(2000年1月〜4月)


みねがとおります

2000年5月〜8月



4月


「示談交渉人裏ファイル」
<著者>柳原三佳(やなぎはらみか)・浦野道行(うらのみちゆき)
<発行所>情報センター出版局 ¥1600+税

 裏ファイル…暴露本と思いがちだが、この本は示談交渉人の真の姿を綴ったノンフィクションである。確かに、ワシは、「裏」にひかれて図書館から借りた本じゃがのぉ。フラフラと…な。
 本体は、浦野さんの一人称でまとめてある。わざと乱暴な文章(要点は、しっかりおさえていて、わかりやすい文章。上手いです。文章って、ていねいに書けば良いってもんじゃないんだな〜って勉強になりました)にしてあるせいか、現場での生々しいやりとりには迫力がある。まるで浦野さんが書いたの?と思わせる(失礼)。浦野さんは、加害者側からの事故処理をする元損害保険会社の交通事故の損害調査員。
 柳原さんは交通事故の被害者の立場からのルポを、浦野さんは加害者側の立場から。立場は違うが、お互いに考えている自賠責を含めた業界の問題点は同じであることから、この本ができた。
 示談交渉人…彼らも損保のシステムからはみ出すことはなく、淡々と解決していくしかない。彼らに罪はないが、因果な職業である。


「ディック・ブルーナのすべて」
<監修>ディック・ブルーナ <編集>講談社
<発行所>講談社 ¥2800+税

 ミッフィー。あのうさぎちゃんです。かわいいよね。私、好きです。
 本名は「ナインチェ・プラウス」なのだそうだ。ナインチェとはオランダ語で「うさちゃん」。プラウスとは「ふわふわ」という意味。
 ミッフィーを見ていると、ほほえんでいるようにも見えるし、何か考えているようにも見える。世界中の子供にも大人にも愛される、そんなミッフィーの生みの親であるディック・ブルーナ氏の作品紹介と創作の秘密が描かれた1冊。絵本以外の作品も興味深い。
 線は限りなく少なく単純に、白を含めた6色しか使わない(赤・黄・青・グレー・茶)、約16センチ四方の四角形、12場面構成など、作者の絵本作りのこだわりを知ることができる。限られた構成なのに、読者に無限のイメージを与えてくれる。


「おじゃる丸のまったり人生のススメ」
<著者>犬丸りん <発行所>幻冬舎 ¥1400+税

「まったり」とは、あくせくせず、急がず、あせらず、のんびり、心おだやかでゆったりした状態。千年前のヘイアンチョウ時代からやってきた妖精貴族「坂ノ上おじゃる丸」のことである。
「おじゃる丸」は、NHK教育TVで放送されているアニメである。実は、毎朝みているのだ。犬丸りんのファンだもん。でも、最初は見てなかったのだ。朝の(クソ)忙しい時間にアニメだ?と思っていたからだ。見たら、もうおもしろくて。どのキャラクターも魅力的。「ひとりでできるもん」から見るようになっちゃたよ。もう。
 朝の忙しい時間だからこそ「おじゃる丸」を見て、まず、まったりして1日を始めよう。4月からは、新しいシリーズも開始したし。
 この本は、アニメ45本分の話を抜粋したものである。第1話を見逃した私にはありがたい本である。犬丸りんのマンガも満載!番組スタッフや声優の名前も載っている。1人4役もこなしているパパ。知らなかったー。タナカヨシコさんの声優名がないのが残念。私、タナカヨシコのファンなのに…。
 現代をまったり眺めて見る。楽しそうである。


「遺体鑑定 歯がかたりかけてくる」
<著者>鈴木和男(すずきかずお) <発行所>講談社 ¥1500+税

 唇にはそれぞれ独特の紋様があって、指紋と同じように、万人不同、終生不変、遺伝性を持っているのだそうだ。歯や歯形から、犯人特定をしたり、事故などの犠牲者の身元確認ができたりを鑑定したりする。
「法歯学」とは、歯からあらゆる情報を導き出すための学問。1本の歯から、年齢性別血液型までわかってしまうのだそうだ。
 歯に履歴あり。法歯学者としての情熱と使命感とが強く感じられる本である。
 全ての人が歯科レントゲン写真を撮っておく必要性をあるようだ。



