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■真実への解体がステキ/第14話「真実のレキシ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 「真実は沢山の事実を集めて分かるものだから」(小狼)

 学者系小狼くんがカッコ良いです。

 学者は世界の謎を解く、探偵は人為的な謎を解く、と、学者と探偵は属性が近い者だと僕なんかかねがね思っているんで、ずっとお父さんを絡めて小狼くんの学者属性を描写しておいての、このライトミステリジェイド国編での小狼くん探偵役就任は自然に感じます。

 上の小狼くんの台詞いいですね。客観性、真実性を高めるための事実収集をせずに自分の偏った主観が真実だと誤謬してる人達へのカウンターです。近代心理学が明らかにした事実の一つに、この世で最もあてにならないものの一つが人間の主観、直感だという話があるというのを聞いたことがありますよ。

 本編はアニメオリジナルで挿入された、幸福にまつわる言葉が忌み言葉だった云々というくだりが効果的でオオッと思いました。この効果で、ジェイド国編は原作よりもアニメ版の方が洗練された感じになったかも。「子ども達は元の姿で戻らなかった」の言葉のトリックの裏付け&グロサムさんが敵役的な態度を取り続けていた裏付けを同時に与えてくれてステキだと思いました。プラス、どことなく伝承研究、民俗学的な味付けがしてあったこのジェイド国編にその方向でもう一味つける効果にもなってるし。

 ◇

 そりゃヒント与えすぎだろなライトミステリ要素が可笑しかったです。推理材料の「『黒い鳥』とつぶやく子ども」と、「異なる二つの歴史書」が同時に提示された上に、そのシーンにいかにもな怪しさ全開のBGMがかかるという。子ども視聴者にも犯人を看破してもらって楽しんで貰おうという配慮のように感じました。

 最後のエメロード姫に関する「まぼろしのオトギ」が「真実のレキシ」に解体される所は原作でも好きな所でしたが、改めて見てみてもじーん。事実の収集を初めとする探求の末に、曖昧模糊としていた事象が真実に解体される瞬間というのは通時研究の醍醐味ですよ。

◇次回サブタイ「信じるココロ」

 ジェイド国編ファイナルかな。ラストの小狼くんのシーンをコーラスで盛り上げてくれることに期待です。    
 
■エメロード姫の余韻が良い/第15話「信じるココロ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 「信じて……」(サクラ)

 このシーンもアニメ版オリジナル要素が光ってました。先週書いた部分も含めて、ジェイド国編はアニメ版の方が色々と物語を深めるギミックが効いてて魅力的かもしれない。

 記憶が戻りきってないから云々と述懐するサクラに対して小狼くんが「信じる」旨を伝えるというアニメ版オリジナルの部分がクライマックスを盛り上げるタメになっていて、今週クライマックスの隠し扉の部分でサクラを「信じる」小狼を描くのにかかってくるという。サブタイ「信じるココロ」がここにかかってくるのかー!と一人驚き。原作では単にサクラが扉を示して小狼くんが蹴り開けるだけです。なんというか、アニメ版の方が小狼−サクラ間の絆が強調されていて、小狼−サクラLOVELOVE路線で楽しみたい人にはこっちの方が満足できそうです。

 ラスト、「まぼろしのオトギ」から「真実のレキシ」へと、超常現象に見える事象を真実に解体するカタルシスが一つジェイド国編にはあったのだけど、サクラにだけ見えたエメロード姫の部分だけは超常的にしか説明できないという、超常路線の余韻を残してシメているのが好きです。真実への解体の魅力を描きながらも、やっぱりどこか超常的にしか説明つかないこともあるかもね、とまとめているのが、ファンタジーを殺さない子ども向け作品って感じで好感です。

◇少しづつ人間味を帯びてくるサクラ

 羽がさらに一枚戻ったワケですが、戻る前/戻った後の変化をちゃんと描いていて、戻ると同時に喋り方に以前よりも意志が入ってるような感じになっているのが、サクラのココロ再獲得物語をちゃんと押さえてる感じで見ていて楽しい部分です。ラストシーンにアップになるサクラの笑顔も、また一つココロが戻ったんだと印象づけるのに効果的なワンシーンになっています。桜都国のカフェ辺りで人間味をかなりの程度取り戻したサクラの笑顔モードをアニメ版でも見たい所。

◇次回サブタイ「強さと優しさ」

 初のアニメ版オリジナルエピソードの模様。しかもコロシアムでのバトル編?

