倉西裕子の著書   

Books by Yuuko Kuranishi(倉西裕子)(2)

倉西裕子 『国宝・百済観音は誰なのか? 実在したモデルとその素顔』(小学館 2006年)

内容:法隆寺には百済観音像という有名な仏像が安置されています。これほどよく知られた仏像でありながら、その由来については、不明な点が多く、これまで謎の仏像とされてきました。
 しかしながら、よくよく百済観音像を見てみますと、光背が竹の文様をあしらった支柱によって支えられています。百済観音像の、竹の節からあふれ出た光のなかに佇立しているかのような造形は、日本最古といわれる古典文学を思い起こさせるのではないでしょうか。
 本書では、百済観音像の造形と『竹取物語』のかぐや姫との共通点から、百済観音像にはモデルがあったという謎を探究してみました。
 百済観音像のモデルは誰であったのでしょうか?そして、いつ、どのような理由によって、この類いまれな仏像は造顕されたのでしょうか。
 一体の仏像が、歴史の真実を語り始める、そのような面白さを本書で、表現できていれば幸いです。

目次:
プロローグ 序章 謎多き仏像・百済観音像  第一章 百済観音像と『竹取物語』 第二章 仏教伝来と百済観音像 第三章 百済観音像のモデルは誰か エピローグ



倉西裕子 『救世観音像 封印の謎』(白水社 2007年)

内容:法隆寺東院伽藍の中央の八角仏殿の夢殿には、「救世観音像」と称されてきた観音菩薩立象が安置されています。救世観音像は、天平時代に上宮王院として東院伽藍が建立された当初から、本尊として大切に祭られてきた仏像です。
 しかし、この仏像は、たいへん謎多き仏像なのです。明治17年8月に、法隆寺を訪れた米国人アーネスト・フェノロサ、岡倉天心、加納鉄斎によってその厨子が開扉されるまで、長大な布によって包まれ、封印という言葉に相応しいような状態にあったのです。
 そして、法隆寺関連のあらゆる史料は、この仏像が、誰によって、いつ、なぜ造仏されたのか。誰をモデルとして造仏されたのか。さらには、なぜ秘仏化、封印されるに至ったのか。造仏の理由や由来について、まったく黙して語りません。
 本書では、『日本書紀』や法隆寺関連資料などのに精緻な検証を加えるとともに、仏教美術史における救世観音像の位置づけを探ってゆくことから、救世観音像の謎を解いてゆきました。
 一体の仏像の歴史から、なぜ法隆寺が、西院伽藍と東院伽藍から構成されているのか、といった法隆寺の謎のみならず、激動の日本古代史も見えてきます


目次 プロローグ 謎の仏像・救世観音像 序章  東院伽藍の成立 第1章 救世観音像のプロフィール 第2章 救世観音像の謎を解くためのキーパーソン 第3章 六・七世紀を動かした二大豪族 第4章 七世紀の外交問題 第5章 救世観音像のモデルは誰か 第6章 救世観音像はかくて造仏された 第7章 救世観音像はなぜ封印されたのか エピローグ 幻の摂政宮




倉西裕子 『古代史から解く 伴大納言絵巻の謎』(勉誠出版 2009年)

内容:
貞観八年(866)閏3月10日、平安京大内裏の朝堂院の正門、応天門が失火によって焼失します。当初放火犯は左大臣源信ではないかされながら、結局、伴善男(伴大納言)が犯人であったということで、事件は急転直下の解決をみることになります。
 応天門の変としてよく知られる事件ですが、現在でも真犯人探しが続いているように、日本史上、たいへん不可解な事件として位置づけられています。
 応天門の変から300年を経た平安時代末期に、応天門の変に題材をとった絵巻が、後白河法皇のサロンにおいて制作されました。これが、平安絵巻の最高傑作とされる『伴大納言絵巻』です。絵巻には、二つの大きな謎があるとされてきました。一つは、御所の清涼殿の庭に佇む衣冠束帯姿の後ろ向きの人物が誰であるのかわからないなどといった、絵巻に描かれた人物の謎です。そしてもう一つは、絵巻の主人公であるはずの伴大納言の姿がどこにも描かれていないということです。
 本書では、絵巻の題材となった応天門の変の真相を明らかにしてゆくことを通して、絵巻の謎の解明を試みてみました。謎解きを通して、絵巻の謎のみならず、摂関政治の成立の謎や当時の外交問題など、知られざる平安史の驚くべき一面が見えてきます。


目次 プロローグ 序章 応天門の炎上 応天門炎上事件とは/最初の被疑者は左大臣源信/応天門の変のキーパーソンは藤原良房 第一章 伴善男の生い立ち 大伴氏の歴史/善男の曾祖父・祖父・父の悲運/大伴氏のキーワード/伴善男の宮仕え/法隆寺明法論争/仁明天皇に寵遇された伴善男 第二章 応天門の変の前夜 藤原良房に接近した伴善男/伴大納言の誕生/伴善男と左大臣源信の対立/清和天皇の元服/右大臣藤原良相の躍進 第三章 嵯峨源氏 嵯峨源氏の誕生/嵯峨源氏と天智天皇/嵯峨源氏によって調伏されていた新羅 第四章 応天門の変の真相 応天門の放火犯は誰か/応天門炎上事件を利用せよ/嵯峨源氏の後退―善男告発に隠された謀略/伴氏はなぜ没落したのか/摂関政治の確立 第五章 『伴大納言絵巻』の謎 『伴大納言絵巻』の二つの謎/三人の謎の人物は誰か ―第一の謎/清涼殿の庭に佇む第三の謎の人物/『伴大納言絵巻』はなぜ制作されたのか/後白河院政期の対外情勢/なぜ伴大納言の姿は描かれていないのか―第二の謎 エピローグ

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