(2001年9月〜12月)
Sorry,Japanese Only.



12月


「残された人びと」
<著者>アレグザンダー・ケイ <訳者>内田庶 <発行所>岩崎書店
(現在は、角川文庫より「未来少年コナン」で発行されているようです)

 NHKアニメ「未来少年コナン」の原作である。
 磁力兵器を使った戦争の結果、地球の地軸が狂い、地震が起こり、大津波が襲い、地球の大異変の後から、ストーリーが始まる。生きていた人々が、戦争を引き起こした「新社会」の支配者とたたかう。
 大人達の権力と欲望とたたかう「残された人々」の中に、主人公「コナン」がいる。12歳の少年だ。老科学者、親友の女の子は、テレパシーを使って励まし合う。
 最新の科学技術の装備や武器は出てこないが、未来小説・SFです。これが児童書?と驚く内容です。
 アニメと違うところは、コナンが悩み、不安で何度も挫折しそうになるところ。アニメでは、元気いっぱいの少年です。親友の女の子「ラナ」は、いつも何かにおびえ、自分に自信が持てないようですが、アニメでは、気丈な女の子で、コナンを信じ前向きに生きています。
 本とアニメでは、ストーリーの流れに大きな違いはないのですが、アニメの方が登場人物が生き生きとしているように思えます。悪者にしても、どこか悪者に徹しきれない…。全ての人々の弱さと優しさを描いた宮崎アニメは、好感が持てます。
 科学の力だけに頼り、人間の心をなくし、不用の人間を失格にし、額に印をつけるなど、機械文明に対し疑問を投げかける1冊でした。


「ハートのシャンプー」
<著者>沙桃由紀 <発行所>近代文藝社 1100円

 このペンネーム、耽美小説のペンネームみたいです(笑)。こういうペンネーム、やめとけ。
 FM仙台(当時)の「モーニングテイスト」という10分番組のための放送原稿集である。コピーでもない、ポエムでもないので、COPOESSEY(コ・ポエッセイ←くっ、苦笑)と名付けた文章が140編。
 ドラマチックな展開も皮肉もない。自然体で、著者の感性が、さりげなくキラリと光っている。小さな幸福が、たくさん詰まっている。この本について著者は「自分の日記のようでもあり、友人の日記でもあり、あなたの日記かもしれない」と言っている。
 読んでいて、最初はあたたかくてほっとしていたが、半分まで読んだら、つまらなくなってきた。なぜか?それは…だ、うっとうしくなってきたんだな。正直に告白すると、読んでるうちにイライラしてきました。
 そこで、提案。この本を読む心構えは、1冊の「本」と思って読むのではなく、気がむいた時に開いて読む。気ままに(適当に)開いて、好きなページから読め。


「兵藤ゆきの猫ナンパ日記」
<著者>兵藤ゆき <発行所>KKベストセラーズ 1000円

 ゆき姐は、犬の本も書いている。猫も犬も好きなのだそうだ。
 餌付けしていたノラ猫が事故に遭ったので、家に連れて帰って看病したが、元がノラだから、なかなか触らせてくれないらしい。でも、その猫は、ゆき姐に助けてもらったということは理解しているらしい。
 この本は、月刊「猫の手帳」という雑誌に連載したものを中心に、猫の話が44。写真も、ゆき姐が撮ったものだ。写真は、カラーで載せてほしかったなー。
「猫の話が書きたい書きたい」という気持ちが空回りしてしまった文章だが、ゆき姐と出会えた猫は幸福だよな〜、と思える。そんな本だ。