 何かしら『ツバサ』のテーマに根ざしたショート一編が観られたらいいなと思います。  
 
■何気に「願い」のテーマが入ってました/第16話「強さと優しさ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 コロシアムでのトーナメントという、分かりやすいバトルエンタメのアニメ版オリジナルショート一編でしたが、『ツバサ』の主要テーマである「願い」がきっちりと絡められて話が作られていたのが好感でした。

 「でも本当に良かったよね、あのお宝がサクラちゃんの羽じゃなくて」(ファイ)

 の台詞がポイントを物語ってます。願うことの尊さ、重さ、願いに必要な覚悟、そんな感じで「願い」をテーマに描く『ツバサ』だからこそ、重さがあるそれぞれの「願い」がぶつかってしまったら?という話。小狼くんもキーファも愛する者のための願いがあるのは同じという状況です。今回はファイが言うようにお互いの最も欲する物(小狼くんにとってのサクラの羽、キーファにとっての古代の秘宝)が異なっていたためにハッピーエンドで終われましたが、もしも最も欲する物が手に入るのはどちらか一人のみ……という状況だったら?という所まで示唆させる話でした。これは後々そういう物語も描かれる伏線かも。原作版でもまだそこまでの話は描かれていないんですが(そして、僕的にこの譲れない「願い」、叶えることができるのは一人のみ、対立するそれぞれの正義……という型の物語を描いた作品として永久欠番なのはやっぱり『仮面ライダー 龍騎』だったりしますが)。

◇ちらりと見せるファイの仮面性

 「取っても取らなくてもどっちでも一緒だったりして」(ファイ)

 やっぱり普段の飄々としたおちゃらけモードは仮面の側面が強いのかなぁ。この辺りの台詞が、おちゃらけモードから一点シリアスモードに転じるラストの語りにスムーズに移行するための仕掛けになってるのはさすがだと思いました。やんわりと二面性を示唆。

◇今まで原作のどんなクライマックスでも流れなかったのに、アニメオリジナル編で唐突に流れる挿入歌

 作品の雰囲気に合った普通にイイ歌なんで、もっと活用して欲しいかも。曲名が気になる。エンディングのクレジットには載ってなかった。情報求みます。

◇次回サブタイ「桜の国のカフェ」

 いよいよ人間味を取り戻してきて可愛さに磨きがかかってきたサクラちゃんの魅力が押し出されはじめる桜都国編に入ります。予告は狙ったようにメイドサクラちゃんです。サクラちゃん可愛いー、小狼くんカッコいいー、で観るのがやっぱり正しい見方の一つだよな、『ツバサ』は。
 
■メイドでした/第17話「桜の国のカフェ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 ミステリエンタメ+カフェエンタメ(造語)、+コスチュームエンタメな桜都国編。サクラちゃんの衣装が原作版よりもメイドメイドしい感じにパワーアップしています。お披露目もサクラちゃんだけやけに時間を割いてキラキラな感じに。望む所だ!

◇ミステリエンタメ

 ジェイド国編が犯人の特定、伝説の謎を解体という、わりとオーソドックスな謎解きを主題にしたミステリだったのに対して、桜都国編は世界そのものに謎が仕込まれているという、少々デカい謎で引っ張る話です。これ、原作読んでた時はやられたー、と思って読んでたんだけど、こうしてアニメ版で桜都国編序盤を再度見てみると、ちゃんと気づく人は気づけるように推理材料が伏線として入ってるんだよなー(異世界からよく人がやってくるとか、鬼児の動向を把握してるのは当たり前とか)。SFではわりとよくあるトリックでもあるんで、序盤から気づいてた人は気づいてたかもだ。

