ヒューエルタンク分解
ここ数日HCR32に触れなかったのでとても新鮮な気持ちです。
さて、リアサスペンションの整備は順調に進んでいますが、足周りだけに終わりません。
リアサスペンションの上に位置している(トランク下)のヒューエルタンクの分解整備も行います。
あまり世の中の人たちは、この部品についてはあまり気にしてないようですが
燃料がなければ走れませんし、車にとっては原資に当たる部分です。
ましてや燃料漏れを防止する手法も長期使用にあたっては重要なファクターです
どちらにしてもフルオーバーホールするわけですから、やっておいたほうが良いに決まっています。
リアサスペンションとは関係のない部分ですが、リアサブフレームを装着前に
整備しておきたいと考えていた部分です。
結構重いですよ。
ヒューエルタンクは工場からラインオフされて20年近い時間が経過していますので
ゴム系パーツが劣化しているはずです。
あまり気にするところは外観上では見受けられませんが、燃料ポンプまで目を光らせておきます。
本来は、あまり整備しない部分です。実際燃料タンクに水がたまったりするのは、温度差の激しい場所や、長期屋外駐車の場合のみと考えます。
スカイライン系は、不良のお約束「電装品が弱い」を証明しています。
ほんの少し手を加えることで本来の性能に戻すことができます。
取り外し中のヒューエルタンク。
長い時間が経過して注意していなかった部分箇所だけにホコリやゴミが溜まり放題です。
これを綺麗にして部品状態の確認をすることにいたします。
部品の状態は良好でしたが、作業交換できる部分は全て交換します。
一通り必要な部品発注メモを書き記しておいて日産ディーラに部品を注文しました。
注文して分かったのですが廃止部品(つまり廃盤部品)になったものもありますので、流用できるところはしっかりと行います。
最近のヒューエルタンク部品は共通部品番号になっているので、商品を昔の品番に該当させるのに苦労しますが
保安部品の一つでもありますから、まだ部品の入手については簡単かもしれません。
今回燃料タンクを分解清掃組立てと手順を行いましたが、「大きな安心」を手にすることが可能になることがわかりました。
特に屋根なし駐車しているクルマは要注意でして、錆びの発生度合いも上がります。
この対策がしっかりできていないとタンクごと買うことになりますので自分の目でよく良品か、不良品か確認します。
ヒューエルタンクの性能を維持するには
あまり気にしない、気にされないタンクですが、性能を維持するには実はかなり気を使う部分でもあります
例えば、タンクに穴が開いてしまった場合。これは唐突に何かが突き刺さって穴があいたか、防錆不足の二つしかありません
それで補修作業となりますが、タンク類の補修は絶対にやめた方が良いです
理由は、高機能で優秀な接着剤で加工、補修しても十分な性能と安心を得ることは不可能
では溶接工法ではどうか
TIG以上で酸化しないものであればある程度まではOKですが
ジンクメッキ等々を施されたタンクであった場合、このメッキが使用不能に陥ります
よって、溶接もNG。
また、重要なことを忘れた、もしくは知らぬ人は、いきなり「ドン!」と言う音のオプションが待っております(着火で死にます)
一応溶接する場合は、最初に水を張っておいて、その状態から作業しなければなりません。
これが常識です。しかしこの手法もタンクには絶対的に良い環境とはいえません
最後は薬用もしくは工業用アルコールで洗浄
これだけで新品のタンクを購入可能であることに気が付きます。
プラスチック系は細かく述べることを除外いたします。(簡単すぎて面白くもないからです)
性能維持については、水分の多い環境下(外気環境)に車を置かないこと
つまりは、屋根付き壁付、土間に保管しないということです。
小技としては水抜き剤を定期的に適量添加することです。(あまり効きませんが)(大量投入はご法度です)
デフ整備
デフも燃料タンクと同様大きく重いですが、サブフレームに直接固定されていますから
同時整備を行います。
ハイキャスも取り外していますから、整備は簡単です。
オイルシールも交換した方がいいかもしれません。
今まであまり手を加えていないこともありまして、泥やチリ、油で汚れていました。
ハイキャスが影響して小さな砂利がたくさん付着していました。
今回はハイキャスを取り外していますから清掃も簡単です。
今回のフルレストア作業は勉強になる部分がとても多いです。
ひとつひとつ部品を取り外して消耗しているところを交換するだけで楽しい走りが実現できるのですから。
特に足回り関連は細かく整備したい部分です。
エンジンはある意味何時でも整備できると思います。
足回り関係の部品は走りに直結する部品ですから気も使います。
