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夢 守 教 会
†† 第三話「輝きの先」5/(7)
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この世界が美しく設計されているということを理解した私は、それまで何気なく通り過ぎてきた町の風景や、行き交う人々にも、特別な意味を見出すようになっていた。
例えば商店街の小さなラーメン屋さんでは、少し太ったおじさんが汗を流しながら麺をゆで、訪れるお客さん達と今日の出来事や、社会のことや、自分達の昔のことなんかを話している。
このおじさんにも、訪れるお客さんにもそれぞれの生活や人生があって、そしておじさんもお客さん一人一人も、この世界に代わりがいないかけがえのない存在なのだと。そんなことを思いながら私はラーメン屋さんに入り、時には見ず知らずのおじさんからよく分からない人生訓を聞いたりして過ごすということがあったりもした。
そんな遠い昔から連綿と続いてきた人間のいとなみの集積が、ただ、その頃の私には愛しかった。
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