F6Bエンジン加工
エンジンを買ってから数ヶ月、保管しておりました。(スタンドに載せただけです)
そのまま放置すると錆の問題や機械機能上などの問題を抱えてしまいますので分解して全て保管することに。
まだ、エンジン搭載までに必要な情報と技術がなかったので、とにかく材料確保と技術向上をするための努力していたわけです。(あったとしても、専用の工具が揃っていないとでもいいましょうか・・)
その年の夏に入ってからスタンドに載っているF6Bエンジンを完全に分解しました。
ブロックだけがスタンドにのったままの状態になり少し安心。ですが、これからの搭載作業のスケジュールから考えてみると、まだ僕の技術と技能が追いついていない
エンジン加工や分解については何とも思いませんが、溶接作業に必要な機材がないと難しいわけです。
また、工作機械で(手工具の一つなんですが)揃っていないものがあって作業できません。
実際、仕事先にはその工具がありまして、私用拝借することもできました。
ですが、どうも精神衛生上、自分の持ち物で作業しないと折角作ろうとしている部品たちの意識が変わってしまうのではないかという理由から、少しずつ貯金していました。(機械本体価格は数千円ですが)
まだ、何とかK6Aエンジンは動いているし、無理に遠出することもありません。最近はチャリンコで通勤していますからそんなに気にすることはなかった環境でございました。
とりあえずできる作業から開始。
F6Bのバルブ、スプリング、カムその他パーツをヘッドから完全分解。
腰下分解の時、エンジン外観から部品そのものの調子具合を見ていたのでヘッドもかなり良いものだろうと確信しておりました。
各パーツの実際測定作業をしてみたら、磨耗やバラつきは最小限度であることを確認しました。
シール関係の部品交換だけでも即復活なレベルでして、まだまだ部品単体の機能性能を確保できておりました。
測定が終了したら、今度はヘッド加工に移ります。(この時点では切削くらいしかできませんが)
今回はラッシュアジャスターエンジンですので気を使います。
作業は簡単、バルブ調整の面白さが省略されてしまうのは少々面白くないなと思っていました。(実際は必要事項です)
しかしこのヘッド加工行程作業完了まで数ヶ月はかかります。十二分に楽しめそうです。
それに毎日の連続作業ができないから余計に楽しみでございます。
ヘッド加工はプロでも、専用工具があったとしても一日二日で終わるような作業ではありません。
(真面目で確かな技術と技能を持っている業者限定)
さらに商業工業系資格を取得するために学校に通学することになったこともありましてヘッド加工完了まで長期化するのは間違いありませんでした。
作業場に帰ってきてヘッド加工作業工程をこなすことができるのが一日1時間〜2時間程度しかできません。
今まで愛用してきたのルータをつかってコツコツとアルミを削っていきました。
でも、全ての削り作業をルーターを使って加工はしません。(ここがエンジニアのノウハウなのですが)
シリンダヘッド関連加工修正
相変わらず、ブロック本体だけがスタンドに載ったままです。
パーツの装着されていないブロックはとても寂しそう。
ヘッドその他は削って磨いてまた修正して、の連続が続きます。
なかなか進まない作業です。早く調律作業を終わりにしたいところですが、とにかく、1日の作業時間が数時間しかなくて
さらに、学校で頭を使うので自宅で眠ってしまうことが多かったのです(虚弱体質ってやつですね)
そんな毎日を過ごしつつ加工と修正を繰り返しヘッド調律の第一段階が終わってきました。
この時点ですでに4か月経過。最終工程終了までさらに2か月。
次はシートカットです。全てのシートを調整していきます。
しかし、サイズの合うシートカッターが無いので得意先にカッターだけ注文することになりました。
シートカッターというと特殊パーツですから、商品入荷するのに相当な時間がかかるだろうなと予想していました。
みなさんは、シートカットって何だ?と思うでしょう。昔は業者に持ち込んで修正、新規で打ち直した工程です。
