南斜面をもっと積極的に活用すべき

斜面建築研究会

私達は今「斜面地の活用」について取り組んでいる。

だが、先日の北薩方面での地震災害や出水、針原地区の土石流災害がたて続けに起きた為、

崖は危険なものというイメージが一層強くなった。

鹿児島では斜面地建築を口にする事すらタブーなのかもしれない。

行政上は、危険区域からはなるべく移転するよう指導されているようだ。

土石流災害のすさまじさを目の当りにすると、なるほど、自然災害の破壊力は驚愕するものがある。

しかし、安全地帯に人家が去った後に、危険な崖が放置された状態で残るのである。

これも、今後益々増えてくる。

今後、急傾斜崩壊対策工事をしなければならない箇所が県内2100ヶ所もある中で、

財政負担で全てをしようというのは、莫大な費用と期間を要する事になる。

それに、工事後の斜面からは何も生産性は得られない。

むしろ崖面を民間で有効活用しながら、危険崖を永久的に解消する方向にもって行くべきではないだろうか。

そのような理由で斜面地建築物の意義が出てくると思われる。

斜面地建築を更に有効にする為、在来の宅地造成に一部併用する事で

『5分の1の形状変更で、造成に莫大な金をかけない。』という斜面建築の特徴が活かされて、

景観破壊や河川増水につながるのを軽減できる。

また利便性、機能性、日当たり風通し等の快適性が満たされ、

斜面の景観にマッチし溶け込む造形美を演出しなければならない。

素晴らしい眺望、山あいの静けさ、山鳥のさえずりを、

日常生活で取り込める空間だからこそ斜面に造る意義がある。

幸いに前期は、「斜面活用と治山事業を両立させる建築構造体の技術開発」で100万円、

今期は、「シラス地盤に適合する斜面地建築物構造体の研究開発」で300万円助成金を頂く事ができた。

全額自己負担かなと覚悟を決めていた折りいくぶんかの足しになった。

公益上大きな貢献が出来るよう有意義に活用する所存である。

又、斜面建築研究会も徐々に賛同を得て、人員と研究費を出して頂ける企業も増えてきつつある。

この斜面建築研究会が、大学の先生方も更に多く参加を頂き、これからは行政の方々にも加って頂き、

産学官が一体となって、「鹿児島の問題を鹿児島で解決する」為の研究会に育っていけたら幸いである。