日産スカイラインHCR32タイプM復活への道 

- 整備技術と技能 -
  第1期エンジン復活工事開始(仮設工事)

 難しい話は必要なくて、エンジンをフルチューンすることに徹します。

僕の考えるフルチューンというのは、高出力、短命エンジンとして考えません。

はるか前に、過激なものばかり作ったり見てきたりしてもう、飽きたというのが理由です。

日産RB20DETエンジン、ノーマルの良いところを出来るだけ残して、ドライビング感覚に自然に追従してくる

そんなチューニングとセッティングを施します。

ハイパワーだけが全てではないのです。

もちろん、お約束のポート研磨や段差加工もしますし、絶妙なバランスもきっちりとります。

大きなタービンもCPUも必要ないと思います。

ブーストアップも要らないと思います。

要はノーマルプラスワンで十分です。

  バルブラッシュアジャスタの点検と交換

今回のエンジン整備の触りからはじめます。

「ラッシュアジャスター」の交換である

ある工程の下準備の為です。

本来は、よほどのことがない限り故障はありません。(部品の性質上不具合が出にくい)

ただし、オイル管理不足、いわゆるオイル交換を怠ったり、ケチったり

エンジンの使用方法を一つでも間違うと一気に破損する部品です。

アジャスター本体は単純な構造ですから、かなりの耐久力をもったものです。



ラッシュアジャスターの弱点を少しだけ改良します。

RB26ではシム化されていますが、RB20はオイル通過型

常に、高回転で使用を前提に考えてしまう部品ですがそうそう簡単には壊れません。

破損に至った原因は、オイル管理不足、タイベル調整不足、オーバレブ連発、この3点が大半を占めます。

強化品も以前はあったと思いますが、現状確認はしていません。多分ないでしょう。

  点検と交換判断

整備解説書では親指で押して判断するといった記載がありましたが

この方法では無理です。

バルブ高圧室側が壊れているのであれば、指判断できる

しかし、少々の小傷程度では発見するのは難しいです

そこで、自作特殊工具の登場となります。

この工具を用いて本来のアジャスター本体のクリアランスがどの程度あるか計測すればOKでしょう。

実は、親指で押してみるのも確かに整備では必要でしょう

ただ、それだけでは、どうしても直接的な不良発見はできません。

では、どうやって探すの?という質問が来ると思いますので

先に、特殊工具製作事項として文章表現しておきます。

それは何か?よく考えましょう。

おかげで、再組しても使えるものと使えないものを確実に区別することができます。

これも経験。(交換したラッシュは合計1個だけでした)

部品単体でオーバーホールできれば良いのでしょうが、そこまで出来ない構造のようです。

分解可能でしたら、全部分解して洗浄して組むだけでも違います。

アジャスター本体は中古でも良いかもしれませんね

新品ですと全部交換すると何十万の世界になってしまいます。

実は、分解可能なのですが、あえてここは考えてほしい部分です。

  カムシャフト分解

カムを保持するキャップボルトが半端なく硬いのです。

エンジン組立てラインでパーツ洗浄しないまま、乾燥を怠り組み付けたことが原因です。

後もう一つは劣化エンジンオイルがキャップ内に入り込んで腐ったもの。

カーボン化したとも言います。

一番の原因は洗浄液が残っている状態で組まれたものでしょう。

つまり最終乾燥が不十分な状態で組まれたものなのです。

スペア部品が手に入ればよいですが、ホルダー単品は入手不可能、ヘッドAssyになりますのでヒヤヒヤものです。

一応、組み付け前に、全てのキャップ修正を全て行いました。

修正傷が残っているのわかりますか?



組立ては規定トルクを重要視しながら慎重に組み立てていきます。

簡単でしょう。(測定も忘れずに)

  バルブラッシュアジャスタの点検と交換の続き



ヘッド内もそれなりに綺麗でしょう?

オイル管理をしっかりしてきた証明にもなります。

もちろん、オカルトパーツなんて導入したことはありません。(アホらしくて)

いろいろな社長さんにあってオカルトパーツの話、しますが、確実に効果があるのは一握りの製品だけです。

ここでは、口が裂けても言えません(自白剤使われても吐きませんよ。絶対に)

やはり、燃費に直接効くのは、繊細で絶妙なアクセルワークだけでかなり変わるものです。

中には、オカルトパーツとして使えるものもあります。

アクセルワークだけでは燃費について分からないのであれば

最近のクルマには標準装備になりましたが、燃費計つけて走行することも方法の一つです

今回は、まだ触り程度のエンジン整備ですから

燃費については、次の章でご説明できればと思います。

まず、消耗しているタイベル、ベアリング、シールやガスケットOリングの交換だけでよいと思います。

初弾はノーマルに戻すことが大切なのですから。

次は、仮組、本組エンジンチェックして、2度目のフルオーバーホールに備えなくてはならない

4輪アライメント調整も終わりです。

マフラーも不具合の出そうな箇所(例えばガス漏れ)は新品ガスケットやシール剤塗布で対策して

今回の整備は終了です。

簡単に言えばおいしい部分は最後にとっておくことが大切かもしれません。

RB20DETエンジンはヤマハ3SやF6Bエンジンと同様で壊れにくいのです。

もちろん僕の手が入っているということもありますが。

現状、僕のHCR32の整備はほぼ終了しまして

新車に近い状態に戻っています

外装はすこし古く見えますが、外装の整備なんて簡単です。

体力勝負ですが、板金塗装は僕にとっては場所と機械があれば確実にこなします。

ですが、板金塗装は周辺の環境問題があるため、僕の作業場では小さな板金程度しかしません。

健康上の理由から無理しない方法を選択しています。

ミスト類は特に体に毒ですし、ご近所に大変迷惑です。

自分さえ良ければいい、なんて考えは僕にはできません。特に有機溶剤は体に毒です。

防毒、防塵マスクをつけてもやはり毒は毒です。
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退化そして進化させる為に