思考原理の説明(7)
1)「y=3x-2のグラフを描け。」
このような問題に対して、「グラフの描き方を忘れてしまいました。」と言って何もしないで手をこまねいて
いる子供がときどきいます。
聞いてみると、
「y=ax+bの中のa,bがそれぞれグラフの何を表しているか、ということを学校で習ったのだけれど、
それが何だったか覚えていないので、どうすることもできない。」
だいたい、そんなことを言います。
2)しかし、グラフ描きの基本は通過すべき点を打っていってそれを繋ぐということです。
理科や社会の勉強で、得たデータをグラフに整理するとき、そのような作業をしているはずです。
だから、グラフに関する知識がなければ、まずこの原始的な方法、素朴な方法に立ち返ってグラフを
描いてみればいいと思うのです。
すなわち、x=0,±1,±2,±3…に対するyの値を求めて、それに対応する点を座標平面上に打って、
それを繋いでみるという作業をするのです。
そうすれば、一応グラフは描けるはずですし、そういう作業を通じて、
「あぁ、このグラフは直線で、どこでもxが1増えると、yはa増えているようだ。ということは、aが大きく
なるとグラフの傾きは大きくなるんだな。」とか、
「このグラフはy軸とbのところで交わるんだな。」とかいうことが見えてきます。
こういう知識は自分の手と目と頭を使って体得したものなので、人から単に教えられたものとは異なり、
簡単に忘れてしまうようなことはありません。
従って、このようにして得た知識は確実に次の合理的な方法へと押し上げる力になるのです。
3)進学校や予備校の中には、すぐに、解法パターンを覚えて解く練習をさせるところがあるようですが、
そういう方法は、一度行き詰まったときに自ら突破口を切り開く術を持たせないことになるので疑問に
思います。
受験勉強の効率アップに寄与しているつもりなのでしょうが、「教育」というサービスは、一般のサービス
とは異なり、親切が却って害になることも往々にしてあるので、気を付けなければいけません。