−F6Bカプチーノ製作記−
F6Bエンジン搭載
搭載できるかどうか、正確な数値を出す為初期段階です。
「搭載できるかどうか」ではいけません。載せます。確実に。
何故なら、この時にはK6Aエンジンは別のクルマに搭載されていた事実があったからです。
もう後にはひけない状況であったことも理由にあります。
このときは秋に差し掛かった頃でして、まだまだ気温が高く搭載作業が大変だったことを思い出します。
ハード系設置の初段階ですのでとても緊張する一瞬です。
何時になったら走る出せるのだろうか
もしも、搭載できなかったらという不安はありませんでした。
なにせ全て手作業です。
こんな時、ヘルパーさんでもいてくれたらあっと言う間に・・・とは言っていられません。
一人で作業するから、走り出したときの感動が大きいのです。
ひとつひとつ確実に作業していつか、必ず走り出すことを想像しながら前に向かって進むしかありません。
何となくカタチになってくるとうれしくなる。
実際に僕がイメージした通りになっていくことがとてもうれしい。自身の技術と技能を信じて作業します。
僕のカプチーノの中に納まっていたK6Aエンジンは僕の手元にはないのですから。
必要がないので知人にタダで差し上げました。使えないクソK6Aなんていりません。部品取にでもどうぞって具合に。
まずは、エンジンをボディに装着してみまして正確な位置を出していきます。
何故正確な位置が必要なのかは、エンジンマウントの製作が控えているからです。
図面上では正確な位置は分っていますが、仮想空間ではさっぱりしません。
実際のエンジン本体の一部を固定して位置を少しずつ出していきます。
当然ですが、治工具製作が必要です。
さすがにノーマル部品を参考にはできませんので、ワンオフパーツ製作が待っているわけです。
重量が重くなることは分っていたのですが
純正パーツの耐久性を考えても十分に使用できたと思います
しかしながら取付位置がことなってきますので、流用するにもやはり大幅加工と修正が必要です。
同じ部品でも大幅加工するわけですからワンオフ部品として作り直します。
長期使用を考えて鋼材の板厚を1.5倍に増量することにしまして
さらに容易な整備性を加えた強度アップで完全オリジナルになりました。(鋼材数値計算でもそれなりの数値です)
カプチーノ乗りの方は容易な整備性といいますと、すぐ分るかもしれません。
エンジンマウントの位置出し補機類の装着状態
前ページに使用した写真と同じになりますがエンジンマウントブラケットとエンジンマウントが結合していないことが分ると思います。(パーツ洗浄や塗装は搭載後期に実施)
搭載位置を出す作業中なのです。一度で決まるなら良いのですが、何度も何度も修正しながら作業していきます。
やはり1次振動が少ないF6Bエンジンの特性を最大限生かしたいわけでして
部品同士が結合された時、がっかりしたく無い気持ちから納得がいくまでこの作業を繰り返しました。
問題になったのは、触媒とマニホールドの位置関係です。
エンジン搭載はできるのだが、タービン及び触媒の位置関係がはっきりせず。
位置が確定しないと、マフラーも取り付けできません。
たった一つのパーツを作るにも、1度で作る事ができなくて工作時間2週間という時間を無駄にしてしまったこともありました。
ここ1ヶ月毎日ディスクサンダーとお友達になっていました。
ディスクを1枚無駄にしてしまいましたが、確実に次の部品を作るときにその経験は生かされます。
特殊な作業の連続で飽きてくる頃なのですが、失敗しながらひとつひとつ問題をクリアしていく楽しさは、言葉では言い表せないものになりました。
溶接前の最後の部品製作にとりかかろうとした時、鋼材が不足していることが分り、行きつけのホームセンターへ買い出し。
でも、これホームセンター経由で買うと完全な不良在庫になってしまいます。
最近鋼材価格も高騰していて、中国が買い占めている状況。
たしか、解体部品で使えそうな部品があったはず。この中から拝借流用しますか・・・
