめんって…言ってるじゃない…」


再度謝って離れようとする私を、今度は汀が捕まえる。



「違ーうって。それを責めたい訳じゃない。」


汀は私の顎を持ち上げて、視線を無理矢理自分に向けた。


「・・・オサ、もう一度、リクエストしていい?」


視線を、逸らせない。


「…な、何をよ…」

「今のキス。・・・あ、出来たら、歯は当てないで欲しいかな?」


薄く笑って、額をコツンとつけられる。


「…馬鹿。もう……しないわよ…」


目線だけでも、逸らせたら…まだ理性は保てる、と思う。


「じゃあ、したくなるように…しますか…。」

「…え?」


…ダメ、汀…これ以上…私を狂わせないで…。



「して、オサ。」




震える唇を、汀の唇に押し当てる。


この前まで、汀にされる事で、彼女を感じていただけだったのに。


今、私は、汀の感触を求めていた。


少しずつ唇をずらしては、押し付けて、少し離し…を繰り返す。

柔らかい感触が、繰り返し伝わる。



「…オサ、少し口開けてみて。」


唇と唇の間から、汀の囁くような甘い声が聞こえる。

何をされるかは、なんとなく想像がつく。ついていた上で、言う通り、唇を少し開ける。


「ふ・・・ぅ・・・・・っ・・・ん・・・」


汀の温かい舌が、侵入してくる。

舌の動きや、この感じ……何かに少しだけだが、似ている。


(そうだ…剣で門を封印した時…汀の血を、貰った時…の)