3月


「フシギな寄生虫」
<著者>藤田紘一郎(ふじたこういちろう)
<発行所>日本実業出版社 ¥1500+税

 一家に一冊「寄生虫の本」とおすすめしたい本。ビジュアル図解でわかりやす。1つのテーマが2ページ完結で読みやすい。
 地球には人間だけが生きているんじゃないのだ。人間中心主義はもう流行らないんじゃない?行き過ぎた清潔指向、抗生物質などの乱用の警告をしている。


「トンデモ本 女の世界」
<著者>と学会 <発行所>メディアワークス ¥1500+税

 トンデモの世界は、男だけの花園世界だった。しかし、女がハマっているトンデモ本は多い。女性向きトンデモ世界の探査である。
 私が読んでみたいと思った1冊。「フィリピン語大人の会話集」だ。でも、なぜこの本が女の世界なのかナゾである。フィリピン語でフィリピン人をくどく…っていったら、日本男性がフィリピン女性を…ではないのか?ま、それは、さておき、「燃え残っていた青春が爆発したんだ」「失恋の領収書はないぜ」などの例文。できれば、英語で言ってみたいですね。ワシも爆発させてみたいぞ。
 あやしげなペンダントやブレスレットの広告は、わらかしてくれますよね。女の願いはダイエットと結婚。男は、金と女(女イコール結婚じゃないのが、ミソです)。この広告に対しても、するどく、つっこんでいます。


「偏食アカデミー 嗚呼日本の胃袋よ」
<編者>日本経済新聞社 <発行所>日本経済新聞社 ¥1500+税

 この本は、日本経済新聞日曜版の連載コラム「偏食アカデミー」がもとになっている。今も連載しているのか?日経は読まないから、わかんねーや。
 新聞記者のコラムだからか?もう少しくだけた文章でも良かったと思う。ま、適度な、くだけ具合が新聞記者の限界かもね。その中でも野瀬隊員の文章が、好きでした。テンポも良いし。
 本の中に登場する「キッチンラーメン濱」って今でもあるんですね。天童市に住んでいたときに、お店の食事券が当たって、家族で食べに行きましたよ。「深萱の昔とうふ」は、仙台でも手に入りますね。買って食べたことありますが、そ、それほどでもなかった…。
 日本人は、なんでもアレンジして食べる人種なのだな〜。変食大好きなのだ。偏食ならぬ変食本ですね。御国自慢ならぬ御国食い物自慢、こだわりの味もあり…の本。邪道では?と思う食べ物(食べ方)あり。特に名古屋は、不思議な街でした。あ、これは、他人こと言えない私です。自分では、美味いと思っていても、他人には、げえ〜っと言われる食べ物「あんこまパン」。パンにこしあん、そこへさらにマヨネーズを塗る。これが美味い。みなさんにもお勧めしているのですが、誰一人、作って食べようとしません。これは、林望さんの本「音の晩餐」にも書いてありますので、ぜひ!


「獅子身中(しししんちゅう)のサナダ虫」
<著者>藤田紘一郎(ふじたこういちろう) <発行所>講談社 ¥1600+税

 海外のレストランで刺身を食べ、有刺顎口虫症にかかった有名プロレスラー「C・R」って誰だ?「ラッシャー・チムラ」か?違うな。「長州力」か?

「獅子身中の虫」とは、「身体の内部にいながら組織などに害をなす者、つまり恩をあだで返す者」。
 でも著者は、「身体内にいて余分な栄養をとって健康にしてくれ、さらにアレルギー反応を抑える、すばらしい生物」という意味にかえてみたいそうだ。
 著者がおなかの中で大切に育てたサナダ虫。キヨミちゃん、サトミちゃん、ヒロミちゃん、ナオミちゃん。最愛のキヨミちゃんが排出された後に書かれた愛のメッセージは、涙なしでは読めません。
 日本人は生食が好きだ。だからといって、なんでも生で食べるのはやめよう。特に肉を生で食べることは恐ろしいこと。特に豚の生肉。
 地ドリのササミの刺身(早口言葉みたいです)、レバ刺。熊、猪、馬、牛の生肉。牛のレバ刺もあぶないそうだ。そう書いてあった。