ということで、使えない部品の中から材料を見つけ出しました。
何とかエンジンマウント部品も作り、バルクヘッドの逃がし微調整加工となりました。
今後のことを考えて
セルボ用タービンは個体数も少ないですし今後入手困難に陥ります。これでは困りますので触媒系を加工しました。
公認車検を取得しますので、大幅な加工はできませんが、部品入手で困らないようにするには仕方ありません。
CP31orCP32セルボモードはタービンの取り付け形状が大幅に異なっていまして
F6A用K6A用が流用できない構造となっています。
セルボモードを乗っていた方はよくご存知かなと思います。
つまりそのままタービンを使用できないのです。
何故、フランジを含めてF6Aと共通にしなかったのかなと思うのですが
さすが、スズキです。
部品形状違い・・・おおよその見当はつきますが、大失敗の一例です。
目の前にある現実は変わりません。つかないものはつきません。とにかくF6Aタービンで考えていきます。
これからリビルト品の入手も難しくなりますし、流用性もセルボ用では無理です。
性能の優れない日立タービン選択の余地しか残されていないことも予測して触媒加工でして
今できることはしっかりやっておきたいと思います。
K6Aエンジンのタービン周りのパーツ入手性は最悪です。
スズキは特に純正品扱いが少なく、ウォーターパイプも単品入手できない、アッセンブリ
通常では考えられない。スズキは売るだけの会社としてとらえております。
エンジンに関係するワンオフパーツ製作加工は大分少なくなってきました。
ほぼ、完成領域
ですが、細かなパーツ製作は継続中です。電子系はまったく機能しません
写真はすでにエンジン本体の搭載は完了しておりますが、ハーネスとセンサー関連でややこしいことになっている状態の頃のものです。
エンジン搭載はほぼ終了しましたが、センサー設置調整で時間がかかっていました。
配線一本一本、頼りにならない整備解説書を参考にテスター等の計測機器で行き着き先を確定していくのですが
結線して接続してもやはり「動く」ことはありません。
K6A配線にF6B用をドッキングするわけですから無理も出ます。
しかし、そこが楽しいのです。
もし単純にF6B用をそっくりそのまま流用したら簡単な作業です。
あえて難しい方法を選択したのは、自分自身の整備力と経験を試したかったからなのです。
電気系統の仕事は得意中の得意。
エンジン搭載は終わっていると感じますが、末端のセンサーまで配線作業が進むと車両本体は完成の領域に達してきます。
この辺でエンジン搭載ももうすぐ終わりなんだなぁ・・・という思いが出てきました。
おおまかな部分はある程度終わりますが、実は細かい部分の加工が数え切れないほど発生します。
クソK6AからF6Bエンジンにそっくり入れ替わるのですから、仕方の無いことです。
こうなることは覚悟していました。その覚悟の部分まで到達できたということは、走り出せる時が近いということ。
うれしくなります。そこがまた楽しいのです。
写真状態を見ると、もう動き出せるのでは?と思われると思います。
まだエンジンは起動できません。
パイロットシートからキー操作によりスターティングモーターは起動できますが、これではエンジンは動きません。
また、バッテリーが長期未使用のためか、若干弱っている気がします
こちらは充電対応します。
またスターターが回るということはすでに封入されたエンジンオイルがエンジン内部を循環した証です。
このスターティングモーターの起動音を聞くと、早く乗り出したいという気持ちが押し寄せてきます。
だけど、音だけです。
最終工程がしっかりしていれば、間違いなく良いものができます。
気を許さずに作業しなくてはなりません。
とにかく「走り出す」イメージする事が大切かなと思います。
搭載テスト初期
F6Bエンジンがついにボディと結合されます
一発で載ることはありません。
問題は山積みです。
技術と技能=宝の山はどこにある?
搭載テスト初期