算額(S2)・道場研究レポート |
☆ 出典図書の解法 (1) 例えば、黒石●を0、白石○を1と置き、各行をひとつの整数とみる。 (2) 整数とみなされた各行を上から下へ小さい順に並び換える。 (3) すべての連続する2行(1・2行,2・3行,…,n-1・n行)同士を第1列から右に向かって比較し、 両者が初めて異なるところの列番号を拾い上げる。 (4) 第1〜n列のうち、拾い上げられていない列番号が必ず1つあり、その列番号の列を取り除いても すべての行はやはり相異なる。 ☆ 別解の検討=当道場で別解を検討しました。 (1) n×nの正方形盤において任意の1列を取り除いたときに 同じ並びになる2つの行がただ1組必ず存在するものと仮定する。 (2) 今、第k列を取り除いたときに第i行と第j行が同じ並びになることを第2図のように表すこととすると、 上記の仮定は○と―の連結した群で表記することができるが、 ―はn本、○はn個以下でなければならないから、 少なくとも1つのループを有する群が存在しなければならない(第3図)。 (3) しかし、ループが存在するということは、 1つの行において異なる列を次々変更していって元に戻ることを意味するもので、起こり得ない。 (4) よって、上記仮定は成り立たない。 また上記仮定に代えて、 任意の1列を取り除いたときに同じ並びになる2つの行が1組以上必ず存在するものと仮定しても 同じである。 (5)ゆえに、ある1列を取り除いたときに異なる並びになる2つの行が必ず存在する。 |
☆ まとめ 当道場の別解は背理法を用いたのに対し、 出典図書の解法は、 同じ並びが生じないように取り除くことのできる列が存在することを直接示しています。 そのため、かなり高度な論理の組合せで構成されています。 出典図書の解法における思考ポイントは次の点です。 (1)石の配列を整数に対応させていること。 (2)A≠B,B≠C,C≠Dであっても、必ずしもA≠Dとは言えないことから、 A<B<C<D…のような並び換えをしていること。 (3)上記(2)のことから、1列を取り除いたときにもA<B<C<D…の関係が保たれなければならない。 この要請に基づき、 連続する2行の異なるところの列番号を拾い上げる作業は第1列から右に向かって行っている。 つまり、この解法は、(1)で、ものの並べ方→数(序数)へと対応付けることによって、 以降数的処理で問題を解決しています。 数への対応も一種の記号化でしょうから、 当道場の「学習・思考の奥義」の中の ■ 図・表・記号等で思考を可視化・空間化する。 ⇒学習・思考の奥義のページを確認 という項目に含まれるものと考えます。 また、当道場の別解も記号化・図式化によるものなので、同様です。 |