汀の手から流れ落ちる血を、癒したいと思いながら、夏姉さんを切った手を憎らしく思いながら

汀の手・指に舌を這わせた、あの感じに。



ただ、今は、憎らしさも癒したいという気持ちもない。


今、私の中にあるのは…汀と繋がっていたいという気持ち。



「…ん…っふ…」



汀は、舌を入れては、時々唇の端を舐めて、唇で優しく私の舌を挟む。

その感触に、酔わされていく。


「汀…ちょ、ちょっと…」


私は、辛うじてギリギリのところで、唇を離す事ができた。


「ん…そうね…ちょっと、やり過ぎたわ」


そう言う割には、私より汀は余裕があった。

2人とも呼吸は少し乱れてはいるけど、明らかに余裕が無く動揺しているのは…私の方だ。



「…で、あたしはいつ、シャワー浴びてもいいのかなー?」


汀は、相変わらず笑っている。…いつも、私だけ…乱される。


・・・こんなの、ズルい。


「・・・なんで、私の…承諾を、求めるのよ?」


悔しさから、勝手に浴びてきたら良いじゃない…というニュアンスを含めた言い方をしてしまう。


「…いや、今ので完全にシャワー浴びるタイミング、外しちゃったのよね…。

 忘れてない?あたしも一応、思春期の女の子、こんな事する前に、浴びておきたかったなーとかさ。

 だからって…このまま、んじゃ〜シャワー浴びてきますって…離れられないじゃない?」


そう言って、私の腰に手を回し、首筋にキスをした。

その感触に、くすぐったさを感じつつ、私はまた正反対の余計な言葉を発してしまう。


「汀は離れても平気なんでしょ……どうせ…明日、帰るんだし…」


汀の笑っていた目が細められる。


「……へえ、オサ…あたしの気持ち、大体解るんじゃなかったのかな?」


…多分、汀は今、少し怒っている。


「…大体は、大体よ…」


…もう、どうして…こんな言葉しかでないんだろう…

明日帰っちゃう汀に、どうしてこんな言葉しか、かけられないんだろう…。


「…あ〜んまり、ナメた事言うんじゃないわよ?オサ…自分の発言には責任持ちなさいよ。」

「……。」


黙り込む私に、汀はふーっと息を吐きながら、今度は私を壁側に押し付けた。


「真面目な話…あたしは、アンタとこんな形で離れたくないのよ。」


…離れたくない…

そんなの、知っている。私が一番、知っている。


「……っ…だったら…だったら……っ!!」



― 離れなければいい。―



感情が爆発する。

汀の服をぐしゃっと掴んで、歯を食いしばって、声を押し殺す。

声を押し殺しても、目からは涙が溢れる。

こんな言葉や態度を取れば、汀を嫌でも困らせるのは、解っている。

どうして、こんな事しか出来ないんだろう。汀は明日、命をかけた仕事に赴く身なのに。


私は、汀を笑顔で送り出すことも、出来ずに子供のように、ダダをこねているだけだ。


「ちょ、ちょっと…なんで、オサがココで泣くのよ…?」


汀は戸惑いの表情を見せて、私の顔を見つめた。

行き場をなくした私の自分勝手な感情は、向かって欲しくない汀へとぶつかる。


「…知らないわよッ!私だって…汀を困らせるような事………でも…嫌なのッ!」


汀の服を掴んでいる両手が震えている。


「・・・置いていかれるのは・・・」


喉の奥が押し潰されそうな息苦しさと共に、私は声を絞り出す。


「・・・嫌なの・・・。」


私が、搾り出した情けない言葉を、汀は黙って聞いていた。

汀は冷静に私を見ていた。


数時間後、私達は離れ離れになる。

仕方ない事。解りきっている事。


でも。


何も言わずに。

何の保障もなく。


ただ、貴女に、置いていかれるのは、嫌。



汀は、目を閉じて、息をふーっと吐いた。

「オサ…聞いて。あたしが、今から話す事を最後まで聞いてくれるだけで良い。それ以上は望まない。

 ・・・OK?」


いつになく真剣な汀の目に、私は、コクリと頷いた。もう、言葉を口から出そうとしても、無理だった。


「…あたしはね、オサに待ってて欲しいなんて思ってない。

 だから、オサが、辛いなら…あたしを待つ必要なんかないのよ?

 アンタが、会いたくないって言えば、あたしはもう会いには来ない。その資格も…とっくの昔にないワケ。」


私に会う資格がない、というのは、夏姉さんの事だろうか…?



「アンタの夏姉さん斬った時点で、あたしは、オサに会う資格なんかないの。・・・ホントはね。」


「汀…でも…ッ」

その事なら、私は…と口を開こうとしたが、汀の掌に阻まれた。


「ホラ…”最後まで、聞く”……OK?」

私が、コクリと頷くと、汀は掌を離して、再び口を開いた。


「…でも、あたしは会いたかった。

 そのせいで、オサの迷惑になる事は、これでも…ちょっとは考えてたつもり。

 それでも、あたしはオサに会いたかったから…会いに来た。

 結果、やっぱ…こうやって、あたしの”仕事”のせいで、オサをこんな風にしてしまったようだけど、ね…」



(違う・・・汀・・・迷惑なんかじゃない・・・私は、貴女に会いたくなかったワケじゃない・・・)