11月


「不確かな存在たち」
<監修>町澤静夫  <著者>常蔭純一  <発行所>径書房

 ライターである著者が、離婚のストレスで、精神的にまいってきたことによって、精神科に通う患者に興味をもちはじめる。
 誰にでも、神経精神を病むことはあるのだ。いつ?何をきっかけになるのか?なぜ壊れてしまいそうになるのか?私達は、常に、あやふやな部分で生きているのだ。確かな部分ではなく、不確かな部分で生きているのではないだろうか。足元が不安定でも、歩ける人もいれば、歩けなくなる人もいるのだ。なぜだろう。その違いは?そこで、理論と臨床にも詳しい精神科医の町澤氏と出会う。
 著者が、町澤氏の診察の様子などを、ルポした本である。多重人格の女性が、なぜ新しい人格が次々と現れたのか?どうやって1つの人格に統合していくか?などの精神的病の患者の話もある。
 この本は、町澤氏本人が書いたほうが、もっとうまく描けたただろうなー。精神科医のことをルポしたい気持はわかるが、精神科医の話は、精神科医におまかせして書いてもらった方が、絶対におもしろいと思う。著者は、患者の立場で書きたかったのか、医者の立場で書きたかったのかよくわかなかった。それと、著書でグチっちゃいけないと思うぞ。
 著者の「不確かな存在」の感じ方は、素直な感想(反応)で良かったと思う。他の患者を見ることによって、自分を見つめることもできたんじゃないかな。


「海外個人旅行 得(丸の中に得) マニュアル」
<著者>山下マヌー <発行所>小学館 1100円

 くだらなすぎ!
 読んでがっかり!
 部屋に置いておくのもイヤだから、すぐに捨てた本。
 あ、この本、頭にくるよ。読んでみ。と言って友達にあげたかも?
 あ、逆だったかな?友達に「くだらないから、読んでみ」と言われてもらった本だったかも?
 どっちにしても、すぐに捨てた。
 男性向けに書かれた本で、女性をナンパするための服装からベッドまでの誘い方に特に力の入った本。もし、知人の本棚に、この本があったら、その人の品性を疑うね。


「カススの舞い」
<著者>帚木蓬生 <発行所>新潮社 1200円

 ミステリーでもなく、サスペンスでもなく、分類するなら「帚木蓬生の小説」としたい私である。著者の小説は、常に、人間とは?医療とは?がテーマであると思う。
 この本は「麻薬・ヨーロッパ・日本人精神科医・科学」がキーワードである。著者が精神科医だからか、主人公には、医者が多いようだ。医者として大切なのは「医療」か「研究」か。「科学」か「良心」か。「現実」か「狂気」か。人間という生き物に暖かみも感じるが、恐ろしさも感じてくる。



10月


「麻薬捜査官 ドラッグ・ハンター」「黒い手錠 麻薬捜査官2」
<著者>田中光二 <発行所>光文社 各540円

 いや〜、おもしろかったわ〜。友達から、この本を紹介してもらったんだけどね。
 この友達って〜のが、すごい美人なんだよ〜。どれくらい美人かというと、結婚式の披露宴で、純白のウエディングドレス姿の彼女が、披露宴会場に入場した瞬間「きれいだきれいだきれいだきれいだきれいだ」と言う声と、ためいきが、フェイドアウト状態。そんくらい美人なのだ。それなのに、そんな彼女は、変な物が好き。美人なだけに、そのギャップが愉快なのだ。変な物を見つけると喜んで私に報告してくれる。チンコのついたワラ人形は、彼女からもらったのだ。「岩手県の温泉で見つけたの。お土産。あげる。うふふふ。これ、変でしょ?」。それに、きったないラーメン屋や、いつつぶれてもおかしくない食堂が好きなのだ。美人なのにぃ〜。
「この本、おもしろいよ。同僚からは、「なに読んでんの!」と、イヤな顔されるんだ。うん。夫は、こういう本に興味がないみたい。でも、そのうち夫に「フラッシュバックって知ってる?」って聞いてみようと思うんだ。うふふ」
「わははははははははははははははは」
「今はね、処刑捜査官を読んでいるんだよ」
「へえ〜、同じ作者なんだ」
「犯人を殺しても良い捜査官の話でね、これもおもしろいよ。すいすい読めちゃう。峰ちゃん、こういう本、好きだよね」
「ああああぁぁ〜〜、あんたとは一生友達でいられるような気がする!」
「え?ほんと?私も、こういう本の話できるのは、峰ちゃんだけだよ〜」
 それで?この本は、どういう内容なのか?って?
 麻薬取締官と密輸組織、売人を装う暴力団との死闘が繰り広げられる。取締官は覆面捜査が建て前であるために、素顔が知られることを避けるために変装をする。だからなのか、主人公のイメージがイマイチつかめない。
「シャブ屋」は、売人が書いたシャブの話。私が知りたかった上層部の話題には一切ふれていないが、実話のおもしろさがあったと思う。「麻薬取締官」は、フィクションだけど、フィクションだから表現できる迫力がある。「黒い手錠」は、実際に起きている信じがたい警察と暴力団との癒着も描かれている。
 さあ!この本を読んで、麻薬に強くなろう!!
 あ、強くなりたかないですか?