◇カフェエンタメ

 仲間と一緒にお店屋さんというシチェーションはどうにも子ども心を引きつける要素があるんだと思いますよ。将来の夢は「○○屋さん」という女の子は多いですから。『ふたりはプリキュアMaxHeart』でタコカフェの出番が多いのも、その辺りを意識して描いてるからじゃないかと。なんで、多分このファイさんと一緒にカフェ運営のシチェーションは子ども心に楽しめるはず。あとはニッチなニーズだけど、経営、自営やってて未だに子ども向けアニメみてる僕のような大人(笑)。お店屋さん話見てるとやけに楽しくなるんですよ。こういう風に楽しくやっていきたいよなー、みたいな。

◇コスチュームエンタメ

 普通のアニメは主人公サイドの服装パターンなんてせいぜい数パターンしかないと思うんで、それと比較して世界が変わるたびに主人公サイドの服装が変わるのもツバサの魅力です。描く人は大変でしょうが、漫画でもアニメでも、絵の魅力で攻める媒体では非常に見栄えがして見てる方は楽しくなります。桜都国編は特に顕著、学生服小狼くんとか、メイドサクラとか、特定の嗜好層にアピールしまくってます。
 真面目な辺りでは、「黒鋼さんの国はそういう服だったんですか?」なんて台詞を、歴史、民族学などに深く興味を持ってるという設定の小狼くんに言わせてるのが、キャラクターを掘り下げるのに無駄がないな、という感じです。

 小狼くんに自分からお茶を出すサクラちゃんとか、羽根が戻ってだいぶサクラちゃんにVividさが出てきたので楽しみ。次回以降の譲刃とのなかよしモードは必見です。あー、アニメ、サクラちゃん大活躍のピッフル国編までやってくれないかなぁ。今週号のマガジンとかスゴい良かったんですけど。サクラちゃんが心を失ってから、再獲得してVividになるまでの物語を、サクラ物語として一区切りにして、1シーズンのラストの話にするのにちょうどイイと思うんですが。

◇次回サブタイ「にゃんことワンコ」

 ほのぼのとしたタイトルですが、原作の流れから判断するに、せっかくVividになってきたサクラちゃんの部分を少し打ち砕くかのようなシーンが入るはず。それでもゆるがない小狼くんに酔え!って感じの1話になるんじゃないかと。
 
■RPGチックさがステキ/第18話「にゃんことワンコ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 シリアス部分、謎解き部分と色々あるんですが、相変わらずカフェエンタメの部分が楽しいです。仲間と一緒にカフェ経営。やんわりと楽しいシチェーションなんで、それを眺めてほんわか楽しめるのが娯楽としてのアニメって感じ。

 サクラと譲刃の初対面から仲良しになれそうモードとか、ウェイター服の小狼くんに、そっと服装を直すサクラちゃんとか、魔術の調合と似てるというビックリ理由で料理が上手なファイとか、早速常連客ゲット!とか、カフェのシーンが楽しいですよ。そもそも情報を集めるためにカフェ、集う戦士達というシチェーションがまずステキ。ルイーダの酒場(ドラクエ)というか、定番RPGの「酒場」の役割を担ってますよ。そこで新たな仲間を得たり、イベント発生したりというのが王道です。ストーリーを展開させたかったらとりあえず酒場か宴のシーン書いとけ!みたいなノリが日本のファンタジーには一つある気がしますし。

◇シリアス部分

 「その思い出にオレがいなくても、必ず羽は取り戻します」(小狼)

 モコナを通して侑子さん登場とか、あからまさまな部分だけじゃなく、テーマ的にやっぱり『xxxHOLiC』と繋がり続けてるなと感じる瞬間。ツバサ・クロニクル第02話、『xxxHOLiC』第1巻で言う所の「本当の覚悟」が、何度もこの作品の回帰点としてポイントポイントで描かれます。「1=1」の対価で世界が回ってる以上、何かを対価として失うとしてもそれでも欲する。CLAMP作品に流れる「願い」のテーマをこれでもかとぶち込んでるのが『ツバサ』&『xxxHOLiC』ですな。

◇謎解き部分

 「情報屋」なんていうあからさまに謎解きのヒントを提示する職業の人まで登場して、徐々に世界の謎にせまっていくという物語。ドラクエよろしくのRPGチックですな(ネタバレすれば桜都国編は特にドラクエ6っぽい世界の謎なんですが)。カフェパートとバトルパートを平行しながら徐々に情報が明らかになっていって世界の謎にせまります。ここに桜都国編オンリーの謎のみじゃなく、主軸物語全体の謎も絡んでいく展開になっていくので楽しみです。実質原作でも今までの物語の中で最長の話になるんで、アニメ版でもじっくり描いて欲しい所です。

