†† 夢 守 教 会 ††  第四話「花の名前」1/(4)

  菖蒲の花/マイナス5

 その日、暗い個室の中で変わらずに壁を睨み付けていたわたしの下へ、来訪者がやって来た。
 外界から隔絶されていた部屋のドアが、ギチリと不快な音をたてて開かれる。
 ゆっくりと入って来たのは、見覚えのない細身の青年だ。
「あなた、だあれ?」
 青年は本棚に並べられた蔵書などを一通り眺めた後、わたしに向き直ると、くぐもった声でこう答えた。
「存在革命計画者、だよ」

     /菖蒲の花マイナス5・了
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