F6Bエンジンを発掘します
F6Bエンジン搭載計画はすでに立案がおわりまして、搭載に関わる部分詳細も調査済の状態となりました。
搭載可能であることは分かるのですが、分かっているのは大加工が必要ということだけです。
不安と焦りだけが付きまといますが、スタートするにはまずエンジンがないとどうにもなりません。
計画実行に移すには事前にF6Bエンジン本体を探し出しておかねばならないのです。
といいますのも、設計初期段階からお粗末なK6Aエンジンがシャーシ内に搭載されていれば「不良品」とはいえ走行可能です。
走れるということは、活動範囲をある程度確保できるというメリットがございます。
K6Aエンジンを先に下ろしてしまえばボディだけとなり単なる「置物」になってしまうことを避けるためでもあります。
現時点で気になるのはK6Aの調子と実燃費があまりにもひどく、騙し騙しF6Bエンジン加工と並行しながら計画を実行することしかできない状況でした。
日本全国、近所の解体屋にF6Bエンジンを探す旅が始まって長期戦になることをおぼろげに予想した頃です。
こいつを探すのに大変な体力と気力が必要になりました。
なかなか良いものが見つからないのです。個体数があまりにも数が少なすぎるのが要因です。
エンジン発掘作業難航
まずは、F6Bエンジンを確保している解体業者に確認してみましたが良い品物が出てきません。
出てきてもブロック自体が変形している。
ヘッドが使えない。
内部構造に問題があって、さらにはサビまで発生している個体ばかり。
解体業者も不景気にあるのか絶対的に使えない使用不能品、不良品すら売りつけようとします。
確かに壊れているものであれば価格は安いです。ジャンク扱いレベルですから保証は一切なし。
そのような品質レベルから当たり品を見つけなくてはならないのです。
長期戦に入りまして、見つかる望みは薄いことも覚悟しつつ、必要最低限度の機能が確保されたF6Bエンジンであれば、市場価格に従って購入しようと心に決めて捜し歩くことになりました。
一応プロですので、細かくチェックしていきます。
一般の方はまずヘッド、シリンダブロックの歪には気付かないと思います。(修正可能であれば、良いのですが)
数多くのエンジンを見て触ってきたことが自身の経験値を上げたこともありまして、大体の姿カタチを見ればある程度までは判断できるようになっておりました。。
ですので失敗は全くありません。
少なからず一つ一つの経験は貴重でたいへん重要だといつも思います。
何事もやり続けるという気持ちは大切です。
数機のF6Bを発見できましたが、望みにかなうものではなかったのでありました。
まだ、まだF6Bそのものを見つけるまでには時間が必要と覚悟することになりました。
余談
そういえばこんな業者がいました。
業者の名前は相沢解体といいます。
すでにこの業者は倒産して店をしめています。(当然ですわ)
F6Bエンジンを確保していた業者でしたが売ることを何故か急いでいる。
とりあえず、本体を確認したいということで現場まで行ってみました。
そこにあったF6Bは雨水につかり状態は最悪。
トランスミッションも結合されたままで放置されていたものの、内部ハード面は良好?と見えた。
ですが、エンジンとしてのカンと生命力がまったくないのです。
ああ、このエンジンはダメだな。と心の中で思っていたところ
6万円でいいよって口火を切ってきました。
確かに、物がない状況ですから無理にでも買わねば計画は先に進められない
ですが
ミッションケースにもクラックが入っているものを誰が買うか!
とんだ商品を掴ませようとしている完全悪意者であることは明白
僕は購入の意思を示しませんでした。
意思表示する必要もありません。
もう少し見せて欲しいと伝え、本当に使えるのかどうかエンジンをひっくり返してみました。
オイルパンには大穴が開いております。
やはりね・・・
心の中でこのエンジンは終わっている、やはり無理か・・と感じておりました。
このエンジンは使えない。基本修復する費用の方が高くなる。
もしも「使う」としたら(ブロックも駄目)ジャンク廃品扱いですので、数千円でも無駄な投資となります。
使える部品も少しはあるものの、せいぜいカムシャフト、ギアプーリーくらいでしょう。
こんなジャンク品が6万円ですか?
