楽苦画飢1

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私の父がシベリア・チタ州の強制収容所で死亡した同じ収容所からの帰還兵「柴谷吉宣様」は退 職後自分史として「楽苦我記」と題して満州編、シベリア編と纏められ、親戚・友人・知人に配布さ れた。
私は3年前にお知り合いになり、それを頂き、一字一句、又幾度も読み返した。そして何時・何処で・ 誰が・何を・どうしたをメモを取った。その内容から地図をつくり、戦友の名簿を作り、季節を調べ、 真剣に読ませて頂いた。コピーを取って他の3人のシャフタマ孤児(?)に渡した。
もし私が2004年に現地を訪れる前にお知り合いになり、これらの情報を頂いて居れば「もう既に父は 連れて帰って居るだろう」にと悔やまれるが、我々の父親達の遺骨探しの為に大変有効に活用させて 頂だけるものであり、シベリア抑留問題の風化防止に使わせて頂きたいと思う。
失礼ながら60年前の事である、忘却や記憶間違いもあり、私が2004年の現地訪問で得た知識で訂正さ せて頂いた箇所もあるが、私があまりしっつこく「埋葬地の場所」をお聞きする内に、現地を思い出 しながらスケッチを書かれ、それを昨年の秋の戦友会の時30枚纏めて頂いた。抜群の記憶力で、 「楽苦画飢」と題して、写真の無いシベリア抑留の貴重な記録である。見て頂ければ分ように、その 描写に当時の境遇・心境が滲み込んで、寒さ・苦しさ・ひもじさを感じる。
私自身はそれで父の眠る埋葬場所を探す事に大いにヒントを頂いている事は勿論で、何とか実現すべ く、今年柴谷様にご同行願ってシベリアに出掛けた。
「加藤孝様」のほのぼのとしたスケッチ「サムライの記録」と又少し違う、鋭い描写をご覧頂きたい。