雨  act1 Lumiale

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ああ、降り出しましたね。

もう少しこちらにお寄り下さい。濡れてしまいますよ。

ええ、聖地にも雨は降るのですよ。
毎日では困ってしまいますが、たまに降る雨はいいものですね。

あなたは、海に降る雨をご覧になったことがありますか?

そうですか。
私の故郷の星は海洋惑星で・・・。ええ、前にもお話ししましたね。
時間ごとにその姿を変える海を私は見てきました。
海で生まれた雲が雨を降らせ、やがては海に還っていく。
山に降った雨は山肌を滑り降り、川を作って海へ、
街に降った雨は道を流れ、溝を伝って海へ、
そして、海に降った雨は何の躊躇いもなく、海に還っていくのです。
・・・・・
聖地からの使者が私の許に使わされた時、
私は、そんな雨が羨ましいと思いました。
この星で生まれた雨でさえ故郷の海に還っていくのに、
私という雨粒は還る場所がないのです。

・・・大丈夫です。そんな心配そうな顔はなさらないで下さい。
今はそのようなことは思っていませんから。

ふふっ。あなたは優しい方ですね。
故郷の海を映したようなあなたの瞳そのままに、優しくて、穏やかで、強い。

顔を上げて下さい。私は、私の故郷を見つけたのです。
あなたの瞳の中に。
故郷に降る雨がその海に還っていくように、私はあなたに還りたい。
あなたの瞳の海に抱かれて共に生きていきたい。
もう決して離しはいたしません。
よろしいですね?


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雨降りデートシリーズ第一弾です(^^)。雨を見て昔語りをしてもらいました。
”「好き」の言葉を使わずに告白する”をテーマ(?)に語っていただく予定です。
雨の中、熱く語るリュミ様v。妄想爆走中です。

2002.9.23


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