思考原理の説明(11)
1)[問題] 正の数x,yが 2/x+3/y=1 …@ を満たすとき、xyの最小値を求めよ。
2)この問題は、相加・相乗平均の関係を用いても解けますが、
ここでは1文字を消去する、という基本的な手法で解くこととします。
しかし、@式をyについて解くと、y=3x/(x−2)
よって、xy=3x2/(x−2)となり、x=2で不連続のちょっと複雑な分数関数になります。
これでも、xで微分して関数の増減表を作れば答は出ますが、ちょっと厄介です。
3)そこで、@式が線形ならばいいのになぁ、という願望のもとに
1/x=u,1/y=v と置きます。
この変換によって、この問題は
2u+3v=1 …@’
という線形の単純な条件の下に
uvの最大値を求める問題に置き換わります。
以下、
uv=u(1−2u)/3=(−2/3)(u−1/4)2+1/24
となり、
u=1/4,v=1/6のとき、uvは最大値1/24をとる。
これより、
x=4,y=6のとき、xyは最小値24をとる。 …(答)
4)上記解法は、
@式のままではx,yがちょっと歪んだ複雑な関係にあって扱いにくいので、
一旦、1/x=u,1/y=v という線形の単純な関係に換えて計算処理をした後、
これを逆変換して答を求めたものであり、
この例から、単純形に持ち込む工夫は思考の負担を軽減し、見通しをよくすることがわかると思います。
5)なお、この例は、
「そのままでは計算処理が難しい場合に、ある変換を施し、そこで容易に計算処理をした後、
逆変換で戻ってくるという手法」
と捉えますと、
これは、例えば、
ラプラス変換を応用した微分方程式の解法、すなわち、
「微分方程式に対し、ラプラス変換を施して代数方程式に換え、その解を逆ラプラス変換で微分方程式の
解に戻す方法」
と同じ構造をもった解法とみることもでき、そういう観点で捉えても面白いと思います。