(2002年1月〜4月)
Sorry,Japanese Only.
2002年5月〜8月



4月


「有名人の法則」
<著者>山田登世子 <発行所>河出書房新社 1500円

「私は有名になるぞ」
「どうやって有名になるつもり?」
「ふふふ。よくぞ聞いてくれた。それはだな。35歳とか40歳の誕生日に、突然枕もとに神様がお立ちになって、<お前は今までまじめで正直に生きた。ごほうびあげよう>と、おっしゃるんだな。それで、私は、不思議な力を授かって、病気の人を治したりするのだ。ほんでー、うわさを聞きつけてマスコミもやって来る。有名人になった私は、週刊誌をにぎわせ、本を書いたり映画を作ったりするのだ。う〜ん。夢だな〜。早く神様が来ないかな〜」
「そういう考えの人の所には、一生、神様現われないと思うよ」
「あ、やっぱり?」
「当たり前でしょ!」
 ↑これは、知人と私の会話である。さぁ、どちらが私でしょうか?

 この本は、どういう男が、女から好かれるのか。その法則を明らかにした。
 答えは実にカンタン。そう、女にもてるには、有名人になれば良いのだ。ただそれだけのこと。男性は、偉人こそもてると思っているが、全くの勘違い。偉人は、モテない。もてるのは有名人なのである。もてるための法則を12の定理で解き明かす。
 女にもてたい、有名になりたい、すてきな恋人が欲しい、自分の気持がわからない。つまり愛の定理がわかりたい方々は、ぜひどうぞ。「有名人の法則早見表」もついているよ。
 軽妙な文体で、最初はおもしろく読んだが、半分位までくると、この文体に飽きてくるのは私だけ?一休みしてから読み始めると、また最後の方は、おもしろくなっていくよ。
 女の人が有名人になるなら、脱げば良いんだってよ。あなたならどうする?


「んまんま」
<著者>犬丸りん <発行所>竹書房 1200円

 犬丸りんの存在を知ったのは、月刊4コママンガ雑誌「まんがくらぶ」であった。イラスト&エッセイ「んまんまくらぶ」を連載していた。食べ物に詰まった懐かしくて甘くてせつない楽しいお話なのだ。イラストもかわいく、ほんわかして読みやすい。雑誌の連載が終わってしまった時は、残念だった。はやく単行本にならないかな〜と、じっと待っていた。
 食べ物にまつわる話って、高いとか安いとか、美味いとか不味いとか、あの味は、味付けは、と好みやこだわりの自己満足や自慢話で、イヤになるんだけど、この本は違うぞ。身近な食べ物の味と人との話なのである。
 自宅のトイレに閉じ込められる話は怖かった。特に、一人暮らしの人は、気を付けるように。


「イーハトーブの幽霊」
<著者>内田康夫 <発行所>中央公論社 1400円

 内田康夫ファンおよび浅見光彦ファンに、思いっきり怒られそうである。
 56ページ読むのに、3日もかかってしまた。あくびばかり出る。この調子でいったら、1冊読み終わるのに15日以上かかってしまう。1ページ5秒のペースで、大ナナメ読みした。大体の内容は、わかったが、犯人は、わからなかった。
 イーハトーヴと言えば、宮澤賢治。宮澤賢治ファンの私は、本のタイトルだけで、図書館から借りてきた本。
 わくわく、どきどき、早くページをめくりた〜い。てな感動もなく。私のリズムに合わない、歯切れの悪い、だらだらした文章。ぜんぜんおもしろい本ではなかった。内田氏の本は、もう読まなくていいや。わかっただけでも、一応の収穫である。うんうん。



3月


「性の誤解」
<著者>河添恵子 <発行所>恒友出版 1600円

 副題が「性転換---男の体を持った女」とありました。
 男の体を持つ女と言えば、「男性に性転換した女性」の話かと思ったんですね。ところが、「女性になりたがる男性」の話だったんです。勝手に勘違いした私が悪いんだけど。少々、期待はずれの本でした。
 この本は、はっきり言って、女性になりたい男性(中国人)の観察記録です。彼の手記も載ってますが、少なすぎますね。彼の心の揺れが、あまり感じられず、あまり、おもしろくなかった。こういう観察記録で、本が出せるんだから、おいしい仕事してるな〜と思いました。
 彼(女性になりたい男性)が、「美輪明宏さんみたいになりたい」と言ったとき、「生意気言うんじゃねえよ!」と、怒鳴りたくなりました。君と美輪さんとは、人間としてのレベルが違うんだよ。魂の磨きかたが違うんだよ。とな。美輪さんは「佳人」なのだから。


