サムライの記録12-ソ連将校室の水汲み

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春、小川が解氷する頃は当分濁流が続くが・・・湧き出ている所は泥水をさける勢いである。
将校夫人のストール姿、温かい日など薄着になるとよく注意された。

(解説)
この風景は収容所の西の山並みで私の訪れた時を思い出される、この山は数年前に 山火事で1ヶ月燃え続けたとか。 加藤様の抑留記は時間の流れに沿って書かれており、『冬将軍が去り気候も良い緑が美しい5月 下旬は毎朝濃霧にしっぽりとラーゲルは包まれ清々しい、シャフタマは富士山の6合目に相当する 風土で火伏軍医から話を聞いたが深山の仙境のようだった』とある。 春ともなると慣れも有るだろうが仄々とした異国生活を伺うようなスケッチが出てくる。 犠牲者、ノルマ、重労働が酒、タバコ、県人会、娯楽、演芸大会と変わってくる。 白樺の薪で麻雀牌や将棋の駒を作る者・・・ラーゲル生活も数ヶ月を過ぎると何か趣味を持つ者も 表れるともある。
キャッチボールも行われたようで、中には帰国後「西鉄ライオンズ」に入団され、ピッチャーとし て大活躍された方も居られる。既に亡くなられ、手紙を出したが帰って来た。