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夢 守 教 会
†† 第二話「痛みの在処(アリカ)」4/(1)
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「さすがに今は雪景色は堪能できないけど、屋上からの景色だけでも見ていこうか」
下に降りるエレベータのボタンを押しかけた所で、理子がそう提案したので、僕は頷いた。
じゃあ、こっちだと、理子は廊下の端の鉄製の扉に向かっていく。なんでも、屋上だけはエレベータでは上がれず、住居スペースとは扉で隔てられた階段を使うしかないらしい。
ギギギと軋む扉を開けて、コツコツと靴の音を立てながら二人で階段を上っていく。
一階分という僅かの労力で上れるだけの階段を上り終え、再び、今度は屋上へと続いている鉄扉を開ける。
ギギギと音を立てながら扉が開くと、ゴウと風が吹き込んできて空気が変わる。視界が開けて、ここが模造の塔の屋上かと、眼前の風景に目をみやった時、僕と理子は、それを視た。
◇
僕と理子は、その日、模造の塔の屋上で妖精に出会った。
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