秩序維持の政策/社会分野

 政府による秩序維持の政策領域は、個々人の間に争いや侵害事件が発生した場合に必要となります。まずは、社会における公共の秩序秩序についての政策項目を挙げてみましょう。
 
1.治安の維持

 治安の維持は、個人の生命、身体、財産を守るために不可欠な活動です。治安が維持されなくては、人々は、安心して日々の生活を送ることはできません。社会の共通のルールを破る者は、物理的な力を用いても、違反者として捕えられ、処罰を受けることになります。

2.公衆衛生

 国民の生命と身体を守るという意味において、政府は、国民の健康状態を良好に保つ政策を行います。疫病などによる国民の健康被害の発生を予防し、また、実際に発生した場合には対策を講じます。

3.防災

 地震、火災、水害など、自然災害の発生に対して、政府は、消防組織などを設けて、国民保護の観点から予防と対策を日常的に実施します。

4.家族秩序の維持

 人間は、凡そ、ある家族の一員として生誕します。家族は、社会の最少集団と言えるかもしれません。そこで、自然な存在としての家族を、社会秩序の中に適切に位置づけるために、家族秩序の維持が問題となります。政府は、この目的のために、戸籍を管理し、政策運営上の基礎とします。
 
 以上に述べてきた社会における秩序の維持は、他の機能系と比較してますと、政府が必要の有無に応じて行う受身的な役割として理解できます。なぜならば、個人は、事件や災害が発生したり、他者に存在を与えたり、共通のルールに反しない限り、自己の自由の空間を確保できるからです。


 第3章へ戻る       次のページへ
   第3章へ戻る                  次のページへ