領域とは、国家の”地理的空間”の枠組みです。国民と同様に領域もまた、人類の歴史における集団の定住と集団同士の境界争いの結果を表しています。古今東西を問わず、集団が勢力範囲となる土地をめぐって争うことは、決して稀なことではなかったのです。 土地争いは永遠に続いたのではなく、やがで、領域が、法的に確定される時代が到来します。第二次世界大戦を経て、現在では、地球上の大半の土地は、国際法によって保障されるようになりました。国際法上の領域とは、その国の領土、領水(領海と内水)、領空を合わせた地理的空間として定義されています。 領域を決定している国際法には、いくつかの種類があります。最も確実なものとしては、二国間の国境画定条約がありますが、戦争の結果として結ばれた講和条約もまた、国境を画定する効力を持つことがあります。また、任意の国家間による条約という形式ではなく、先占の法理などの慣習国際法や海洋法条約などのような制定国際法によって、一般的に規律されている領域もあります。少なくとも、いずれの国も、国際法だ定めた要件に反して領土領有の主張を行うことは、違法行為となるのです。 なお、先に凡その土地と表現しましたように、地球上の土地には、まだ領有権が確定していなところもあります。領有権争いがある場合には、双方とも自衛を理由に戦争を行う可能性がありますので、国際社会にあって、土地争いが完全に消滅しているわけではありません。 第2章へ戻る |