太田すうがく道場・学習と思考の手引
〜受験で終わらない真の知性と理に適った思考の確立を目指して〜

◆太田すうがく道場・学びの流儀
1 頭脳は思考の実験室と心得、「人は如何に考えるか」をテーマに思考技術の鍛錬と探究を行うこと。
★入試合格力などはその結果として付いてくるもの。
入試合格のみを目的とする学習姿勢は真の思考力と健全な価値観の発達を損なうものでしかない。
2 理に適ったものの考え方を確立することにより、偶然的思考から必然的思考への転換を図ること。
★創造力・独創性はそのような安定・堅固な基礎思考力の礎があって初めて展開されるもの。
3

思考を楽しみつつ、思考技術の探究者としての意地と問題解決への執念を持つこと。
★苦しみなくして成長なし。

4

主体性と積極性を持って、思考トレーニングに取り組むこと。
★やらされ勉強・指示待ち勉強からの脱却。問題意識と行動力なき者はどこまでも責任転嫁を続けるのみで、
自立した思考力は永久に身に付かない。。

5

学校教育・受験教育の枠、文系・理系の壁を超えて学び、考えること。
★広い視野、自由な心で学べば、知的好奇心が自らを突き動かしてくれる。

6

学習・思考の本質を見据えよう。
★道を究めた人々の言葉の中から、自らが思考トレーニングを通じて感じ取った学習・思考法則との共通点を見出し、
学習・思考の本質を見据えよう。


◆演習後の思考整理
1

オリジナル思考技術集の作成
一連の思考過程をたどって問題解決につながったターニングポイントを確認し、
そこから次に生かせる思考技術を抽出してノートに整理する。

●自らの言葉・表現で簡潔にまとめる。例を付しておくとよい。
●演習を重ねる中で改変・統合を行い、より洗練された思考技術集にグレードアップしていく。
※問題集の解答を読んで単に解き方を暗記して済ますような勉強は決して主体的に問題を解決する能力につながらないので、
絶対にしないこと。
問題集の解答などは単に論理のつながりを示しただけの表向きの解説にすぎず、
実際の思考過程
(思考の舞台裏)とは内容も流れも異なるものである。

2

公式・定理の証明
用いた公式・定理についてすべて導出できるかどうかを確認する。
→これによって、その公式・定理が他のどのような公式・定理等の上に構築されているものであるかがわかり、
応用力が強化される。

※演習の際、公式・定理等を忘れても極力、公式集などを見ることなく、持っている知識から導出してしのぐようにすること。

3 別解の検討
他の解法も検討してみる。→思考力に幅と柔軟性を付加し、学力のさらなる安定化を図る。


◆演習で行き詰ったときの思考チェックポイント
1 直観と論理の連係 論理によらずに想起する直観(経験的情報、類推、比喩、全体の均衡等に基づいて即自的に起動する知覚)を
十分に働かせたか。
且つ、その直観に対して論理的裏付けを取り、その真偽を確認した上で思考を進めたか。
2

各手順の根拠・理由

各手順についてその根拠・理由を確認しつつ論理展開したか。(なぜ?を考える。)
3 各手順の論理的整合性 各手順が論理的につながっていることを確認しつつ論理展開したか。
●「A(同値)」か、「AB」か
4 用語・概念の意味・内容 使われている用語・概念について、その意味・内容を明確に捉えられているか。
●自分の言葉で説明できるか。(〜とは?を考える。)
5 書面主義 導出過程を紙面に記号・言語などを用いて示したか。
(頭で組み立てたことの中に論理のごまかし・瑕疵がないことを確認する。)
6

整然かつ簡潔な論理構成

答案全体が整然かつ簡潔に論理構成されているか。
●読み手にその骨子が円滑に伝わる答案であるか。(客観的視点で見て筋が通っているか?を確認する。)

7

視覚化

思考対象を図表化したか。
●仮定およびそれから得られた情報、設定した未知数をその中に書き込む。
●図は出来るだけ仮定に忠実にそれらしく描く。
→図を描く過程を通じ、潜在する事実を直観で捉えやすくなる。

8 具体化(個別化)と抽象化(一般化) 「例えば」、「要するに」を考えたか。
9 問題・因果関係の整理

問題の骨子を整理し、何が因(答を決定づける必要十分な条件)であるかを見極めて考えたか。
●図を自分で描き直してみることによって、何から決定されているかを確認。
●結論を動かしてみることによってこれと抵触する仮定を探す。
●複数の変数に対して独立変数、従属変数を峻別する。
●因の捉え方・記述形式は必ずしも一意的ではない。柔軟に考える。

10

思考の柔軟性(ゆらぎ)

頑強に当初の方針・固定観念で押し切ろうとせず、思考展開の状況に応じて柔軟に打つべき手を探ったか。
11 その他

■問題と関連性のある公式・定理に結びつけるように考える。
■仮定と結論との距離を近づけるように考える。

■分析と統合(例:空間図形の中から問題の核心を含む平面を取り出して考える。)
■単純化・デフォルメによる本質把握 
■既知量と未知量の計量単位・次元に着目して適用公式・定理を考える。
■単位当たりを考える。
■一般性を失わない範囲での制約 
■思考実験の活用

(2010.1.23作成版)

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