・・・雨、か。
ねっ、ちょっといい話知ってるんだ。聞きたい?
ふふっ、いいねぇ、その瞳。
キラキラしててとってもキレイ。
ふーん、聞きたいんだ。
わかった。話してア・ゲ・ル。
あんたは特別だもん。
んっ? 今のはヒトリゴト。
ダメダメ、今はまだ言わないよ。
それより、私の話、聞きたいんでしょ?
ん、素直でよろしい。ナーンテネ。
・・・
前にも言ったよね、私の故郷は年中雪が降ってる片田舎だったって。
でもさ、どんな片田舎にだって若者はいるし、若者には夢があるワケ。
あの星に住む若者の夢っていったらみんな同じだった。
"故郷を離れて自分の思うように生きていきたい"
仲間のひとり、仮にA君ってしとこっか、このA君にそんな夢を叶える絶好の機会が回ってきたんだ。
ある会社がA君の音楽的才能を認めて主星でデビューしないかって誘ってきた。
モチロンA君は大乗り気で、周りのみんなも我が事のように喜んだよ。
でもね、ひとりだけ沈んでいる女の子がいて、その子、うーんと、Bちゃんでいっか。
BちゃんはA君が好きだった。A君が主星に行ったらもう会えないって泣いちゃってね。
すっごくカワイイけど内気な子で、A君に告白しようって何度も思ったんだけどできなかったんだってさ。
でも、グズグズしてちゃA君は主星に行っちゃうって、それで私に相談してきたワケ。
そう、正解よね。私に相談するなんて、いいセンスしてるでしょ?
そりゃモチロン、力になってあげたに決まってるじゃない。
服からアクセサリーまでコーディネートして、メイクもバッチリ決めて、いざ告白タイムに突入!
ってカンジンな時に、いつもの雪が雨に変わっちゃったの。
せっかくの衣装は台無しだし、バッチリ決めてたメイクもウォータプルーフなんてモンじゃないからボロボロになっちゃってねぇ。
でも、Bちゃんはメゲなかった。彼女も一生懸命だったんだろうね。
ちゃんと言ったよ。「あなたが好きです」ってね。
キレイだったよ、そのときのBちゃんって。
服も髪もメイクもボロボロだったけど、好きな人をまっすぐ見つめて、想いのたけをぶつけたあの子は光り輝いてた。
それから?
ふふふ。あんたの思ってる通り、ハッピーエンド。
A君とBちゃんはその後主星に渡り、幸せに暮らしましたとさ。
どう? ちょっといい話だったでしょ?
ホント、あんたってカワイイんだから。
私の話を真剣に聞いてくれてさ。
ア・リ・ガ・ト
イイじゃない、お礼くらい。私が言いたかったんだから。
さっき言ったよね、あんたは特別だって。
あんたが側にいるだけで楽しくなれるんだ。
あんたはいつも一生懸命で、努力を怠らないでしょ?
そういうのってカッコワルイって思ってた頃もあったケド、違うんだよね。
あの時、Bちゃんを見てそう思ったんだ。
一生懸命努力する姿はとってもキレイなんだって。
努力したワリには結果が出ないなんてよくあるコトだけど、努力した分は自分に返ってくるんだからね。
って、何で私ってば説教なんかしてるワケ?
あーあ、私にまで一生懸命が伝染っちゃったみたい。
キャハハハ☆
大丈夫。一生懸命はキライじゃないよ。
だからさ、ずっと側にいて私をずっと一生懸命にしておいてくれないかな?
心も外見も全部キレイでいるにはあんたの助けが必要なんだ。
あんたの笑顔、それだけが必要。
ねっ、わかるよね?
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雨降りデートシリーズ第五弾です。
オリヴィエ様ならもっと小粋にサラッとお話ししてくれそうなのに、何でこんなに長くなっちゃったんでしょう。。。
研究の余地有りですね。うむ、奥が深い。
2002.12.23
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