ミッションもつけるからさ。とまで言う始末
ミッションをつけるといってもケースは割れてるし、使えない。と答えました。
そもそもケースはカプチーノのトランスミッションとは合致しないし、破損品だから余計な費用がかかります
いらんわ、、こんなボロは。
僕は高すぎると一言述べたら、店の親父が逆切れ
結果、自分トコの商品を破壊し始めた。
最初何をやっているのかわからなかったのですが、もう倒産寸前で金、金、金と思っていたようです。
心の中で叫んでいることが見えましたので。(イメージで見えたので間違いないです)
フォークでエンジンを上下に吊し上げ地面に叩きつけている。
その親父のあまりのバカさ加減にため息がでましたよ。
当然購入することはしませんでした。無駄な投資ですから。
破壊している時見てしまったのだが、オイルパンのクラックが衝撃でさらに進行しインテークマニホールドがひしゃげたところを見てしまった。
その時は笑ってしまった。
親父にとって大切な商品のはず
マッタクの素人さんに売る場合なら、上手くいくとでも思ったのでしょう。
人を騙そうとしてはいけません。
よくよく考えてみると、大した解体屋でもないのにF6Bエンジンがあるということは他の業者にある可能性も高いと勝手ながらにイメージできました。
本当の意味での解体を実施中に
相手にしてもしょうがない、この手の方々は気が小さいし
相手にしても無駄、と
僕はそそくさと、さっさと車に乗り込んでその場を後にしました。
こんな胡散臭い解体屋には
二度と来ることはない。物を大切にできない人たちである以上、無駄骨に終わりました。
こんなバカ業者に時間を費やしたのは痛かったですが、ある確信を得た気がします。
地道に見つけようとすれば必ず適合する個体が見つかる。そんな予感がありました。
また、意地になったところで良いものは見つからない。探し続けることが大切と思いました。
そんな事件があって数ヶ月後、リサイクル業の人たちに会う機会がありまして
トラブルの多い相沢解体のことをことを聞いてみました。
あの社長は痴呆症なんだそう。(ここでいう痴呆症とは病気という意味ではなく、短気でバカという意味です)
俺のところもね、あの業者だけはブラックリストなんだわ。
あのクソ社長、すぐキレんだよな。商売ヘタクソだから、あそこは。
だそうです。
なるほど・・・
やぱりそうなんですね
そんな話しをしたあと数日後、その痴呆症社長のバカ息子がホームセンターで買い物していたところを目撃しました。
僕はそいつのことを見返してやったら、小さくなってたなぁ〜。
所詮不良品を売りつけようとする商売下手な悪徳業者ですから申し開きすらできません。
そんな事件があってから数か月後
その店の前を走って行ったとき、不思議なことに建物もなくなり更地になっていました。
悪いことをした罰なのだと思います。(法定地上権もなかったようですので、その場所に居残りできなかったのでしょう)
潰れて当然。
業者の間でも近日中に潰れるだろうという話もあったことですし、驚きもしません。
話が脱線してしまった。本題に戻します(失礼致しました)
次の業者に現状を確認するため移動しました。多分あそこなら望みあるかもしれないと・・・
F6Bエンジン、今となっては状態の良いものはまず見つからないと思います。(「丸車」よろしくならあるかも)
その後も探す
僕の知っている得意先業者に問い合わせましたが、何処に埋まっているかわからないほどの在庫量(当時)
手に入らない心配もあったので直接店まで行ってみました。
まず最初に電話で確認してみました
F6Bセルボ在庫ある?と尋ねてみましたら
「あるよ」の回答
やっと、ついに見つけたと意気揚々としておりました。
電話ではわかりませんので、やはりここは現場で直接確認は必要です
店に到着したものの誰もいなくて、社長は留守中
事務所の奥から声が聞こえたものの、それは事務の人でした
仕方なく
現車を確認したいということを伝えて了解をもらい、ストックされている場所まで入り込んでみました
あると言っていた場所に行ってみてもその車両がないのです。
その周りを含めて30分ほど探してみたのですが、まったく、ない!
用事で留守にしていた、社長が帰宅してきました
社長、開口一番
「ちょっと待てよ・・・」の一言。
「あっ、確か昨日壊して、残骸はもっていっちゃったよ」
「は?・・・・」
最近まで確保していたCP31Sが丸ごとあったのだが(細かく聞きますとタービンは駄目だったみたいです)
タッチの差でシュレッダーにかけられ、エンジンもなくなってしまっていたという。
ここまでくるともう笑いしか出てこなかった。
「あるよ」ではなく、「あったよ」でしょう?
