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 アンチラグシステム Anti Turbo-lag Systemについて

■Summary

 排ガスをエネルギー源にするターボ(正しくはTurbo Super Charger)におけるスロットルOffからの再On時の過給圧の立ち上がり遅れ(Turbo-lag)は、そのエネルギー入熱から不可避のものと考えられていた。
しかしスロットルOff時に排ガスの膨張エネルギーをタービン入り口で最大となるようにECUで制御してやればTurbo-lagは最小限に押さえられる。

■アンチラグシステムの歴史

1990年代WRCをはじめとするレースにおいて、missfiringと呼ばれるシステムがターボチャージャーのTurbo-lag解消策として盛んに用いられてきた。
正しくは「最燃焼システム」と言うこのシステムには、タービンを回転させる為必要とする以上のエネルギーを与える為、排気バルブ、同ポート、同マニホールド、ひいてはタービン本体の耐久性を縮めてしまう欠点を有していた。
実際WRCではタービンの想定寿命は2000km以下であり、全走行区間で6個のタービンを使用したチームもあった。
またエンジンにも二次エア導入の配管を必要としたり、制御用ソレイドバルブも設置しなければならなかった。

■semi-missfiring Anti Turbo-lag System開発の狙いと効果

二次エア配管、ソレイド等のエンジン改造なしにAnti-lagを実現出来ないかを考えていた時に、Dr.T.Maruyamaから、提供を受けたスピードをParameter(媒介変数)にした複数のADV(点火進角)、KMR(燃料調量)を持つMulti-Map制御のECUと合わせて、エンジン改造不要のSoft OrientedなAnti-lag Systemが可能になった。
1995年BNR32(32スカイラインGT-R)を始めにsemi-missfiringによるAnti-lag SystemをECU内のROMに組み込み、PowerCraft(山口県)のGT-Rが1996年の筑波スーパータイムアタック(REV SPEED誌主催)総合2位、同97,98年は新記録で2連覇、また、98年アムクレイドヅラッグレースではT.Sugi(北九州)がBNR32で総合優勝した。

■現在のAnti-lag System

スバルはWRC参戦のGDB(インプレッサ)にプロドライブ(英国)と共同開発した失火させないAnti-lag Systemを採用している。また系列のSTIでは同システムを組み込んだECUを発売している。
日産もJGTC-GT500に参戦するZ33(市販車とは異なりツインターボ搭載)にAnti-lag System採用を発表している。
元祖missfiring Systemの三菱も当然これらを採用していると推定されるが、発表されていない。

■総説

現在各ワークス系で採用しているこれらのAnti-lag Systemがわれわれの開発したsemi-missfiringによるSoft OrientedなTurbo-lag解消システムと完全に同一なものかは解らないが、基本的に技術者の考えは同一なものに向かうことが多い。それからすると方向性は同じであろう。
さすればメーカーより10年先にこれらのAnti-lag Systemを完成させていた技術的方向性は、試行錯誤の末とは言え間違ってはいなかった。ADV,KMRともに改良の余地はまだある。現在ではKnock Control SystemをMulti-Map化してAnti-lag Systemの改良をはかっている。

■Lag-Less Systemの可能性

ターボを採用する限り、Turbo-Lagと発進トルク不足解消は望みようがないと信じられているが、小排気量エンジンにターボで最大出力とトルクを確保し、しかも発進トルク、Turbo-Lagの問題を解消できるシステムが存在するとしたら夢のようであるが、可能性は十分にある。

Keywords:Linear Accelerator Quantum Mechanics専門家の協力が得られれば、内燃機関のさらなる進化がある。
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