算額(6)・師範の考察(ヒント),解答
(1)まず、箱の選択を変えない場合を考えてみてください。
 最初に3つの箱の中から1つを選んだ時点で金貨を引き当てている確率は1/3です。
 その後、ゲーム進行係が残りの箱をどうしようと、
 箱の選択を変えないのですから、金貨を引き当てる確率は変わらないはずです。
 例えば、9万回ゲームを試行すれば、
 金貨を引き当てる回数がおよそ3万回位に落ち着くだろうということは十分納得できると思います。

 だから、逆に箱の選択を変える場合、
 金貨を引き当てる確率は1-1/3=2/3 と考えられます。

(2)一方、次のように考えた人もいるのではないでしょうか。
 ゲーム進行係がはずれの箱を1つ取り除いた時点で残った箱は2つで、
 いずれに金貨が入っているかは依然わからないままだから、
 箱の選択を変えようと変えまいと確率は1/2で有利・不利の差はない。
  
 しかし、はずれの箱が1つ取り除かれても
 金貨が最初に選んだ箱の中にあることと、もう1つの箱の中にあることとが、
 「同様に確からしい」と考えたのは実は錯覚なのです。

(3)これを理解するために、
 当道場の「学習・思考の奥義」の中から、次の思考原理を用いて考えてみます。
 ■条件をデフォルメして考える。学習・思考の奥義のページを確認

 すなわち、この問題では箱が3つでしたが、例えば箱が1億個あるとします。
 そして、その中の1つに金貨が入っています。
 さて、まず初めにゲーム参加者は1億個の箱の中から1つを選び取るのですが、
 この中に金貨が入っている確率はほとんど0に近いと考えられます。
 逆に、このとき選び取らなかった箱のいずれかに金貨が入っている確率は
 ほとんど1に近いことになります。
 そして次に、ゲーム進行係は選び取られなかった箱の中から、
 1つの箱を残し、他のはずれの箱をすべて取り除きます。
 さぁ、ゲーム参加者は箱を選び変えた方が有利か否か。

 答は明白だと思います。
 すなわち、箱を選び変えるか否かは、
 金貨が最初に選び取った箱の中にあるか、
 それとも、選び取らなかった残りの箱のいずれかの中にあるか、
 そのどちらに賭けるか、ということと同等であるわけです。

(4)なお、この問題は「モンティ・ホール・ジレンマ」と呼ばれているもので、
 Paul Hoffman著・平石律子訳『放浪の天才数学者エルデシュ』(草思社)に紹介されています。
 ここでは表現を変えて掲載しました。
 この本によれば、天才数学者エルデシュでさえ、この問題を間違えたそうですから、
 我々凡人がどうして間違いを恐れることがありましょうか!
 堂々と考え、堂々と間違え、堂々と考え直して、
 知力をひとつひとつ高めていけばいいではありませんか!

                                                  答:(ロ)

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