◇次回サブタイ「生きるカクゴ」

 このサブタイ、タイミングからして黒鋼とファイの会話で描かれるファイの内面と、小狼くんの覚悟をミックスした意味合いでつけたサブタイで、そんな内容の1話になりそう。だとしたら原作にはない上手いサブタイのネーミングだと思います。
 
■生きるカクゴ燃え/第19話「生きるカクゴ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 原作改変でエラくサブタイとマッチした深い1話に。サクラとファイのにゃんにゃんモードが見れなかったのは残念だけど、構成美ではアニメ版の方が上かも。

 主立った原作との改変点は以下2点。

・黒鋼とファイが織葉さんにまだ会わない

 構成上の変更と思われます。ただ織葉さんの「しあわせになりたい」の歌に関しての黒鋼とファイの相反する述懐のシーンは是非ともアニメ版でも見たいので、あとでちゃんと遭遇してほしいです。アニメ版はちゃんとした歌つきで織葉さん登場(歌詞が原作版と同じかはちょっと確認できませんでしたが)。盛り上がって嬉しい限りですが、こんだけやられると織葉さんが重要人物だってバレバレです(笑)。

・小狼が剣の修行を黒鋼に申し込むシーンが、シリアスに変更

 前半の「まだ命数尽きてないのに自分から生きようとしないファイ」を受けて、ファイの「小狼くんは自分から生きる人だから」というアニメオリジナルの台詞が追加。剣の修行の理由を「生きてやると決めたことをやるためです」と語る小狼くんを含めて、サブタイ「生きるカクゴ」に1話のテーマを収斂させる構成に。ファイの物語と小狼くんの台詞がリンクするのに原作読んでる時は気づかなかったんで、この辺りの物語はエラくカッコいい流れだったんだということに気づかされたこのアニメ版の構成美には素直に感動。
 一方でその構成美の犠牲になる形で、サクラとファイのにゃんにゃんモード、小狼くんのボケが見られなかったのは残念。未成年の飲酒シーンは放映できないという事情だと思いますが、非常にほんわかとエンタメエンタメした場面で原作では好きだっただけに残念。サクラの賭博物語も含めて、この辺りの大人の事情は少々原作ファンにはかゆい所です。

◇星史郎さんはコーラス付で登場

 これも重要人物というのがバレバレ(笑)。全編(というかCLAMP作品全部)を通しての重要人物にふさわしい登場演出です。ファイの「これからも会うかもしれないね、前いた世界で会った人と」の台詞がしっかりと伏線になってるのもマル。桜都国編ラストの小狼くんと星史郎さんの対峙は原作版で大燃えだったんで、今から期待です。

◇バトルパート

 鬼児狩り組と鬼児とのバトルはさすがに動画だけあって見応えアリました。細かい動きの流れを描写するのではなく、大ゴマでインパクト重視のバトルシーンを描いてる原作に比べて、やはりVividさがあります。譲刃が良かった。

◇サクラ−譲刃の仲良しモード

 原作版同様ほんわか。雑誌連載中のサクラ−ピッフル国の知世とか、サクラ絡みの仲良しモードは好きですよ。ストロベリは正義。

◇次回サブタイ「午後のピアノ」

 公式の次回予告より、「サクラも羽根を取り戻すために自分でできることを考え、カフェ「猫の目」で働きながら、羽根に関係のありそうな情報を集めはじめる。」の一文。サブタイといい、ちょっとカフェエンタメモード?だとしたら多少の原作ブレイクでも楽しそうなんでOKです。サクラのカフェカフェしい話をひとつ期待です。
 
■サクラ歌わされてました/第20話「午後のピアノ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 アニメ版特有の、サクラをプッシュしたオリジナル色の強い1話。放映が始まった当初から言ってますが、アニメ版は原作よりもサクラの存在をプッシュしていて、原作にはないオリジナル要素として色々とサクラ絡みのエピソードを追加しています。

