Volume
1
クリスマス・イブをなくそう大作戦
私が通っていたのは某女子大である。そもそも女子大に行くつもりなどまったくなかったのだが、高校三年のとある秋の日、偶然出くわした友人が「私、○○女子大、受けるねん!」と言ったことに端を発し、私が通ってしまうことになるのである。 大学に入ると周りは当然女子学生しかいない。コンパやサークルの勧誘などでさぞや華やかと思われる女子大も、ここの大学は無縁であった。さすが「イモ」にたとえられるだけあって、お嬢様大学からは程遠い…。 みんながみんな「イモ」であるはずはないのだが、なぜか私の周りはプライベートもさみしいメンバーばかりがそろっていた。注)ニャロメとは仮の姿、大学ではPちゃんと呼ばれていた。 P「クリスマスどうする?」と12月のとある日。 M「なぁなぁ、Pちゃん、みんなでひろこんちに集まってパーティしよ〜」 P「それはなかなかナイスなアイデアやね」 M「23日な!」 P「え、クリスマスパーティやろ?それなら24日やんか(笑)」 M「違う違う、クリスマス・イブをなくそう大作戦や」 P「???」 M「24日に寂しく過ごすのはいややろ〜だから23日に徹夜で遊ぶねん。そしてフラフラのまま24日も一日頑張るやろ〜そしたら24日夕方にとっとと寝てしまって起きたらもうクリスマスイブは終わってるねん!!」 P「…素晴らしい!!」 その思いつきもさることながら、参加メンバーが多数存在したのも今よくよく考えてみると、かなりヤバイ状況であった! 当日(もちろん23日)。 夕食をひろこんちで飲んで食べて騒いでいるうちにいい気分になってきた。私はジンが苦手だった。今はそうでもないが当時はイマイチなじめなかった。席を立って、帰ってくると飲みかけのカクテルの量が増えている。 P「あれ、なんか増えてるけど…」 H「入れとたで〜」 P「えー、もう飲まれへんで」 H「大丈夫やって、水入れ足しただけやから」 P「ほんま?ジンと違うやろな…(匂ってみる)うーん…」 H「水やって。Pちゃん。さ、さ!」 P「そやな、におわへんもんな」 入れ足した液体は間違いなくジンであった(笑)。それに気がつかないオバカな私はそれから何杯飲んだのだろう…?水割りと油断したものは、実はジン割であった。すっかり頭は思考能力を失い、いい気分を通り越して、変な気分であった!!するとカラオケに行こうということになったようだ。へんてこな私の正体が面白いようで、受話器を渡された。 H「Pちゃん、カラオケ行くから、カラオケ屋電話しよ」 P「??、カラオケ♪カラオケ♪」 H「ハイ。電話かけるから、予約して」 P「ん?ん??」 (カラオケ屋)「ハイ、○○です!」 P「あのぉ…、あのぉ…、カラオケしたいんですよぉ!!(大声)」 (カラオケ屋)「……」(どう答えていいかわからない) そんなにデカイ声で訴えられてもカラオケ屋もさぞかし困ったことだろう。即座に受話器は取り上げられ、みんなには大笑いされ、私はわけがわからなかった、というのだけは覚えている。どうしてあんなにへんてこになってしまっていたのだろう?なぜジンに気がつかなかったのだろう?なぜ私はパーティに参加しているのだろう?? おしまい。 後日談・・・23日は結局徹夜にならず寝てしまったような気がする(もう忘れたけど)。そして24日は夜までテレビを見ていたような気がする(もう忘れたけど)。結局23日パーティしたのは、クリスマス・イブイブ大作戦だったのか!? そして次の年もまた集まったような…(苦笑)。 |