気を使った分、走り出したときの感動は大きいものです。
整備性はよくありません
HCR32のサスペンション関連整備はF6Bカプチーノ同様、予想以上の作業工数が必要です。
ダブルウィッシュボーン、マルチリンク方式はストラット系に比べ交換するブッシュの数も多いのが原因です
リンク数が多い分、走りに特化したクルマだけにしっかり整備、レストアしてあげたいと思うのです。
部品Assy交換の場合はポコポコと部品を取り付けていけばいいのですが、それでは整備を行う人間としては楽しくありません。無駄なお金はかけたくないからです。
使える部品はしっかりと使用しますし、作業工賃と部品代を浮かせれば
また、最適な整備に使えます。
余れば貯金すればよいのです。貯金しないなら、どこかに食事にいけばよいですし、家族がいる人は家族サービスに使うこともできます。
ささやかかもしれませんが、作業工賃がゼロというのは大変魅力のある趣味ではないかと思います。
Assy交換・・・作業自体は簡単だと思いますが、重要なポイントや小さな落とし穴もありますので慎重に作業することをお勧めいたします。
駆動系パーツ取付
予定通り駆動系パーツの装着が進みました。
タイヤを装着すればいつでも走れる状態です。
やはりリアサスペンションとボディとの合体はなかなか大変です。大きなサブフレームがありますからね。
人間の力では少し難しいですから、ここは油圧と自作特殊工具の力を借りることにします。
整備の終わったマフラーパイプはまだ取り付けられませんので少し様子見です。
トランスミッションもまだ整備が終わっていませんし、クラッチ交換も残っています。
まずは、リアサスペンションの整備を終わらせます。
長期不動クルマに陥っていたこともありますので、久しぶりにエンジン起動してみました。
エンジン内部にオイルを循環させる為です。
起動、暖機中。エンジンはとても元気です。
これもいろいろ調査して決定したオイルそのものの品質が優れているからでしょう。
以前よりも細かな性能が上がっていることもありまして精神的に不安に思うことはなくなりました。
たかがオイル、されどオイルなのです。
駆動系パーツ設置状態は良好
まだ完全な状態ではありませんが、整備した部分は良好といった感じです。
ボディに装着されるサスペンション+ミッションを含め
エンジン以外は全て取り外し、調整と整備を行っています。
ミッション部分は別ページで紹介しようと思いますが、足回り関連の整備が完了レベルまで仕上がってきますと
安心できる領域に達してきたということを実感できます。
まだ、細かい整備部分で納得出来ないところもありますので、ミッションとボディが合体する時に手直ししておくことにします。
といいますのも、同時整備でなければミッションが確実に載せられない状況になっております。
本来全ての人が手をつけない部分も手を加えた為、必要工数よりも多くかかってしまったことにあります。
殆どが錆び対策とゴム系劣化を抑える整備がメインとなっていますが
後から、整備しておけばよかったと思わないように細かく作業しているのです。
それだけ、時間工数が必要ということは、クルマに乗れない時間が増えるわけでして
やはり、早く走り出したいという気持ちが強くなりますが
ここは、我慢します。
これもひとつの楽しみなのですから
じっくり整備していくしかありません。
サスペンション関連はほぼ終了
一部追加整備が必要になりますが、フロントサスペンション周りの整備も終わりまして
サスペンション周りはほぼ整備完了しました。
リアサスペンション整備は気持ち的に大分落ち着いてきた感じです。
僕のポリシーである「コツコツ整備」を行っていきます。
エンジン起動してみて気がついたのですが
というか、僕なりにイメージして狙っていたものなのですが
細かく整備を行ったことでエンジンの回転振動と排気音が小さくなったということが分かりました。
振動が低減したということの現れですね。
これもちょっとした小技で変えることが可能です。
ある部品の話
ここ数日間、クルマに触ることができませんでした。理由は、一つの部品の組立て方法で悩んでいたからです。
もっと効率的に素早く装着できないものかなと思う部品なのです。
純正部品としては購入できません。一般的な工業製品の代用しか方法はないかもしれません
ここは、ちょっとした応用力が必要なのですがみなさんも考えてみてください。
上手にこの部品を選択できますと、音対策にもつながる重要な部品の一つになります
サスペンション周りの最終工程まで進んでいたとき
一つの補修部品に目がいきました。
形状を見て、もっと簡単に取り付けられないかといろいろと考えてみました。
単価は一つ数円〜数十円の範囲のものです。
この部品が入手できたら作業も相当小回りがきくようになるものなのですが、分かりますか?