最近は、シートは弄らず、新しいヘッドごと交換します。そう簡単に壊れるものではないという不可思議な見解をもっているようでして、実際の現場ではオーバーホールそのものも行われない要因ともなっています。
チェンジニアの実態
チェンジニア(自動車整備士)はエンジンオーバーホールの経験もなく、お客様に対して知識だけで話している時代になりました。学校で1度、2度分解整備した程度でプロって呼べません。
テキスト開いて、マーカーで線引っ張って、ふ〜ん・・・じゃ意味なし
センス無いやつばかりです。
僕は色々とチェンジニアの裏側、分ってますし。
現実は、かなり酷いですよ〜
おかしな世の中だな、と思います。
若者が職業にしたくないランキングに入っているのが自動車整備士
クルマの基本性能がアップして壊れにくくなり整備する必要がなくなった時代に生まれたチェンジニア達ですから、全く応用力の無いタダの素人さんです。僕はそう思っています。
チェンジニアは言い訳してくると思いますが、聞き流しますわ。
それにしては、整備ミス多すぎる。しかも致命的なミスばかり
単純ミスも多い。
走っている最中に足回り外れ、ブレーキから異音、それでも原因は不明ですが、安全に乗れますと断言するものですから信用におけません。修理納車されてすぐこのような状況だったことも多く。人間の命よりも金と保身しかなかった。
結局自分で整備調整交換して乗り越えてきた現実が多々あります。
部品を注文します。
さて、取引先でも特殊なパーツということから在庫がなくて、入荷まで少し時間をいただきたいという回答でした。
結局入荷までに1ヶ月程度時間がかかりましたが、待つことは全く平気です。
焦ったところで、何一つ現実は変わらないのですから。
ひとつひとつ工具が揃っていけば、確実にF6Bエンジンがカプチーノに搭載できるわけですし。
ゆっくり時間をかけてエンジン加工を行えば、より確実で耐久力のあるエンジンに仕上げることもできるのです。
本当ならば、普通、シートカットやエンジン加工というと専門業者に出してしまうでしょう。
今は、どこにもそんな専門業者はありません。廃業、存在するところも限りなく少ない。
2014年現在、都内には少しだけ生存しているようですが、一般の方の依頼は全て断っているとのこと。
田舎ですとなおさら信頼できる業者って少なくなります。
ディーラーや整備士も昔はエンジンフルオーバーホールを実施して自らの技術を技能を磨きました。
キャブなんかも自前で加工してとことん追求した時代があったものです。
しかし、現在は全てがユニット化されエンジンフルオーバーホールなんていう作業は行った事がありません。
リビルト、パーシャルエンジンを用意して載せた方が利益につながるから。
専門業者そのものがありませんし、技術分野の話をしてもアホな整備士ばかりで「?」という顔をする人が100%
エンジニアではなくチェンジニアであることがすぐ分ってしまいます。実に情け無い。
結論からして、僕は専門職にこだわらず予算もかけずに職人魂を発揮させるには、手工具による作業しかないと思っています。
それこそが整備や材料加工工学の勉強ができると言うものです。大型工作機械のオペは分野が違いますがそれも独学で操作可能のはずです。
現代、全てマシニングやNC等の専用機、計測器に頼って仕事している人が多いですが、本物のメカマンはカンと空気、そして経験に頼る所も多いことに気づいて欲しいと思います。自動機よりも手工具で仕上げた方が、より高い精度で仕上げられるものなのです。
組立調整
エンジンの組立てですと、通常業務内であれば数時間で組立てできる世界ですが、僕はあくまで手作業重視(というよりこれしかできないのですが)
組立てというと、分解、洗浄、調整という手間のかかる行程になりますが
チェンジニアが行う(実際行った実績率はほぼゼロです)組立てとは違い、調整まで含めると膨大な時間と経験が必要です。
時短に成功したチェンジニアであっても、部品のもつ特性、作られた環境まで範囲が及ばなくては確かな性能をもったエンジンは組みあがることはありません。
例えば、部品精度ですがチェンジニアは1/100o単位で測定、調整しますが