 というかこれまでオリジナル要素はほとんどサクラ絡みじゃないですかね。メイドのカッコさせられて、プロモーション挿入歌歌わされてと、新人アイドルばりにプッシュされてます。

 それでもオリジナル要素はサクラのココロ再獲得物語を踏まえていて原作への愛を感じられるので好きです。序盤の阪神共和国編やナユタヤ国編では、まだ羽が集まってないのであまり明るい人間味を出せないという制約があったため、神秘ベクトル、聖女ベクトルでのオリジナル話が挿入されていたんですが、今回の桜都国編のように羽がだいぶ集まってきてサクラが内面的にも明るくなってきてからは、自分から自分のためにカフェで情報収集するという人間として地道で能動的なベクトルでのオリジナル話が挿入されるようになってます。このように同じオリジナル話を挿入するにも、サクラのココロの段階を考慮してその質を変えているのが中々丁寧だなと思い、未だ原作ファンの僕も負荷なくアニメオリジナル話を視聴できております。サクラ可愛いんでサクラプッシュは全然OKだし。

◇時が来るまで鞘から抜くな

 まあ当然桜都国編のうちに「時が来る」ワケで、その時を盛り上げるための何気ない“タメ”の台詞です。本当クライマックスで来るんで、小狼くんの初抜刀シーンは今から楽しみ。

◇桜都国の謎

 原作のように最後にサプライズで明かす形じゃなく、かなり分かりやすい形でこまめに絵で明かしていっちゃうんですね。でも答えを知らない視聴者からすると、最後の謎の女性のシーンとか、本当謎が謎を呼ぶ感じでイイさじ加減なのかも。

◇次回サブタイ「鬼児のスガオ」

 公式の次回予告より、「もう一度「白詰草・四」を訪れたファイと黒鋼は織葉との接触に成功」の一文。前回では黒鋼とファイの織葉さんとの接触がカットされてしまうのか心配してたんですが、どうやら原作とはタイミングをずらして無事接触する模様。「しあわせになりたい」の歌に関する二人の語りのシーンを是非とも入れて欲しい所。
 
■萌え要素に反応/第21話「鬼児のスガオ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 起承転結でいえば、桜都国編の「転」の部分に話は入ってきてますが、そういうの関係なく萌え要素に反応してみました。

◇私服、花飾り帽子のサクラ
 アニメオリジナルってわけじゃないんだけど、カラー絵、動画で見れて可愛かったです。まだまだ荷物持てると言うサクラに、その後の一生懸命タネをこねるサクラといい、一生懸命自分のできることをやるようになったサクラが可愛いです。羽が少ない時の虚無状態を知ってるだけに、なおさら一生懸命さが可愛く映ります。

◇お使いに小麦粉を頼まれる黒鋼

 こっちも可愛かった。ファイが一行の母親役、黒鋼が一行の父親役というのは原作のCLAMPさんもインタビューなんかで仰ってることですが、それゆえに母親にお使いを頼まれる父親みたいな構図で微笑ましいです。

◇小狼と龍王の友情

 こっちは萌えたというより燃えた。いや、やはり萌えたか。まだ知らない強さに出会えるのが嬉しいという龍王と、まだ知らない不思議や知らない何かに出合うのが嬉しいという小狼と、深い部分で意気投合。そのために「強くなる」という部分でも意気投合。こういう深い所で求める者が一致する友人というのは羨ましいです。現実では中々得難いんで。それだけに二人の関係が燃え(萌え)。桜国編のラストにいまから期待です。

◇白詰草にてのファイと黒鋼の述懐

 ちゃんとやってくれて良かった。しかも、織葉さんの歌が、原作仕様でこの会話へと繋がるという豪華っぷりです。「どこかへ行きたいなら自分で行けばいいだろう」という黒鋼と、「連れていってくれる人を待っていた」というファイ。この辺り、ファイの言葉の真意はまだ原作版でも読み切れない部分なんですが、ファイ、なにかしら秘めたる男であるのは確かです。今後描かれるであろう過去がばっちり絡むエピソードに期待です。その時黒鋼が力になる……なんて展開だと、こういう積みかさねのファイ−黒鋼間の人間関係描写が生きてくると思うんで。