2月


「宮脇檀の「いい家」の本 もっと家について考えてみませんか?」
<著者>宮脇檀(みやわきまゆみ) <発行所>PHP研究所 ¥1238+税

 日本人にとって「家」とは何か?街とは?都市とは?海外では「家」とはどういうものなのか?
 家は、買うものではなく借りるもの。持ち家思想から脱却しよう。
 男に書斎はいらない。子供に子供部屋はいらない。
 リビングルームって何?システムキッチンって何?アメリカやヨーロッパのイメージだけ輸入され、使いこなせない日本人。などなど。「それでも建てたい家」と内容がだぶっている部分も多いが、今回も建築家の著者が、ユーモアたっぷりに語ります。


「理由」
<著者>宮部みゆき(みやべみゆき) <発行所>朝日新聞社 ¥1800+税

 高級マンションの一室で起きた殺人事件をめぐり、バブルがはじけた日本が抱えるほぼ全ての問題を織り交ぜながら物語がすすんでいく。みごとでござる。
 殺人事件なのに、残忍なシーンもなく、敏腕刑事が登場するでもなく、でも読者をぐいぐい引き込んでいく。
 本の半分位まで、あれ?読んだことあるような気がする。このシーン知っている。ひょっとして図書館から借りて読んでいたのだっけ?と、(とうとう)私もボケ入ってきたのかと不安になったが、朝日新聞朝刊(連載は夕刊だったそうだが、仙台市では夕刊がない)の連載を読んでいたのだ。連載途中で、これは本になったら、一気に読んだ方がスッキリしそうだと思い、新聞連載を読むのをやめてしまったのだ。物語の半分近くまでは新聞で読んでいたことになるんだな。ボケたんじゃなかったよ。よかった。ごはん食ったのも覚えてるし。


「東方見便録「もの出す人々」から見たアジア」
<著者>斉藤政喜(さいとうまさき)(文) 内澤旬子(うちざわじゅんこ)(イラスト)
<発行所>小学館 ¥1500+税

「装丁家109人の仕事」を読んで、気になる本を見つけた。あー、やっぱり、そういう本ね。と思った人は、エライ!どして?
 週刊ヤングサンデーに連載された、排泄紀行をまとめた本である。文章だけでは伝えにくいトイレや排泄物を写真で掲載するのは、ちょっと…。となり、イラストレーターの内澤さんが抜擢された。彼女は、イスラム諸国や東アフリカをバックパッカーとして旅した経験がある。やはり、写真じゃなくイラストが効果的だと思った。内澤さんのちょっととぼけたコメントも楽しい。すばらしいのは、斉藤氏が撮った写真を元に絵を描いたのではなく、ちゃんと一緒に旅をしアジアのトイレ(こ、これがトイレ?と驚く現場多し)を体験したことだ。他には、ウンチ食って育った魚を食ってウンチしたり、ウンチ食って大きくなった豚を食ってウンチしたり。す、すばらしいです。究極のリサイクルでしょうか?

 私も、実は、どちらが前か?と悩んだトイレに入ったことがある。こういうガイドブックが読みたかったよ!これでこの値段は安い!安すぎ!と思うぞ。
 水でお尻を洗うのは、気持ちが良いと思うな(灼熱の地域では)。私は、カートリッジ(タンク)式の洗浄機を使っているが(温水が出ます)、恍惚とします。気持ち良いです。最初、今まで紙で拭いて生きてきたのに、今更お湯で洗わなくたって。けっ。と思ってました。ま、話のタネに…と使ってみたら、これが、あ〜た、やめられなくなりました。長所は、ノズルを自分で持って使うので、ピンポイント洗浄が可能なこと。和式でも洋式便所でも使えること。欠点は、おかげで、旅行などで洗えないと、非常に不快になることですかね〜。なんか、こう、ケツがさらさらしてなくて。で、この洗浄機を、ケツを手で洗う地域で売れると思うのは私だけか?電気式じゃダメか?
 韓国は、尻を拭いた紙を水洗便所に流していけないのを、初めて知りました。
 水を使った尻の洗いかたが書かれてあって、紙がないときの参考になるかもね。え?この本やぶって使うって?