「三たびの海峡」
<著者>帚木蓬生 <発行所>新潮社 1500円

 行って帰って行って帰ってだと「四たび」になるのだから、「三たび」って、行って帰って行って帰ってこないってことか?
 突然、強制連行され、家畜同然に強制労働させられた韓国人がいた。反抗した者や逃亡した者は、見せしめに半殺しにされたり殺されたり。自殺する者もいた。労務主任は日本人だが、助手は韓国人にさせ、同胞を見張らせ拷問させる。命がけで逃げ出し、終戦後、連絡船で母国へ帰る。約50年後に労働主任は市長になり、その労務助手は日本に帰化し市長と密接なつながりを持つ土建業者になり私腹をこやしていく。閉山になった炭坑を残すため、同胞たちの慟哭のため、主人公は海峡を渡るのである。
 著者が「日本人として書いておくべき義務がある」と書いているが、私は、この本を読んでよかったと思う(映画は、見ていない。見る予定もないけど)。日本は、犠牲者になった歴史もあるが、加害者でもある事実は消せないのだ。悲しい歴史を忘れないこと。武力・権力・暴力で他国民族を支配しようとした行為を2度と繰り返さない。
 あ、私は特定の宗教とか、主義主張の団体には属してませんよ。お誘いも、お断りです。


「MOON(ムーン)」
  <著者>竹内海南江(たけうちかなえ) <発行所>角川書店 350円

 私には苦手なものが、いくつかある。その中の1つが「歩道橋」だ。渡っている時の歩道橋の揺れがイヤだ。不安定で、あの浮遊感。鉄でできているとはいえ、絶対に絶対に永久な物ではないはず。歩道橋だって、いつかは壊れるはずだ。歩道橋を上り、道路の真上あたりにさしかかると、早く渡らなくっちゃ。でも、この1歩で壊れて落ちて、そこにトラックが来て…うわあ〜!ものすごく怖い。腰が引ける。パニック。
 この話を妹にしたら、「あのね、この地面だって数十kmの下には、ものすご〜く熱いマントルが流れていて、いつ地殻が崩れ出すかわからないけど、平気でしょ?地球の厚さからしたら、ホントに地殻は薄いんだよ。歩道橋が怖いなんて言ってられないわよ」
 おお!そうか〜。なんか、ものすごくアバウトなタトエだけど、妙な説得力があって納得してしまった。ははは(納得するなよ)。だが、やっぱり歩道橋は怖くて、怖さのあまり走って渡ろうとすると、ますます揺れてもっと怖いのであった。とほほ。
 この本は、あのTV「世界ふしぎ発見!」のレポ−タ−として活躍している竹内海南江ちゃんの本なのだ。
 主人公「まりも」は、強いふりをしているだけで本当は弱い。だけど、決してその弱さを表わさない。自分でも気がついているから苦しい。けれど逃れられない。まりもの美しさ・素直さ・正直さ・弱さを見抜いている男の子「うさぎ」。まりもとうさぎは不思議な旅に出る。月は、どこまでも2人を優しく見守っている。 
 この物語は、奇妙な浮遊感がある。煙草の煙、赤い風船、エレベ−タ−、シャボン玉、風、海。月に青白く映しだされた建物・道路・公園、陽炎よりも大胆にゆらめく影、不規則な4拍子。こういう不思議な浮遊感はOKだ。
 心の中の月をまあるくして、輝かせてみよう。