これも、エンジンを探す楽しみがあります。次に必ず見つけてみせます。
とにかく地道に探します
僕はさらに遠方までエンジンを探す為に県外の解体屋を捜し歩きました。
ちょうどその時は5月のゴールデンウィークで天候もよく、探すタイミングとしてはベストタイムな感じでした。
解体屋をポタリングしながら、お茶休み。
カプチーノの窓からみえるのは、セルボモードのおケツ。
これはひょっとして・・・
エンジンフードを開けてみる
やはりシングルカムか。(つまりF6A)
セルボモードの顔やお尻が少しでも確認出来ると、F6Bあったかな?といった具合でして
思わせぶりをかけられることばかり。
何かなぁ〜恋人探ししている感じ。
このままでは時間ばかりとられて、搭載計画実行は無理だと思うことが多くなりました。
だけど、セルボモードSRFourの登録台数は限りなく少なくても日本のどこかにはきっとある。
今となってはオークションなどの方法もありますが、意味なく余分な品物までは必要ありません
処分費用も余計に負担しなくてはなりません
広範囲に検索作業を実施したもののF6Bエンジンは見つかりません
さらに範囲を広げて全国の解体業者を探し歩くことになりました。
一番失礼な行動でしたが、電話やインターネットで探してみたのですが、99%回答は「ありません」
酷いところは連絡すらない。
どうすれば、みつかるのか・・・
みなさんも容易に想像できると思いますが
CP31とCP32セルボモードSRFourという車はF6B4気筒エンジンを搭載した紛れも無い「本物」
解体屋にいるセルボモードはF6Aシングルばかりでした。
当時の車両価格やユーザーの使用環境を考えるとF6Aでも十二分に事足りたのでしょう。
今も昔も変わりなくパワー崇拝の時期でもありましたが、実際の最高出力も61PSと64PSと大差はありません
CP31とCP32は車両価格が当時としてはとても高いこともあって人気なし。当然ですね。
エンジン代を余計に支払う形式の車体本体価格に大してユーザーは応えなかったということなのでしょう
F6B搭載の車両は現存する数すら少ない理由はこの辺にありそうです。
まして解体業者に完全無傷な状態で搬入されるケースはさらに少ないです。(車体外観は後で補修すればよいだけです)
ディーラーサービスにもセルボモード入ってきていますか?と聞いてみた所、過去に聞いた事のあるクルマとなっていて整備すら数回しか触ったことがない
F6Bそのものの現物を見たことも無いという珍回答もありました。
スズキも聞くだけ無駄です。アホすぎです
そこから、数か月が経過し
もう、駄目なのか・・・
と、諦めかけていたとき以前に問い合わせをかけていた解体業者から一本の電話連絡がありました。
答えは、「あります。それも色違いで3台も入庫してきました!」
「やった!エンジンの状態はいかがですか?」
「とりあえず、全部いけますよ」
これはとにかく確保しなくては、もう二度と出会えない品物と直感しました。
だけど、発見した場所があまりにも遠かったのです。
場所は本州最西端、山口県にある解体屋さんでした。
引き取りに行くにも遠すぎます。
さて、どうするか・・・
考えた結果
遠方の日本本州最西端方面まで僕本人が引き取りに行くべきか、それとも諦めるか考えました。
これを逃したらきっと搭載計画は中止になってしまいます。
何か方法はないものかと考えた。
九州地方まで電車で旅行する気持ちで丸車で乗って帰ってくるか
きっと「別な意味」で楽しい旅になることは確実です。
解体屋さんに相談してみました。
「丸車で乗って帰ることはできますけど、途中で止まったときは助けにいけません。それを考えると整備しないと駄目かもしません。危険ですよ。超デンジャーかと・・」
陸送は高すぎるだろうし
失礼かとは思うんですが、丸車価格で構わないのでエンジンだけ売ってもらう方法はありますかと相談してみましたところ。
「OKです」「承知しました」と回答をいただきました。
エンジン単体で宅配業者使って送りますね。というありがたい回答までも。
ここで思うのがCPU他ハーネス類ですが、ほとんどは作り替えますので外観だけあればよいということも伝えておきました。
エンジンがあったということに驚いて慌ててしまったということです
陸送ではなく宅配便があったか・・もっとしっかりしなければ。と思いました。
ですが、当時は宅配便も重量のあるものは配達しないと聞いていましたのでかなり不安でした。
この件について詳細に尋ねましたら
重量物でもIさんの宅配業者ならば、発送できるとのこと。
問題解決ということで、早速お願いいたしました。
補機類も含め重量も80s近いものを、発送できるのかどうか
送りますね、の一言で本当に安心して、車体外観の写真まで送ってもらいました。
さすが、Iさん。ありがとうございます。職人!(笑)
僕も労力をかけて探した甲斐があったと思います。見つかった時点で8か月以上は経過していました
さあ、計画を実行に移す時が来ました。(難作業があるのは覚悟しております)
−F6Bカプチーノ製作記−
エンジンスタンドに載っているF6Bです。
K6Aの3発エンジンに比べると大きい。
本当にカプチーノのエンジンルームに入るのか?
予想は当たり後々大変な作業へと発展することになります。まずはこのエンジンが何処にあるのか必ず探さ出さなくてはなりません。F6Bエンジンが見つかれば、きっとカタチになる
そう思って作業を開始しました。
F6Bエンジン探索