算額(5)・師範の考察(ヒント) |
(1)伊太郎君の解法の間違いについて 点Aから点Bへの経路は確かに10!/(6!4!)=210通りありますが、 問題はそれぞれの経路を通ることが「同様に確からしい」かどうかです。 そこから伊太郎君の間違いを指摘していただきたいと思います。 (2)正しい解法について 点Aから点Cに行くには5!/(3!2!)通りの経路がありますが、そのいずれについても 北行きと東行きの分岐点を5つ経て点Cに至ります。 このことから点Cを経由する確率を求めて下さい。 (3)「同様に確からしいこと」の重要性 ◆柳瀬睦男著『科学の哲学』(岩波新書)に述べられている話をここに引用させていただきます。 火星に犬はいるか? わからないので対称の原理から「いる」「いない」の確率をそれぞれ1/2とします。 では、猫はいるか?やはりわからないので同様とします。 猿は?豚は?…全て同様とします。 すると、犬、猫、…の哺乳類がいずれも存在しない確率は1/2×1/2×…でほとんど0になります。 つまり、犬、猫、…の哺乳類のいずれかが存在する確率はほとんど1となります。 しかし、何かおかしいような気がしますよね。 では、情報がほとんど届かないほど太陽系から遠く離れたところに地球型惑星があることが 発見されたらどうでしょうか。まあ、何かいてもいいような気がします。 つまり、確率論というのは 本来非数学的な概念である「確からしさ」を数学的なものに乗せようというものだから、 初めにその「確からしさ」をどう決めておくかはっきりしておかないと、 その後の論理がいくら正しくても、いろいろおかしなことが起こってくる可能性があるということです。 |