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夢 守 教 会
†† 第三話「輝きの先」5/(8)
巫和の世界/マイナス5
お父さんとお母さんに視える痛みが大きくなって、私も辛いことが多くなった。
疲れ切った私は台所と居間の境目に行儀悪く横になったまま、体力を回復するために一○分ほどの仮眠を取るといったことが増えた。
けれども、もうあと数分眠れれば回復してあと二時間は動けるのにという所で、「トイレに連れて行って下さい」というお母さんの声で目を覚まさせられた。
「うん、ちょっと待ってね」
最後の気力を振り絞って私は床から立ち上がる。本当に、あと数分眠れれば何とかなったのに。お父さんは、まだ帰ってこないのだろうか。
その後の夕食は、壁に頭を打ち付けながら、何とか意識を保って介護食を作った。
だけどもう私にはお母さんに食べさせてあげるだけの気力も体力も残っていない。途方に暮れていた所で、ようやくお父さんが帰ってきた。
ああ、今日もなんとか過ごすことができた。その日の意識は、それ以降、無い。
/巫和の世界マイナス5・了
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