楽苦画飢9-虱(ウオーシ)

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深夜ペーチカの明かりを頼りの虱退治、我々の分身を殺すのは心苦しいが、ペーチカの暖かさで虱が モゾモゾと這い出して来るので、爪と爪の間に挟み押し潰す、又行儀良く整列している、卵を根気良 くプチップチッと潰すのである。
(楽苦我記)
千人針=腹巻きで千人の女の人に、赤い糸を通した針で一人に一針ずつ千人の人に丸めて貰い、布の 中心に5銭銅貨を縫い付け四銭、即ち死線を越えて武運長久を祈る。
(解説)
「楽苦我記」の「ウオーシ」の部分が長いので割愛する。ただ「千人針」とは何かが分らない世代の 人が出て来たので、柴谷様の説明を入れたが、私の母が連日6キロ先の駅まで出掛け駅頭に立ち父の 為に御願いしたのを覚えている。又ペーチカも歌にもなっているが、日本人には分らない、私の育っ た満州の家にはそれがあったのを覚えている。 風呂に半年も入らなかった話、上記の千人針が虱の巣と化した話、虱対策の為か風呂(バーニヤ)が 日本人によって作られ、お陰でシャフタマでは発疹チフスは発生しなかった事が記されている。 この収容所に父達が入る前にはドイツ人捕虜が居た、その棟は古く特に虱が酷かったと聞く、入所後 建築した方はそれほどでもなかった様だが、このスケッチはその日本人が建てた新しい棟の内部であ る。
虱は死亡者の体から逃げ出し、生きている人の方へ行くのだそうである、それによって死亡を知った 事もあるとのお話を聞いた事があり、抑留記には度々出てくる。