雨  act12 Timka

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来て下さったんですね!

あ、ごめんなさい。はしゃいでしまって。
でも、こんな天気だから来て下さらないかと思ってました。

ええ、そうですよね、あなたは約束を違えるような人じゃない。
ごめんなさい、疑うようなことを言って・・・。
あはっ、僕、さっきから謝ってばかりですね。

あの、外へ出ませんか?
も、もちろん、あなたが雨が嫌いでなければですが。

そうですか、・・・良かった・・。

こちらの雨は静かに降るんですね。
僕の故郷では乾季と雨季に別れていて、雨の降り出しといったらそれは強く降るんです。
幼い頃、僕は雨期に入る始めの日に外にいて、肩や頬にかかる冷たい感触にびっくりして空を見上げました。
すると、大粒の雨が僕に向かって落ちてきたんです。
次から次へと。
そこで屋内に入ればよかったんでしょうけど、雨をそういう風に見上げたことはおろか、 雨に当たったこともほとんどなかった僕は、ただもうあっけにとられて降りしきる雨を見つめていました。

あはっ、それからどうなったと思います?
僕ね、溺れちゃったんですよ。
どうやらぽかんと口を開けて見ていたようで、気が付くと心配そうな顔に囲まれてベッドに寝かされていたんです。
あ、笑い事じゃないですよね。
実際、僕の世話係の人や教育係の人は大変で、僕が気付くまで生きた心地がしなかったそうです。

ええ、本当にたくさんの人に迷惑をかけてしまって、悪かったと反省しました。
でもね、今でもあの光景は忘れられないんです。
点のただ一点から落ちてくる雨。
途絶えることのない水の流れ。
雨は僕の顔を、身体を濡らし、結局溺れさせてしまったんですけど、それは僕が不注意だっただけで、 あの光景を見たときの感動を打ち消すことにはなりませんでした。

僕、あなたを見るとあの時の光景を思い出すんです。
天の高みから降り注ぐような笑顔に僕は溺れそうになってしまう・・・。
あ、ぼ、僕、何を言っているんでしょうね。
あの、気分を悪くされました?

あ、ありがとうございます。
あなたは本当にお優しいですね。

そんなあなただから僕は目を離せなくなる。
でも、間違いは繰り返しません。
もうあなたを見上げるのはよします。
僕は・・・、そう、僕はあなたの側にいて、あなたと同じ目線で、あなたの笑顔に応えていたい。
そうして、僕の笑顔もあなたに受け取って欲しい。
こんなことを言ってあなたに笑われてしまうかも知れないけれど、僕の心からのお願いです。

あなたの側にいさせていただけますか?


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雨降りデートシリーズ第十二弾です。
トロワ未プレイのため、十三歳のティムカ・・・のハズが、う〜む。このセリフは十三歳じゃないですよね。。。
何はともあれ・・・(意味不明だが好きな言葉)

2003.4.28


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