「こちら泌尿器科110番 えっ、こんな病気があるの?の巻」
<著者>入澤俊氏(いりさわしゅんし) <発行所>草思社 ¥1600

 泌尿器科シリーズ、まだ読んでます。はははは。
 ペニスも骨折することがあるそうだ。ペニスには骨がないので、折れるではなく、正しくは陰茎折症というそうだ。入澤氏の本を読むたび思う。男って大変だ。小さくては悩み、小さくならなくて悩み、ねじれては悩み、早くて悩み、遅くて悩み、曲がっていると悩み。



1月


「IRA」
<著者>鈴木良平 <発行所>彩流社 ¥2500

 IRA(Irish Republican Army アイルランド共和国軍)。
 難しい内容の本だった。中途半端な興味本位で借りて読む本じゃないと気がついた。途中までしか読まなかったけど、ただ単に宗教の違いだけではなく、根の深〜〜い部分があって、私のような(生き方の)半端モンには理解できないものなのだと思った。理解しようと思うこと自体、おこがましいよね。
 次の行は少なからず、ショックだった。
「1949年にアイルランド共和国は英国からの完全独立を宣言し、英連邦から離脱した。しかし英国側は独立を認めても、離脱を認めていない」
 IRAは、何を求めているのか?英国よりの完全なる離脱?過去の恨み?
 この本を読み進めれば何かわかったかも?でもね、FUCK REVOLUTIONではないのか?


「おいしい左きき」
<編者>(株)造事務所 ZOU JIMUSYO <発行所>イーハトーヴ
¥1300+税

 この本は、ジャパンサウスポークラブ公認だそうだ。あったんだ。そういうクラブ。知らなかったぞ。

 左ききを知る入門書ですね。読みやすくておもしろかったです。あ、この辺は、「左ききは危険がいっぱい」に書いてあったな、と、わかったり。左ききの小技(自動改札機、ペットボトルのあけかた など)、サウスポー発掘テストもあり。

 私は、左ききってかっこいいと思っている。詳しくは→「左ききは危険がいっぱい」(←リンクはこれから。ごめん)
 フェリシモでは、左きき通販カタログがあったんですね。知りませんでした。だいぶ前に、S趣会に「左きき用のカタログまたはページを作ってみてはいかがですか?少数派も大切にしましょうよ」と、お手紙を差し上げたことがあるのだが、すでにフェリシモでやっていたのか?いや、たぶん作っても売れないと思ったに違いない。絶対に左ききの人達から支持されると思ったのにな〜。オーストラリアなどには左きき専門ショップもあるそうだから、日本でも、そういう店ができると良いよね。その前に、製造するメーカーに言いたいよね。もっと作ってくれ。もしくは、きき手の関係ない・両方の手でも使える商品の開発にも力を入れてほしい。


「こちら泌尿器科110番 読者の悩みにお応えしますの巻 続の続」
<著者>入澤俊氏(いりさわしゅんし) <発行所>草思社 ¥1600

 会津弁、やっぱり良いですね〜。良い雰囲気が出てます。

 腰をぶつけて腎臓が割れたり、ぶちどころが悪くて尿道が切れたり、いや〜、こういうことってホントウにあるんですね。私は、つい、尿意をがまんしてしまうクセ(?)があるんで、気を付けよう〜と思いました。
 ペニスが小さいと悩んで自殺してしまった人の話しには、涙が出そうになりました。チンチンごときで…。大きいと思っては悩み、小さけりゃ小さいで悩み。当人にとっては、最大級の悩みだったんだろうね。曲がってる、勃起しない、早漏、射精しない。ま、ね、女性は、オッパイ小さい・でかい、セックスできない、満足感がないって悩むんだから。深いぞ。深すぎ。
 あと、膀胱に色んな物を入れないようにしましょう。
 おもしろくて役に立つ医学書。自分の病気の参考になるかもね。セックスの悩みは、色々だけど、みな同じ人間。同じようなことで悩んでるんだよね。1人で悩む前に、この本を読んでみよう!
 この本読んでも、やはり、泌尿器科の病院には行きにくいよね。恥ずかしいし。
 私も1度、膀胱炎になった時、泌尿器科に行ったのですが、受付で、どうしましたか?と聞かれ、他の患者さんの前で症状を説明しなければならないのは、非常に不愉快でした。ま、こういうこともあって、医者・病院不信感が強くなっていったワケなんですが。


「わたしは猫の病院のお医者さん」
<著者>南部美香(なんぶみか) <発行所>講談社 ¥1500+税

 LAのキャットホスピタルでの1年間研修後、日本で猫専門の病院を東京に開業。LAや日本での猫や猫の飼い主のことが描かれている本。
 猫が病気だったり、小さな命が燃え尽きるシーンは、猫を飼っている私には、自分の飼っている猫をだぶらせてしまい、辛い。ほほえましい話もあったが、全体的に笑いながら読めるような本ではなかった。なるべくなら読みたくない本だった。でも、猫との別れは、避けては通れない道でもある。
 