僕は1/1000o単位でモノを考えないと駄目だと思います。
実際F6Bエンジンについても一桁違う方式で組み上げてあります
一桁の違いを注意しつつ組む
これは
一度でも良いエンジンを作る経験をした時、分るものです。
エンジン調律作業を一度でも行うとわかるかもしれませんが、一つの指標を作る重要なキーワードを体感できるはずです。
エンジン組立
やっと、エンジン本来の元の姿に戻す事ができます。
ブロック本体にヘッド、ヘッドカバー、4個のピストン、オイルパンを装着する時がきました。
この組立は経験者でしたら2時間もあれば終わるかもしれません。あくまで組立てだけならば簡単なのですが、ここからがF6Bエンジンをカプチーノに載せるための最初の段階に移行したことになります。
図面上での寸法と実際に目の前にあるエンジンとの差は大きいはずです。
ここで寸法測定作業が控えています。(詳細に測定していかねばなりません)
カプチーノに純正エンジンを載せるだけならば、数ミリ単位の誤差で一気に搭載できるでしょう。
僕の場合は異種エンジンですから、そう簡単にカプチーノのエンジンルームに納まるわけがありません。
車体側の測定、エンジン側の測定全て行います。
どんぶり勘定で搭載作業を実施してしまうと、大変なことになるでしょう。
さて、エンジン組立てに専念することにいたします。組立てに集中することで最大目的のエンジン搭載は達成したものと思います。
確実に組み上げること、それは走る為のエンジンが生まれ、そして正確無比に作動するようにするためです。
ここには、組立て調整のセンスも大いに関係ありますが、これには数多くの経験と失敗から発生するものなので僕だけにしか分らない領域です。
エンジンについてどんな調律をしたのか大変興味があると思いますが、詳細説明しても「?」ですし。
組み上げる楽しさを言葉にするよりも感覚を広げた方が良いと思います。
センスと基本は自分で磨くものなのですから。
とりあえず、F6Bエンジンがカプチーノに載った状態ってどんな感じ?の方が重要なのですから。
こいつは、作った者のみに与えられる、特別なものなのです。
エンジン水周り加工
猛暑の夏、連続してクソ暑い日が続いています。
そんな中、ご親切に台風が日本に接近してくるとのこと。
天気予報を見ながら、これはもうだめか・・・と、つぶやきました。
エンジンフード取り付け作業が追加決定です
台風の威力、自然の力はものすごいです。
説明を加えますと、カプチーノにF6Bエンジンを載せるまでの間
車体にエンジンフードはなく、取り外されて保管中。
どんなに窓や扉を閉めておいても作業場の中に埃などが入ってきてしまいます。
車体にフタをしないと、雨水、風で飛ばされてきたゴミが入ってしまいますし
強風ならば最悪エンジンフードそのものもどこかに飛ばされていくことになります。
カプチーノのエンジンフードはアルミ製ですから余計に気を使います。
走行時、普段は振動と風圧に耐えているエンジンフードも車両に装着されていなければ、横風ひとつでピュ〜ルルルと飛んでいってしまいます。軽い素材ゆえ危険回避は絶対必要です。
それに近所のじいちゃん、ばあちゃんが僕の作業場を見ていくことが多くなりまして、カプチーノにタイヤが無いけど走れるの?直せるの?あんた、整備士かい?と尋ねられることが多くなりました。
僕は整備士ではないです。と答えると、何者?扱いです。
どうも、タイヤのない車は異様に見えるようです。
田舎ですから、のんきなじいちゃん、ばあちゃんが多い
面白い世の中です。
水周り加工ですが、F6Bエンジンは元が横置きFFベース。
カプチーノはF6AとクソK6Aの縦置きFRレイアウト設計されています
最初から水周りも専用になっています。
セルボは横置き。よって水周りも配置が大きく異なっています。
エンジン搭載で一番苦労するだろうなぁ・・・と覚悟はしていました。
実際作業してみると相当に大変でして、寸法の話しをすると高レベルな範囲で格闘することになります。
柔道でいうと、とってもクリーンな一本背負いをするようなものでして