9月


「ヤクザ大辞典 2」
<編集者>週刊大衆編集部  <監修者>山平重樹  <発行所>双葉社

 市民図書館に、こんな本があったので読んでみた。借りたかった本の隣にあっただけさ。ホントか?ホントだ。
「2」があるってことは、「1」はどこに? 貸出中だったのか?
 この本を読んでも、ヤクザについてわからないことだらけだった。なぜ、彼らはヤクザになるんだろう?
 一般生活からはみ出していった者、規則や決まり事を守らず破っていったりする者なのに、こっちの世界よりもあっちの世界は、上下関係や義理人情に厚く、管理され、厳しい世界だよね。 「なあなあ」「まあまあ」で済まされない世界に、なぜ自分から飛び込んで行くんだろ。こっちの世界の方がすごしやすいと思うんだけどな。
 ヤクザと暴力団と愚連隊と違うのか?
 ヤクザの「稼業」って何?
「不良の神様」って何だ?不良と神様って、同じレベルで並べて使って良い言葉なの?
  などなど、疑問だらけの本でした。イヤ、別に、特別、体験したい世界でもないけど。


「夢の事典」
<著者>ラッセル・グラント <訳者>豊田菜穂子 <発行所>飛鳥新社 1500円

 人間は平均して1日のうち3分の1は眠っている。…、ということは、18歳の私は(おいおい、無理があるぞ〜)、すでに6年間も眠っていることになる。そして、そのうちの2年間以上は夢を見ているらしい。
 夢は、心の奥底に潜む欲望や希望、恐怖、幻想などを映し出す鏡のようなもの。だから、夢には、さまざまなものがシンボルとなって現われる。
 この事典は、夢の中に出てくるヒトやモノ、行動、場面などに関する言葉、約2000語が、あいうえお順に配列され、その全てに夢の解釈がついている。巻末に関連項目別の索引があるので便利。そして調べやすい。
 日々の性欲や性の悩みは、夢の中では間接的に表れる。だから、憧れの人とエッチする夢を見たからといって、本当にそんな関係になってしまうということではないそうです。安心(?)した?
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***ヘビの夢***
 ヘビに巻きつかれる夢を見たら、セックスのとりこになっている証拠!ヘビに咬まれたら、トラブルに巻きこまれそう。複数のヘビが夢に出てきたら、信頼している人にひどくがっかりさせられます。ヘビを殺す夢を見たら、反対を押し切って成功するでしょう。ヘビ使いを夢に見たら、噂話を立てられそう。
***飛ぶ夢***
 多くは性的な意味をはらんでいます。飛ぶということは精力絶倫を誇示するようなもの。飛ぶ夢には、今のあなたは満たされていないとか、自分の人生をうまくコントロールしていないといったことが表れがちです。なかなか望みがかなえられない。自己評価も低い。さらには性的に満たされていない、といったことを飛ぶ夢が補っている場合もあります。飛ぶという行為はあなたの野心をも表しています。苦もなく飛んでいれば、野心を遂げることもさほど難しくありません。高く飛ぼうとするのに、なかなかうまくいかなければ、高望みをしている証拠。もっと目標を下げてみては?
***死の夢***
 死が凶運を示すことはまれです。自分が死ぬ夢は、悩み事から抜け出して、人生の新たなスタートを切ることを意味します。死んだ人と話をする夢を見たら、近いうちに良い知らせを受けるでしょう。他人の死は、誕生あるいは頑張りすぎているあなたにペースを落とすようにと忠告を意味。このところ会っていない友人の死は、結婚を暗示。死別の悲しみに暮れていたら、出産や婚約、結婚の知らせが舞いこみそう。死者がさまよていたら幸運が訪れます。
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 それでは、みなさんも良い夢を!おやすみなさい。


「リンウッド・テラスの心霊フィルム」
<著者>大槻ケンジ <発行所>思潮社 1500円
*本書の著者名は、本人の希望により大槻ケンジになっています。

 大槻ケンジ氏の詩集である。これらの詩に曲がついて、筋肉少女帯や大槻ケンヂ氏のソロアルバムの歌になる。この詩をそのまま使用されていたり、アレンジされていたり。イメージだけ使用されていたり。
 私は猫のリンナが1番好きだ。ソロアルバムに入っている。



みねがとおります