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夢 守 教 会
†† 第四話「花の名前」3/(2)
永遠の世界1/
弓村の嫡子として育った関係上、生まれてこの方色々なものを見てきた方だけれど、今日もまたなんだか不思議なものを見てしまった。
優希は入院中だし、計画も今は菖蒲さん任せの段階で、私は一人で模造の塔の住人の人達に、七月の間だけでも退避してはくれまいかという例の爆破予告の件の交渉に赴いていた。その帰り道である。
青い鳥が、私を誘うように羽ばたいていたのを、見てしまったのである。
今更、幸せの青い鳥も無いだろう。そんなことを考えたけれど、少し周囲を伺った結果、どうやらこの青い鳥は私にだけ見えているらしい。ということは、映認を持つ者のみが見える類の、何かであるということができる。それにしても、既存の塔と模造の塔のある場所では、この手の存在が視えることが多い。現在の私の相棒を初めて視たのも、そういえば二年前のこの場所だった。
しょうがないな。
本当に、見えてしまったものはしょうがないといった趣で、わたしはその青い鳥を追って歩きはじめた。
願わくば、本当に幸せが見つかるといいのだけれど。
/永遠の世界1
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