 いつも寝てばかりの小さなこの生き物が、とてもいとおしく、いつまでもいつまでも一緒に暮らしていたい気持ちだ。私は、猫、その存在だけで慰められ、心穏やかになる。猫をなでて、鼻を近づけ毛の匂いを嗅ぎ、一緒の布団に寝て。猫とは不思議な生き物である。
 
 THE WHOを聴きながら寝る猫。ずっと一緒にいれたらいいよな。たぶん無理だけど。
 あんまりケンカすんなよ。弱いんだからさ。いつもケガして、化膿して病院行くんだからさ。


「装丁家109人の仕事」
<編集>日本図書設計家協会 <発行所>玄光社 ¥2000+税

 こういう本を待ってたんです。私は、本を読むのも好きだけど、装丁をじっくりながめるのも好きなので。カバーの色、紙の材質・厚さ・手触り、表紙の色、しおりひもの色、バランスなどをチェックするのが好きだ。装丁を眺めて、本を読んで、装丁を見て、おっ!なるほど!くう〜!上手い!と思わせてくれたりする。装丁も含めて「本」だと思う。バーコードは無粋だよね。やっぱり。
 
 この本は、装丁家とイラストレーターの名前と顔写真と連絡先(電話番号、FAX番号、事務所の住所、メールアドレス)と作品が載っている。本を作りたいと思っている人は、この本を見て、この人に…と思える人がいたら、直接連絡をとることもできる。装丁家の宣伝本にもなるし。見て楽しいし。この本を読んで、この本に載っている本を読みたくなったり。いや〜、良い本だな〜。


「続こちら泌尿器科110番 思いきって相談しちゃおの巻」
<著者>入澤俊氏(いりさわしゅんし) <発行所>草思社 ¥1600

 本のカバーのイラストが良いですね〜。水道の蛇口だ。泌尿器科。影がダラリとしていて、上手い。
 泌尿器とセックスの悩みは多種多様。十人十色(?)。会津弁で書かれているせいか、えげつなさも感じない。見出しは下品すぎず、大きさも、バスや地下鉄の中で読んでも手で隠せる程よい大きさで良い。おもしろくて勉強になる。読んだあとは、異性の身体を大切にしたいと思える本である。ま、そんな風にできてるのね。とな。
 ペニスが2本、3本持つ人もいるそうで…。想像できないぞ〜。
 他の雑誌で読んだことがあるのだが、小陰唇を白くする(漂白?)人がいるそうな。してどうする!?と思うのだが、本人は悩んでたんですね。きっと。
 生きている限り、性の悩みはつきまとう。1人で悩む前に読め!そういう本です。


「大学病院の掟 小児科医の見たア然ボウ然事情」
<著者>柳瀬義男(やなせよしお) <発行所>講談社 ¥1500

 図書館で、背表紙を見て、あれ?読んだことあったかな?と手に取って見る。読んだことないや。なぜ、わかったかと言うと、イラストが蛭子能収さんだったから。見たことなかったもん。蛭子能収さんのイラストで、この本を読んで見ようと決めた。
 医者って余ってるんだって?なら、無医村って、なぜ、なくならないの?大学病院を24時間診療にできないの?医者って、病気を治そうとするけど、患者を治そうとしないよね。これは私の素朴な疑問なのだが。

 医者もあきれる大学病院の実態を著者が斬ります。さすが医全闘(医学部全学闘争委員会)にいただけあって、つっこみは厳しいです。文章にそれほど強引さはないんだけど、医全闘の雰囲気はちょっとだけ漂ってますね。なんとなくね。読者を納得させる技というか。なんというか。こういう人は、大学病院の掟にはなじめないだろうな。とも思わせます。んじゃ、この人は、何をしてるか?っていうとやっぱり医者だから、それなりの掟には従ってるワケで。ブラック・ジャックにはなれないんですよね。この本が売れたって、日本の医療は変わらないと思うよ。大学病院のシステムは変わらないと思うよ。大学病院信仰者も信仰はやめないと思うよ。
 そうそう、この本を読んで、なるほど…と思ったのは、「産婦人科のある先輩がこう言った。「産婦人科医は、本当の意味でのフェミニストでなければ、務まるもんじゃないんだよ」本当に女性の心も体も大切にいたわれる人間でなければ、その資格がないということだ」であった。