1mm以下との争いです。
ボディとの干渉も必ず発生することを予測しなければなりません。
さらに夏の猛暑で搭載作業が進まないことが、走り出すまでのイメージを新たにして
必ず走り出してみせるという気持ちがさらに高まっていきました。
水周りを確保できなければ、エンジン搭載は失敗になってしまいます。
どうにか考えなくてはなりません。慌てても走れませんし
いろいろ考えたました。重くならずに、最適な方法はないかと
流用も考えていけば必ず実るものと考え続けました。
結果、車体に少しクリアランスを持たせ水周りをセットできました。あとはパイプ寸法を出せば何とかなるところまで加工することができました。
インテークマニホールド加工
マニホールドの加工。
あまり詳しいところはお伝えしたくないというのが本音です。
というのは、イベントなどでエンジンを見せて欲しいという方から快く見せていたのですが、どうも姿形にこだわる人が多くて機能性重視よりも見た目重視の方が非常に多いことが分かったことにあります。
僕としては真面目に作っています。図面からしっかり作ってありますが、出来栄えは上々。
高速移動時の空気流量が最適化されていますので、出足が遅いセルボにくらべて数倍は機能性能アップ。
さすが、F6Bエンジンと特製のマニホールドの相性は抜群です。超高速域で確実に役立つものです。
フォーミュラマシンをみてあげてください。(ヒントと答えです)
膨大な費用捻出で、モノホンの一本物ワンオフパーツが出来る時代です。
もっとも、製造業者が快く引き受けるわけがなく、手元にある工具だけでエンジン搭載を乗り切るという自身のコンセプトが崩れてしまいますので、手作業で出来る限りのことをしたい。
ですので、遊びながらできることを証明することが目的ですが、分かっていただける人は限りなく少ない。
実際に、モノホンのワンオフパーツを加工機にかければ、それはそれは凄いものができますが、僕はあくまでハンドパワーで作ってみせるところに面白さがあると考えております。
ズバリ言ってしまえば、アルミ溶接が出来ればよいのですが、溶接が出来たところで、その考え方自体が素人なのです。
アルミ溶接できますという人もいるでしょうけど、本物のアルミ溶接というのは、鉄鋼溶接の数百倍は難しいのです。
その世界を僕は経験し、今回のマニホールド加工に生かしてあるのです。
ひっついていればそれで良い?だけではいけません。ビード外観も密閉検査もかなりのレベルで重要になってきます。
簡単に、溶接できますと言う人は、やってみれば?と心の中で思っておりますが。
本当に溶接は難しいですよ。(材質選定も難しいですから)
今は、数十年前に比べてインバーターも付いているし、安い半自動もありますが
こんなものは所詮玩具です。
玩具の溶接機では仕上がりの良い溶接は望めませんでしょう。
数千万円かけて自動機、鋳造、鍛造(難しい)機による専用新型マニホールド作っても、結果意味の無いものです。
専用機を使わないところ、自分の手で作ることが唯一のクルマを生み出すものと思います。
その分、自身の技術と技能で作り上げたものをカプチーノに搭載してあげればよいだけだと思っております。
基本的なお話ですが、材料はアルミパイプだけで事足りますが、技術と知識と独自のアイデアがないと本体製作はまず無理です。
チューンショップでもやりたがらないでしょう。(現在は、不景気で売り上げのためになんでもやるでしょう)
悲しい世の中です
結局、金か。
僕は嫌いです。こんな世の中。
実際出来上がったマニホールドを見て、もうちょっと見栄え気にすればよかったかなと思うのですが
素材が素材だけに機能性を重視した結果、今回の「カタチ」に落ち着いたわけです。
副産物として軽量化も実現しましたし、元々軽いカプチーノへの特性に寄与出来たと感じております。
−F6Bカプチーノ製作記−
エンジン調律加工
インテークマニホールドの加工中のもの。
エンジンスタンドにある状態で色々と考え中。
FFベースの車両からFRベースに変更するわけでして。ゼロからのスタート。最初からワンオフパーツとして作ります