思考原理の説明(2)
1)中学生になっても「速さ」に関する計算が苦手という子供は少なくありません。
しかし、単位系に着目すれば、「速さ」に関する公式は簡単に作ることができます。
2)例えば、単位系を
・距離→km
・時間→h(時間)
・速さ→km/h …速さは単位時間当たりに進む距離だから、こうなる。
(自動車のスピード・メーターなどにも、このような単位が記されている。)
とすれば、
「速さ」に関する公式は、これらの単位系の関係から下記のように容易に引き出せる。
・km=(km/h)×h ⇒(距離)=(速さ)×(時間)
・h =km÷(km/h) ⇒(時間)=(距離)÷(速さ)
・km/h=km÷h ⇒(速さ)=(距離)÷(時間)
3)上記の例は速さの定義から当たり前と思われるかもしれませんが、物理関係の計算において、
公式の適用に間違いがないかどうかをチェックするひとつの方法として、求めた量の単位系が
適正なものになっているかどうかを確認することはよく行われることであり、
「速さ」に関する計算においてもこのチェック法が公式適用のミスを防止するのに有効な手段となる
と言えるわけです。
4)また、ときどき、円周の長さを(半径)×(半径)×(円周率)としてしまったりする子供もおりますが、
これなども、例えば半径の単位系をcmとしたとき、求めた量の単位系はcm×cm=cm2となって、
これが長さではなく、面積であることがすぐにわかるのです。
5)複数の物理量間に成り立つ関係式を、それらの物理量の単位系に着目することにより推定する
「次元解析」という手法があることを考えても、単位系が物理量を扱う際の重要な要素として位置付け
られることは間違いありません。
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