◇小狼と星史郎さんは定番のコーラスで再会

 桜国編のみならず、『ツバサ』の物語全体でも重要な再会です。さすがに盛り上げてくれます。

◇次回サブタイ「消せないキオク」

 星史郎さんとの接触を経て、小狼くんがメンタルに落ち込む回です。それを励ますサクラちゃん。物語当初は小狼→サクラで守られ要因だったサクラが、物語を経てサクラ→小狼と励ましたりの関係へ。この変化も、『ツバサ』の好きな部分です。
 
■謎解きパートが佳境へ/第22話「消せないキオク」/ツバサ・クロニクル感想
 

 「イの一の鬼児」と「新種の鬼児」という存在の謎に対して、徐々にせまっていく謎解きパート。徐々に情報が明らかにされて答えに迫っていく展開は面白かったですよ。ジェイド国編では顕著でしたが、ツバサは何かしら謎解き要素、ミステリ要素を話に入れてきますね。

 最初の方の「猫の目」での鬼児狩り達の会議にて、まずは色々と「イの一の鬼児」と「新種の鬼児」に関して推理や想像。その後の市役所を訪れてからの小狼くんの推理パートが一番の好み。市役所の人の「そんなものは存在しません」と「こちらではお教えできません」の微妙な言い方の違いから、「イの一の鬼児」と「新種の鬼児」は別物と推理(この推理が当たるワケですが)、まずは事実を集めながら徐々に答えにせまっていくという小狼くんのアプローチが顕著でちょっぴり燃える推理パートでした。

 以下、ピコポイント。

・星史郎さん
 CLAMP作品よろしくで星史郎さんは星史郎さんの「願い」でもって動いてる登場人物です。その「願い」が小狼の「願い」とぶつかるクライマックスに今から期待です。原作では見開きの燃え演出でした。
・黒鋼
 小狼くんの師匠役に収まることで、一行の父親役(師父役)にも磨きがかかってきました。突っ込み役にも磨きがかかってきました。「デカっ!」
・ファイ
 「本当にイイ娘だねサクラちゃん。他に構ってる暇なんて無いはずのオレが、幸せを願ってしまうくらいに」から、モコナの「ファイもね、誰も叱らないよ」までの流れは好きな部分。モコナ曰く「ファイも黒鋼も小狼もどこか寂しいの」なワケですが、そんな寂しさを埋めるためにもたれかかったりはせず、適度にバラバラなこの三人の関係はやっぱりイイですよね。寂しさ、つらさも見せて欲しいと望むサクラ→小狼のべったりとした関係もイイですが、こっちの三人の関係はクールな感じです。

 新種の鬼児=星史郎さんはほぼ今回で謎解きされたんで、残る謎はイの一番の鬼児は?という謎になります。こっちも明らかにされる所がクライマックスなんで普通に楽しみです。

◇次回サブタイ「消えゆくイノチ」

 桜都国の種明かし回っぽいです。まだまだ先だと思ってたのに結構早くここまできたなという感じ。いや、実際今までで一番の長編なんですが、毎週ちょっとづつ見てると意外と早く感じます。
 
■星史郎さんカッコ良すぎ/第23話「消えゆくイノチ」/ツバサ・クロニクル感想
 

 「ただもしもお前が帰らなかったら、後は俺の勝手だ」(黒鋼)

 このシーンは小狼−黒鋼の独特の関係がうまく出てて好き。

 お互いにべったりの関係だったら普通に「助太刀するぜ!」となるワケなんですが、そういう関係ではないんですね二人は。一人の問題には一人でやらせてなんかバラバラな感じもするんだけど、だけど帰らなかったら「俺の勝手だ」=「敵討ちしようがなんだろうが勝手だ」と言うように、クールな感じに独特の絆は強くあるという。ここ、好き。

