「真実は沢山の事実を集めて分かるものだから」(小狼)
学者系小狼くんがカッコ良いです。
学者は世界の謎を解く、探偵は人為的な謎を解く、と、学者と探偵は属性が近い者だと僕なんかかねがね思っているんで、ずっとお父さんを絡めて小狼くんの学者属性を描写しておいての、このライトミステリジェイド国編での小狼くん探偵役就任は自然に感じます。
上の小狼くんの台詞いいですね。客観性、真実性を高めるための事実収集をせずに自分の偏った主観が真実だと誤謬してる人達へのカウンターです。近代心理学が明らかにした事実の一つに、この世で最もあてにならないものの一つが人間の主観、直感だという話があるというのを聞いたことがありますよ。
本編はアニメオリジナルで挿入された、幸福にまつわる言葉が忌み言葉だった云々というくだりが効果的でオオッと思いました。この効果で、ジェイド国編は原作よりもアニメ版の方が洗練された感じになったかも。「子ども達は元の姿で戻らなかった」の言葉のトリックの裏付け&グロサムさんが敵役的な態度を取り続けていた裏付けを同時に与えてくれてステキだと思いました。プラス、どことなく伝承研究、民俗学的な味付けがしてあったこのジェイド国編にその方向でもう一味つける効果にもなってるし。
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そりゃヒント与えすぎだろなライトミステリ要素が可笑しかったです。推理材料の「『黒い鳥』とつぶやく子ども」と、「異なる二つの歴史書」が同時に提示された上に、そのシーンにいかにもな怪しさ全開のBGMがかかるという。子ども視聴者にも犯人を看破してもらって楽しんで貰おうという配慮のように感じました。
最後のエメロード姫に関する「まぼろしのオトギ」が「真実のレキシ」に解体される所は原作でも好きな所でしたが、改めて見てみてもじーん。事実の収集を初めとする探求の末に、曖昧模糊としていた事象が真実に解体される瞬間というのは通時研究の醍醐味ですよ。
◇次回サブタイ「信じるココロ」
ジェイド国編ファイナルかな。ラストの小狼くんのシーンをコーラスで盛り上げてくれることに期待です。
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