汀は、私にゆっくりと言葉を語りかけてくれた。その言葉を、私はゆっくりと心の中で消化する。


「汀…私だって、会いたかった……」



やっと、まともに出た素直な言葉。

やっぱり、黙っている事が出来ずに、私の感情は相変わらず、タイミング悪く解き放たれて、汀を困らせるのだ…。


汀は、私の言葉を聞くと、更にゆっくりと私に話しかけた


「でも・・・あたしは『鬼切り』・・・これで生きていくって、決めたのはあたし。

 それでね・・・今のあたしが、こうやっていられるのは、オサのおかげ。」


汀は、私の顔を手で固定して、決して目を逸らすなと私を強く見つめる。

その強い瞳を、私はまっすぐ見つめて、汀の言葉を待った。


「だけど・・・ずっと・・・ずっと、オサとは・・・どんな形になっても、繋がっていたい。

 ・・・”どんな形でも”ってのは、あたしのワガママ、だけどね・・・

 ・・・だから・・・もし、オサが・・・会ってくれるなら・・・



 ・・・必ず、あたしから、また会いに来るわ。必ず。」



「・・・・・・・・。」


・・・それは、間違いなく・・・汀から提示された・・・




「今は、離れてしまうけど・・・オサ、約束してくれる?・・・また、あたしと会ってくれるって・・・」




        『再会の約束。』




喉が押しつぶされそうになるほど、私の中から、何かが飛び出しそうになる。

飛び出す前に…


「……汀………汀…汀ぁー…っ!」


私は、汀に、強く抱きついた。子供みたいに、泣きじゃくった。


「それは、つまり…”YES”と前向きに受け取っていいのよね?オサ。」


「…当たり前でしょ…この…馬鹿ッ…!!」


汀は私を抱きしめながら、ごめんと何度も呟いて、私の背中や頭をさすった。


「…それ…早く…言って…欲しか……ぅ……馬鹿…ぁ…あぁぁ…!!」


無茶苦茶な日本語を吐きながら、私は泣いた。


また、会える…それがいつになるかは、わからない。

でも、汀は、私に会いに来ると言ってくれた。それは、まぎれもなく、汀が、私を求めてくれたという事だ。


今度は、それが嬉しくて泣くなんて…汀には言えず。

いや、もうとっくに汀にはバレているのかもしれないけど・・・。


汀は、泣きじゃくる私を、茶化す事無く、うんうんと頷きながら、私の背中をさすった。

「…あー…やっぱ…こういうのは、言葉にしないと、伝わんなかったか…」

「…当たり、前よ……私、私…ずっと…」


私は汀の耳元で、汀は私の耳元で言葉を繋げた。


「…別れるの、平気だと思ってた?」

「……うん…。」


私の濡れた髪の毛から、汀の服に水が染み込んでいく。

汀の手には、私の髪の毛からと、涙とが混ざった水が染み込んでいく。


「…悪い癖ね…何でも割り切って、効率の良い方を考えて、選択しちゃうのは…。

 こんなの必要ー?とか思ってたけど。あたしとオサには…必要だったのね…”約束”って…。」


いいや、必要だったのは、言葉だった。


世の中には、割り切れない事もあるものだ、と汀は言った。

私は、特に物事を割り切れない傾向が、強いのかもしれない。


・・・だから、衝突した事もある。


その衝突を避ける方法は、言葉だ。


不安なら、不安だと伝えたら良かった。

会いたいなら、会いたいと伝えたら良かった。

たとえ、言葉にして伝えて、結果が変わらなかったとしても…

結果、衝突を繰り返すとしても、今の私達には、自分の気持ちを伝える言葉が、必要だったのだ。


・・・それが、今回の私達には、少な過ぎたのだ。





「…汀…」

「…ん?」

しばらく汀に抱きついていた私は、一言。

「シャワー、浴びてきたら?」

「…えぇー…このタイミングでー?」

汀からは非難に似た声が聞こえるが、私には私の事情がある。


「…その間に、私(ぐすっ)…泣き止んどくから。」


かれこれ私は、汀に泣き顔を何度か見られている。

…別に、それは良い。

でも、いつまでも泣き顔を、コイツの前で晒すのは、やっぱり…抵抗がある。


「…ああ、そういう事……だったらシャワー、一緒にどう♪」

「…(ぐすっ)……嫌。」

素っ気無く答えると、汀は嬉しそうに耳元で笑った。


「…ふふふ…良かった、いつものオサだ。」


そう言って、私から体を離した汀の左頬には、うっすらと…涙の乾いた痕が一筋残っていた。


(・・・・あ・・・・。)


「じゃ、ちょっくら浴びてくるから、良い子で待ってなさいよ〜♪」


汀はそう言って、私が何か言おうとする前に、さっと背中を向けた。

声はおどけているけど、顔は見られたくないらしい。




”・・・バタン。”



(…汀も…結構、不器用なのね…)