「それだけの魔力があるのに?」 「あなたも」

 ファイと星史郎さんの実力者同士のさぐり合いの会話はゾクゾクもの。

◇というか

 星史郎さんはカッコいいです。一応今のところ示されてる作中のラスボスは飛王なる謎の世界にいる謎の人物なんですが、今の所小狼達とは対立しながらも、それらの勢力とは別の、「二人の吸血鬼を探す」という超個人的な「願い」でもって動いてる超実力者という、ジョーカー的な存在です。CLAMPの描く「願い」原理主義者はどうしてこう魅力があるんだろう。しかしネタバレだけど、「吸血鬼」って、北都と昴はなんで『ツバサ』では吸血鬼扱いなんだろう。まだまだ先っぽいですが、この辺りの話が明かされるのを楽しみにしてますよ。

◇ファイ

 「最初の頃はソレも悪くないと思ってたんだけどね」(ファイ)

 ああ、サクラに心の再獲得物語があるように、ファイには生きる意志の再獲得物語があるんだなと気づきました。今の所きっかけを作ってくれてるのがモコナというのが温かいです。

◇織葉さん

 星史郎さんの干渉で住人が消えていくなか、無傷な織葉さん。もう大体、正体が分かる頃。

◇改変点

 小狼の桜都国での消滅シーンは、サクラと抱き合いながら共にというシチェーションに改変。本当にアニメ版はサクラの存在を大きく扱ってますよ。小狼・サクラカップルが好きな人には嬉しい改変でした(原作では黒鋼がサクラを抱えてくるという味気なさ(^_^;)。

◇次回サブタイ「死闘のヤイバ」

 原作でも燃えだった、黒鋼と星史郎という、今の所バトル面では主人公の小狼よりも高みにいる作中二大実力者のバトルですよ。しかも剣劇(←剣劇好き)。アニメの動く絵でどうアクションさせてくれるのかに期待です。


 
■第24話〜第25話/ツバサ・クロニクル感想
 

 都合により携帯更新でした。

 →第24話第25話
 
■サクラの願いで一区切り/第26話「最後の願い」/ツバサ・クロニクル感想
 

 「どこかで誰かが泣いているのに、私だけが幸せになるなんて、できない」(サクラ)

 というワケで「願い」がテーマになってる『ツバサ』、侑子さん曰く本当の「覚悟」と「誠意」に絡めて願いの尊さを描いてきましたが、第1シーズンの最終回はそれでも自分の願いだけを押し通すんじゃなくて、皆の願いも尊重するという所に落ち着いてひとまず終幕です。

 ファイにも黒鋼にも小狼にもそれぞれ願いがあるんですが、他人の願いを尊重して道を譲ります。そして最後はサクラによる、自分のためだけではなく、他者のための願いを願うという愛に満ちたラストで終幕。

 「願い」をテーマにしてる話としては綺麗な一区切りだったと思います。

 が、

 実際の原作版のラストはこんなに優しい結末をCLAMPの大川さんはつけないような気がします(^_^;

 もっと願いの重さというか、それぞれの譲れ無さ具合が描かれているので、原作の本当のラストはまた違ったものになるんじゃないかと予想しておきます。

 ◇

 それでも、サクラの重要度を上げて、サクラ中心でまとめたのには非常に好感です。今回の最終回もこれまであった原作改変のサクラ中心回にあった砂時計をバックにしたサクラのモノローグから始まるんですが、とにかくアニメ版ツバサ・クロニクルはサクラの扱いが大きかった。それゆえに、第1話で心を失ったサクラが、最終回で自分の願いを口にするまでに心が再獲得されるまでを描いた物語だったと思うと満足。一区切りに満足して、次のシリーズへと期待です。

◇というわけで

 来年4月より第2シリーズ放映予定!

 やっぱり続編きました。

 今度はピッフル国編まで描いてくれるものと思われます。サクラの重要度が高いアニメ版だけに、サクラが完全に主役となるピッフル国編は非常に楽しみです。あの、Vividなサクラと空中レースのシーンを是非動画で!

 それでは、今回で当ブログのツバサ・クロニクル感想も一区切りです。第2シリーズは来年4月の僕の状況がどうなってるかまだ分からないので、毎回感想書くかはまだ未定ですが、視聴は絶対にすると思うので、ときおり話題には確実にすると思います。そんな感じで、しばしお別れです。ツバサ・クロニクル感想を目的に訪れてくれていた閲覧者の皆様、今までどうもありがとうございましたm(_ _)m
 

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