「事件記者の110番講座」
<著者>三木賢治 <発行所>毎日新聞社 1400円

 新聞に、この本の広告が、こんなふうに載っていた。
「悪い奴ほどよく眠る?犯人と刑事の知恵比べ!」「この講座を受講すれば、あなたも立派な警察通になれる?」
 私は良く眠るんだけど、ひょっとして悪い奴?
 この本は、睡眠と犯罪の関係の本かなの?
 読んでみました。全然違ってました。
 毎日中学生新聞に連載された中学生向きのコラム「面白フロッピー110番講座」を、書き改めた本である。著者が、新聞記者として取材してきた、20年間の事件が中心である。
 この本を読んだからって、警察通にはなれないと思うぞ。新聞の広告って、おおげさすぎると思う。
「悪い奴ほどよく眠る」って、どこから出たコピー?任侠映画?


 「子どものねだん バンコク児童売春地獄の4年間」
<著者>マリー=フランス・ボッツ <訳者>堀田一陽 <発行所>社会評論社 2700円

 著者の4年間の日記のようなものであった。
 子どもたちがどのようにしてさらわれ、どのようにして売られていくか。という具体的な話は、ほとんどなかった。 結局、著者は、何をしていたんだろう?と思ってしまった。淡々と調査してんだろうけど。
 内容は、ヨーロッパの男性の児童買春のルポなのだが、彼らは「新しい愛」という勝手な理屈で、児童買春と虐待を繰り返す。医者だったり、教師だったり・・・。こういう人達に、職種は関係ないんだね。売春宿に売られた子ども達は、無気力無感動で、うつろな目で、彼らの言いなりになるしかないのだ。小さな子どもなのに。 子どもらしい笑顔も夢もない。
 日本人の児童買春の例は、数例しか書かれていなかった。調べれば、たくさんあると思う。
「日本人旅行者の売春婦へのご執心ぶりは、バンコクでも有名で、女性を物としか見ない、暴力的で女性を虐待することに躊躇しない」そうだ。
 ある会社では、接待に買春を利用したり、成績優秀な社員に買春旅行をプレゼントするのだそうだ。けっ!
 全世界、買春するのに、勝手な理屈を作りだすもんだと、あきれてしまった。



2月


「侯爵サド」
<著者>藤本ひとみ <発行所>文芸春秋 1810円

 高校生の頃、サドの著書を何冊も読んだ。ジャン・ジュネも読んだな〜。意味もわからずに読んでいた。もちろん原書ではなく、翻訳本だよ。
 この本「侯爵サド」は、おもしろくなかったので、ほとんど飛ばし読みだ〜い。ちゃんと読んでないってことです。
 当時の裁判記録をもとに、サドの性癖と深層心理を検証し、サドの実像を描いた本らしい。当時のキリスト教の信仰も影響しているんだろう。サドの乱交は、ぶっとびだったろうね。現代なら、こんなんも(普通に)アリよ。である。異常性愛かもしれないけど…。
 正常性愛って何?である。愛に正常も異常もあるの?


「アフター・スピード」
<著者>石丸元章 <発行>飛鳥新社 1500円

 前作のノンフィクション「スピード」の続編である。これもノンフィクションだ。
 前作は、ジャブ中の時の文章だから、スパークしていて、理解不可能だった部分が多かったが、今回は、逮捕されてから留置所→拘置所→裁判所の様子が詳しく描かれている。だいぶシャブが抜けてきているようだ。
 文章が乾いた感じがするが、しっかりしていて、スピード感があり、前作よりおもしろかった。
 これがノンフィクション!って感じたよ。