この部品はリアルに専門的ホームセンタークラス以上しか売っていません。
ネジ屋さんでないと入手できないでしょう。
リアブレーキ整備
サスペンション関係の整備は終わりましたので、今度はブレーキの装着です。
HCR32は4輪ディスクブレーキを採用していますが、パーキングブレーキにドラムを採用した少し面白い構造をしているブレーキ構造です。
このドラムブレーキのおかげでジムカーナ等々でサイドターンを可能にしています。
サブパットタイプの場合はサイドターンはできません。
キャリパーの能力的に無理です
32にドラムブレーキ?ということはシャーシはグレードの低い「エリート」なのか?と思うでしょう。
違いますよ。エリートではなく、HCR32です。
BNR32でも同じ構造だったと思います。
分解してみますと
インドラム式のディスクブレーキです。
32オーナーさんであれば皆知っているものです。
それは、パーキングブレーキがキャリパー内に内蔵されているものではなくて
ローター内側にパッドがある、ある意味特殊な?ブレーキです。
過去のクルマ達に大量に使用されてきた技術ですが、この技術は重量増になるものの
耐久性とあらゆる品質、それと緊急時のブレーキ力を得られるメリットがあるのです。
実際、ホイール換算重量が重くなる欠点はありますが
そこは、マルチリンクサスペンションという方式が劣る部分を十二分にカバーするでしょう。
ディスクブレーキの能力を高めるものとして考えた場合、理にかなっている構造です。
タイプMというネーミングから考えても当然の選択だったのではないでしょうか。
スカイラインでジムカーナ参戦は重い車種ゆえ敬遠されますが、そこはブレーキで可能にしています。
もっとも昔(7代目)の足回りをそのまま流用したのも事実なのでしょうね。
しかし、スカイラインとしての名称と品質を考えると当然の選択だったのでしょう。
このブレーキは通称「インドラム式」パーキングブレーキ、略して「インドラ」と呼ばれています。
僕にとっては、とても懐かしいブレーキ構造です。
昔のサニーなんかに採用されていたものですからね
スカイラインにインドラ採用は時代がそうさせたとしても、FD7がノーマル状態でジムカーナに行ってもサイドターンがどうにもやりにくい。リアのブレーキに問題がある。(つまり効きにくい)
タイプMのMは「モータースポーツ」のMを指します。
遊びにも、スポーツにも使えるクルマです。という象徴のMだということ。
今のクルマにはスポーツを証明する何かがついたものはありませんから
当時の設計や試作者は自由度があったということ。
大変素晴らしく楽しいクルマ達を世の中に出してくれました。
日産時代に社員研修でサニーについていたブレーキの分解整備を行ったことを思い出します。
その時の経験や思い出が現在の整備能力に生かされています。
整備士の初歩的レベルではありましたが、こうした教育も必要、かもしれません。
パーツを眺めて気付いたこと
整備解説書をみると、どうやらアスベストタイプのパッドのようなので防塵マスクは必須のようです。
確定とはいえませんが、年代からするとまだ廃止されていないようなので当たっている可能性が高い。
日産時代の思い出ですが、ブレーキ関連を整備修理するときこの時代に覚えたことを必ず思い出します。
当時、日産社員だけにしか配布されないオリジナルの整備解説書を眺めつつ
ツマンナイ会社だったなと思う反面。同志がいて、一緒に同じ釜の飯を食った仲間がいました。
同じ部屋で一緒に暮らして、一緒に飲んで。バカ騒ぎした仲間はいまどこにいますか?
日本全国から集められた整備士、選び抜かれた精鋭社員の中に僕は居ました。
寄せ集めとして集合号令をかけられたということはないと思います。
日産は人間を部品扱いする会社。しかし人としての繋がりは強固、信頼できる仲間でした。
今は、一人で特定のクルマだけを触って、あらゆる部分をコツコツ勉強しています。
これからもこの考えは変わることはない。
食堂の片隅にあったパン自動販売機はあるのかしら。(社員しか知りえない、特別仕様の自販機)
ある工場の前を32のテストドライブをするとき「よき友たち」を思い出します。
今はたったひとりです。
今は、どんな会社になったのでしょうか。
同期でテストドライバー志望だった者は、途中ハゲになってメットのせいだと泣きが入ったことも忘れません。
若かりしころはフサフサしていた髪が、いまはツルツル
人間としての本質は良くなっているのでしょうか?
良くなっていてほしいと思います。
でも、日産はよほどのことがない限り買うことはない。
R32で最後になる。あらゆる不安要素も多いですから、トヨタだけ、か。
- 整備技術と技能 -
退化そして進化させる為に