シャワーを浴び終わった汀。

なんとか泣き止んで、目は腫れる事を免れた私。


TVの音声をBGMに、バスローブのまま、2人でベッドに寝転んで、あてもなく私達は話をした。


私達は、今回、肝心な言葉が少なすぎた、という反省を得たのだ。


だから、言葉でお互いを引き寄せあう事にする。


「ねえ、オサ、覚えてる?初めて会った時の事…」

「…うん。」


汀が現れた、あの夕日の光。

私の目を眩ませたばかりか…あの日から、何かが変わったとしか思えない。


「あの時から、オサ、あたしの事睨んだり、怒ったりばっかでさぁ…」

「…汀が、そういう事ばかりするから、でしょ?」


ハッキリ言って、汀は、わたしにとって苦手なタイプの人間だった。

それなのに、気が付くと私は、汀を探していた。


「だから、今、こうしているのが、あたし自身、信じられないのよねぇ…。

 まさか、このあたしが…ねえ…?」


「ねえって、聞かれてもわかんない。」


汀が傍にいた、あの夏を思い出す。


「最初は、ただ真面目がとりえの小生意気な、純黒おかっぱ頭をからかうのが、面白くってさぁ…」

「……それ、結構酷くない?」


「いや、今は印象違うわよ?不器用で頑固者で、ツンデレ・・・」

「余計、酷くなってるじゃないのよ。」


私が、そう言うと、クスッと汀は笑った。



汀の強い瞳が。

汀の声が。


汀が、私の傍にいた、あの夏。



「まあまあ…オサがいたから、あたし今も生きてるワケだし。

 あたしとは、思考も行動も、全然、真逆の人間で… 

 でも、それが時々羨ましいとは思えど、コイツには、なれないし、なりたくないなーとか思ったりして。」


割り切る事に慣れた汀は、真っ直ぐな私が、目の上のたんこぶであると共に、羨ましかったという。


それは、こっちも同じ。


「・・・汀、やっぱり、私の事、馬鹿にしてるでしょ?」



「だーかーらー。

 そういう真逆の人物だからこそ、一緒にいて楽しいんじゃないの。

 つまりー…あの夏から…今のあたしを構成してるのは、アンタって事。


 あの短期間に…オサってヤツは、見事に、あたしの中枢に根付いちゃったワケよ。

 小山内梢子って存在が、喜屋武汀の中枢に、喰い込んで取れないの。


 その証拠に、連絡しないと”汀のバカー!”って幻聴が聞こえてくるくらい…」


汀は、よく喋った。

普段から結構おしゃべりだとは思っていたけど、今、この話題に関しては

喋りすぎている程、喋っている。


「ふーん…。」


(・・・中枢、か・・・)



一人の人間の存在が、自分の中枢に喰い込んでいるのは、こっちも同じ。



だから汀、そんなに必死に喋らなくても…照れてるのは、わかっているのよ?