「SPEED スピード」
<著者>石丸元章 <発行所>飛鳥新社 1500円

「スピード」って、「シャブ」のことだ。そう、「覚醒剤」ね。
 ドラッグの取材をしていたはずなのに、自分がスピードにハマってしまったのさ。バカな著者。LSD、コカイン、マリファナを、どんどんキメていく。覚醒剤は、注射器を使わないで焙って吸えば、ジャンキーにならないと思っていたらしい、それは、大きな間違い。基本中の基本であろう。
 すっかりジャンキーとなり、幻聴、幻覚、幻体験を味わって、初めて自分が壊れていく姿に気がついたらしい。
 この本は、専門医に「覚醒剤中毒による急性分裂病」と診断された著者による、ドラッグ・ノンフィクションである。頭の中で何かが爆発している様子が、鮮やかな色彩を放っているのが感じられる。
 ドラッグによる混乱や意味不明の文章を読むと、人間が狂っていくって、こんな感じ?と怖くなる。死よりも恐ろしい。
 ドラッグをおしゃれ感覚で体験したがる人々に読ませたい本。
 自分だけは大丈夫。絶対にハマったりしない。ジャンキーなんかにならないと思っているかもしれないけど、1度やったら後戻りできないのだ。そういうドラッグが簡単に手に入るんだから、世の中、一体どうなっとるんじゃ?日本は、ドラッグに対する危機感がなさすぎるぞ。
 著者は、今でも、戻らない頭で、悪夢を見続けている。



1月


「アナル・バロック」
<著者>秋田昌美  <発行所>青弓社  2200円+税

 この本は、「黄金」=「糞便」の結びつき、「ふんころがし」を「こがねむし」というのは、なぜか? から始まる。
 ケツ関係だけ描かれた本を、初めて読んだ。もっとゲロゲロする本かと思ったら、淡いエロジェニック・ゾーンをのぞき見る、軽い感じで読みやすかった。もちろんスカトロ本ではあるが…。おもしろかった。
 はまったか?


「青の物語」
<著者>マルグリット・ユルスナール <訳者>吉田加南子
<発行所>白水社 1700円

 正直に言うと、「読みました」ではない。途中までしか読んでいない。私には合わない本だったから。
 青色好きの私は、タイトルだけ見て、おもしろい本かも?と、図書館から借りてきた。
 手にとった瞬間の感想→なんと薄い本!こ、こ、これで1700円?高い!短編3つで144ページ。1ページに文字がパラパラとしかなくて。144ページのうち36ページが解題と訳者あとがきだ!ぼ、ぼ、ぼったくじゃねぇーか。買わなくてよかった〜。
「青の物語」は、訳者あとがきを読むと、主人公の商人達の欲望の話らしい。え?そういう話だったの?全然わからなかった!12ページには「膝を祈ってうずくまる」とあるが、「膝を折って」の間違いでは?
「初めての夜」は、新婚旅行の旅先で、別れた恋人の自殺を知る話。フランスの灰色の空のような重苦しい雰囲気の中、甘ったるくて、けだるくて。あああああ、こういう本はダメだ。うけつけない。
「呪い」は、読まずに返却した。


「アウローラの動機」
<著者>エーリッヒ・ハックル <訳者>アルテ
<発行所>クインテッセンス出版 1500円

 翻訳を行った「アルテ」とは、上智大学OGで作られたグループである。女性をテーマとしたドイツ現代文学を日本に紹介したということで、10年ほど前から活動を続けている。
 著者は、1933年にスペインで起こった殺人事件(母親が娘を殺害した)に興味を抱き、現地取材を行い、様々な資料を集めた。それを基にして描かれた本である。
 主人公のアウローラは、新聞で精子提供者募集の広告を出し、未婚で出産した。自分の人生の全てをかけ、一人で娘を育てる。娘は彼女の理想とおりに育っていく。しかし、彼女は娘を殺害してしまう。
 なんじゃこりゃ?である。
 当時のスペインの状況、特に女性の地位や立場、抑圧的な女性教育等社会背景を知らなければ、つまらない物語でしかないと思う。彼女を取りまく因襲の説明不足だと思う。彼女のわがままとしか受け取れない。訳者あとがきに書かれているような、アウローラの度胸の良さ、意志の強さ、緊張感は私には感じられなかった。
 話が突然、章を変えずに過去に戻ったり現在になったり、読みにくかった。文章も、誰の?何の?説明なのか、誰が誰に対しての台詞なのか、わかりにくい。
 何度も言うけど、翻訳本って、訳者あとがきが一番おもしろいよね。こんなに読みやすい文章が書けるのに、なんで翻訳になると、あんなにも、つまらなくてわかりにくくてテンポの悪い文章になっちゃうわけ?そういう本って、多いよね。翻訳が下手すぎる(人が多すぎるん)じゃないの?すまんが、言わせてもらったぞ。



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