算額(S1)・道場研究レポート |
☆ 出典図書の解法 市松模様になるよう、 偶数行目・偶数列目と奇数行目・奇数列目の桝目を黒、残りの桝目を白で塗り潰す(×の個所を除く)。 すると、1枚のタイルには必ず黒の桝目1個と白の桝目1個の1ペアが対応する。 よって、タイルが敷き詰められるとすれば、黒の桝目と白の桝目は同数でなければならない。 しかし、黒の桝目…2n2−2個,白の桝目…2n2個 で同数でない。 従って、この場合タイルを敷き詰めることはできない。 ☆ 別解の検討=当道場で市松模様のアイデアによらない別解を検討しました。 タイルを敷き詰めることができたとして、タイルの縦置き・横置きに着目する。 但し、2枚の縦置きタイルよりなる2cm×2cmの正方形エリア、 及び同じ2つの行に跨る2枚の縦置きタイルで横置きタイル群を両側から挟み込んで作る2cm×2k cmの 長方形エリアは、全て横置きに置き換えるものとする。 第1および2n行の桝目(×の個所を除く。)は奇数個、それ以外の行の桝目は偶数個だから、 第1〜2,2〜3,…,2n-1〜2n行の縦置きタイルはいずれも奇数個である。 まず、その配列を上から下に向かって追っていく。 第1〜2行の縦置きタイルのうち、最右端のものT(1〜2)とすると、T(1〜2)は偶数列目で、 これによって第2行は左側が奇数個の桝目、右側が偶数個の桝目に分断される。 次に、第2〜3行の縦置きタイルのうち、 T(1〜2)の左側にあって、且つこれに最も近いものをT(2〜3)とすると、T(2〜3)は奇数列目で、 これによって第3行は左側が偶数個の桝目、右側が奇数個の桝目に分断される。 さらに、第3〜4行の縦置きタイルのうち、 T(2〜3)の右側にあって、且つこれに最も近いものをT(3〜4)とすると、T(3〜4)は偶数列目で、 これによって第4行は左側が奇数個の桝目、右側が偶数個の桝目に分断される。 以下同様に考えれば、 上記と同じルールで設定される第(2n-1)〜2n行の縦置きタイルT(2n-1〜2n)は偶数列目で、 これによって第2n行は左右両側とも奇数個の桝目に分断される。 よって、タイルが敷き詰められるとすれば、 タイルT(2n-1〜2n)よりも右側で、且つ2n-1〜2n行目の奇数列目に 縦置きタイルが存在しなければならない。 ところが、そのように仮定し、先と同様のことを下から上に向かって逆の流れで考えれば、 奇数列目の縦置きタイルはその両側の偶数列目の縦置きタイルの間に必ず配列されることになるので、 タイルT(1〜2)より右側で、且つ1〜2行目の奇数列目の縦置きタイルが存在しなければならないことに なり、初めのT(1〜2)についての仮定に反する。 従って、この場合タイルを敷き詰めることができない。 ふう−っ、やっと終わった。 ☆ まとめ 出典図書の解法には目から鱗が落ちました! 台所の市松模様のタイルから思いついたというのですが、 そのような遭遇がなくてこういう発想に至るにはどう考えたらいいのでしょう。 多様な並べ方に一定の規則を見出すため、 タイル半分(1cm×1cm)を黒、残りを白に塗り、同色同士は隣り合わないというルールを作って並べてみる うちにどう並べても市松模様ができることに気付くでしょうか。 実際は色分けタイルでない場合でもタイルの縦横配列の態様を狭めることにはなりません。 そこで、当道場の「学習・思考の奥義」の中に ■ 一般性を失わないところまで、区別・制約を加える。 ⇒学習・思考の奥義のページを確認 という項目を加えることとしました。 それにしても、ちょっとした工夫で思考の負担がこんなにも軽減されるなんて、面白いと思いませんか。 |