・・・とは言わない。



汀の悪い癖が、私にも、うつってしまったのだろうか。



「……あ、その眼差しは、疑ってるわね?オサ。」



貴女は私に、笑顔で、嘘をつく。真意を聞こうとしても逃げられる。

しばらくすると笑顔で擦り寄ってきて、また捕まえようとすると

これまた笑顔で、するりと、どこかへ行ってしまう。


「・・・まあね。」


でも、もうその必要はないんだな、と思う。

汀を、逃がさないように、追いかける必要は無い。


以前まで見えなかった汀の位置は、もうわかっている。

汀は私の前にワザと現れては、また私の背中にピタリと背中をつけ、隠れるイタズラ猫。


汀は、私の背中に、自分の背中をピタリとつけて、立っているのだ。


普段は見えやしないから、不安を感じて当然だが、私の後ろにはいつも、汀がいた。

だから、私は…汀を逃がしたく無い時は、ただ振り向いて捕まえたら良いだけ。


・・・もしくは、その名を、呼んで…会いに来いと言えばいい。


「言っておくけど…オサだから、嘘付けるのよ。もう、あたしの嘘、見破るのなんか簡単でしょー?」


「じゃあ、汀…嘘ついてみて。」


私は、上体を起こして寝転ぶ汀の左半身に体をつけた。


「おいおい、嘘つくの前提じゃあ、嘘になりませんぜ?旦那〜」


「…いいから、なんか。」


そう呟く私の首筋を、汀が右手で優しく撫でる。


「……この世で2番目に、オサが嫌〜い。」


汀の嘘は、3パターン程ある。


何かを隠す為につく本気の嘘。

自分が愉しむ為の冗談の嘘。


そして。


汀自身バレても構わない…いや、本心を伝える為の嘘。


「…それ、本当っぽい。」


私は、汀の顔を見つめて、目で笑った。

すると汀は私の体を押しのけて、今度は自分が私の上に乗った。


「…いやいや…あたしね、オサのせいで、1日5回しか、嘘付けなくなったの。

 今ので、もう打ち止めですよ。お客さん。」


「…それこそ、嘘っぽいわね。」


汀が、ゆっくりと体を沈める。

ゆっくりと、時計の針のように。



「まあ、どっちでもいいじゃない?どうせ、嘘なんだし。」

「そうやって、いつも適当なんだから…」


耳に届くのはTVの通販の”なつかしのCD”の曲。

そして、汀の声。


「人生、適度に当たり〜くらいが、丁度良いんじゃない?」


温かくて、優しい感触が、私の頬に、額に、落ちてくる。


「……モノ、は……言い様、ね…」


汀の唇が、やがて私の耳たぶへと、触れる。



「…まあ、要するに、今のあたしは、もう自分の気持ちにすら、嘘はつけないって事よ。


 ・・・どーしてくれんの?オサ。


 このあたしをこんな風にして。


 このあたしに・・・ココまでさせて。」



甘い囁きに似た、その汀の言葉は、私を…心まで、狂わせる。


私は、顔を汀の方へと向ける。

汀は、やっぱり微笑んでいた。



「…それは、こっちの台詞よ。このバ…」



唇はいつも、突然塞がれる。

体はいつも、突然抱き締められる。


きつく。

強く。


まったく…と思いつつも、私は嫌とも思わない。



「っ…ぁ……汀……ん……」


私は、名前を呟いて、再度汀に口付ける。


「ねえ…汀……っ…」


奪われっぱなしは、しゃくなので、奪われた分だけ、取り戻す。



「…っ…ふ…………なぁに?オサ…。」



そうだ。


いっそ、汀のように。

私は、口にしたい言葉を、好きな時に好きなだけ言えば、良い、のかもしれない。



「……私を」



ねえ、汀…


…例え、数時間後には別々の場所にいても…私は、多分…平気、だから。










だから、お願い、汀。









「……私を、寝かさないで…。」







…今、この時を、1秒でも長く…貴女に触れていたいから。


1秒でも長く、捕まえていたいから。




「…勿論、最初から…そのつもりよ?オサ、覚悟しなさい。

 
 起きたまま、イイ夢見せてあげる。」



汀は、私の頬を撫でて、微笑みながら言った。

私は、そんな汀に、ワザと素っ気無く言う。


「…なんか、やらしい。」

「あはは…うん、あたしも今、自分でそう思ったトコ。ヤバイわよね?」


汀は苦笑いを浮かべた。”やっぱこういうのは、無理だわ”と、白い歯を見せて。


「…似合わないし。」

「そう?…オサ、結構こういう言葉責めに弱そー。」

「全〜然。」

「おやおや、それは…残念♪」


「ふっ…」「ふふ…」


お互いの額をつけて、私達は笑い合った。



特別な事は何も無くても、この時間を、貴女と一緒に過ごす事が…


きっと、今の私にとって…最高の夢、なのだろう。




「・・・それで、どうやって私を寝かさないでくれるの?汀」

「さぁて・・・それはどうしましょう?」


たとえ、本当にこれが夢だとしても

たとえ、この夢から覚めても、きっと私はこの時を忘れない。



   END 













  ー あとがき ー




いかがでしたでしょうか?遠距離恋愛をテーマにしてみました。


…それにしても……あー…やり過ぎたかもしれません、今回の会話。(ガッツリやるぞ!と意気込んだ結果がコレ。)


もう、聞いてるだけで恥ずかしー!!ぎゃー!!と何度、一人で叫んだか。


私は…この2人には、意地でも本気の『好き』とか『愛してる』とか言わせません!(笑)

言わさずしてイチャつかせて見せます!(どういうコンセプトだ…。)



「起きたまま、イイ夢見せてあげる。」


・・・これは、神楽のオリジナルの女性キャラに言わせていた迷言?なんですが。

今、コレが、神楽のマイブーム(2度目)です。



・・・あ、実際言ったら、引かれますからご注意下さいね♪

追記:オサと汀の会話を少し、追加しましたが……余計恥ずかしくなった事を、お詫びします(ニヤリ)


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もう一度前編から。