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夢 守 教 会
†† 第三話「輝きの先」6/(3)
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研究棟の建物の中は不気味に静まりかえっていて、窓から差し込む月光と、所々で点滅している薄い白色の蛍光灯以外は光源が無い。
まったくの人気が無いその異世界に、菖蒲さんが満月の夜を指定した意味を私は何となく理解した。
コツコツと、自分の靴音だけを響かせながら、私は中央へと向かって歩を進める。
廊下の左右に貼られている広告の類は所々破けていて、なんだか荒廃している印象を受ける。
自分の呼吸の音がうるさい。
そんなことを思った時、「向こう側」から響いてくるもう一つの靴音を私は察知した。
ああ、やっぱり来ていた。
どこか人ごとのような思考でそう呟いて、私はそのまま歩を進めた。
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