【大きな木の下で 3】<2007.1.1>

※阿部女体化ものです。苦手な方は要注意※




 包み込んだはいいがその後をどうすればわからなくて、三橋は阿部の胸に、ただ触れているままでいた。
 体が固まってしまって動かない。すると、阿部が三橋の手の上から自分の胸を揉みこんだ。途端に、なんともいえない感触が伝わる。思わず声が上がる。
「うあ」
「ナニ?」
「あ、あ、あの、すごく」
 三橋はやわらかいデス、と真っ赤に染まりながら感想を言い俯いた。頭上で阿部が小さく笑う。
「ちゃんと見ろって。頼んだ意味がねーだろ」
「た、頼……」
 三橋がガバリと顔を上げた。が、視界に飛び込む阿部の胸とそれを触っている自分の手に怯み、再度、俯く。
 はずかしい。見れない。だけど。
『頼むよ、三橋』
 言われた言葉を胸の中で繰り返す。
 三橋は頼まれると弱い。というか、頼りにされた経験などほとんどないから嬉しくなる。
 初めて阿部にそう言われた時は信じられなかった。
 なんて、言ったの、今? 気のせいだと思った。まさか、自分を相手にそんなことを言う人がいるわけない。
 だけど阿部はその後もその言葉を言い続けたのだ。頼んだぞ。頼むから。頼むぞ。何度も言ってくれる。自分に自信が持てない三橋には半信半疑の言葉だったが、阿部は毎回、力と気持ちを強く込めて言ってくれた。本気で頼りにしてくれているというのがわかって、とても嬉しかった。そして最近は、試合の場面じゃなくても時々、頼みごとをしてくれる。それは三橋個人を認めてくれているということで、もちろん、今も。
 ――あ、阿部君も、この、むっ、ム、ムムムムム、ムネに、すごく困ってて……っ。
 阿部君を助けたい。力になりたい。どんな小さなことでも。
 三橋は、口内に溜まった唾を飲み込む。そして今度こそ阿部の胸に視線を集中させた。
 今の自分のシメイは、ムネのツナギメを探すコト。
 やわらかいふくらみを自分から揉んでみる。嘘みたいな感触。こんなにやわらかいものが人体につくなんてあるんだろうか。
 胸のまわりを指でなぞってみても繋ぎ目みたいな部分はまったく見当たらなかった。
 近くじゃないということは、つくとしたらもっと下からかと、上腹部をさする。そこも、やわらかい。いつもの筋肉の硬さもなかったし、なにより細いような気がした。見落としがないかと何度も何度も下乳を中心に触ってみる。いつのまにか三橋の手の上から阿部の手がなくなり、荒い呼吸が聞こえてきた。
「阿部君……?」
 目に飛び込んできたのは、ふくらみの上でピンと尖ったふたつの乳首と、上気した阿部の顔、小さく喘ぐ阿部の唇。
「――っ」
 瞬間、三橋の頭の中でぶちりと何かが切れた音がした。
 三橋は立ち上がり、阿部の腰に手を回す。いつもよりも腕が余る。そう、横幅も厚みも全然ないのだ。力を入れたら壊れてしまいそうなほど、どこもかしこもやわい。なかでもやわらかいとさっき知ったばかりの胸の片方を今度は意識して揉んだ。
「あっ」
 手のひらに乳首が当たり、阿部の首が仰け反る。仰け反った場所に吸い寄せられるように三橋は唇を当てた。
「ん……っ」
 首筋を吸い上げ、阿部のそこに赤い斑点をいくつもつけながら、右手の親指と人差し指で胸の尖りを摘む。阿部の膝ががくりと折れ、崩れそうになるのを腰を抱いていた腕でしっかりと抑えた。左腕に阿部の重みを感じながら、三橋は指の動きを進ませる。
 摘み、捩じって、引っ張り、前後左右に押し倒す。
「ぁ、は……ッ」
 白い肌に赤味がかかったような気がする。白からほんのりと赤く色づいたふくらみに、三橋は夢中でかぶりついていた。
 舐めて、歯を当て、軽く齧って、強く吸い上げる。指は絶え間なくやわらかい部分を揉み続ける。
 小さいけれど確かに聞こえる阿部の嬌声が三橋の行動と興奮を加速させた。
 片方をしゃぶりながら、もう片方を指で激しく弾く。阿部の体が、腰が焦れるように揺れる。
「っ、あ、あ!」



 いつもより感度が増している気がする。
 三橋に齧られ、弄られる突起からの痺れを伴う快感が全身に伝わる。
 少しでも離されると物足りなくなり、阿部は、三橋の頭を抱いて愛撫を要求した。
 三橋に支えられることで立っていられていた体がどんどん床に向かって沈みこむ。もう、三橋の頭や肩にしがみつくのも限界だった。
 座りたい。
 そう言おうとした瞬間、阿部から上がったのは激しい声で。
「んあ……っ!」
 三橋が、ズボンの上から阿部の前を触ったのだ。乳首からの刺激では比にないくらいに衝撃が走る。引けた腰が壁に当たり、そのまま壁と三橋の体の間にへなへなと座り込む。
「お前、急に……っ」
 なにするんだと言おうとして言えない。
 三橋が阿部の両膝を左右に割って、さきほどの場所にまた触れてきたからだ。
「あっ」
 擦り上げられてまた声が出てしまい、慌てて口を抑えた。
 三橋の指は何度も何度もそこを往復し、三橋の目はそこしか見ない。
「……っ……ッ」
「――ない、ね」
 その言葉で三橋が何をしているのか理解する。
 三橋はいつもなら固く盛り上がり興奮を告げる阿部の欲望を探していたのだ。もちろん、女の体になった阿部にそれがついているわけがなく、おそらく三橋にとっては未知の感触に違いない。
 いつもなら性器がついているはずの場所に三橋の指が触れるたび、腹筋が引き攣る。
「は……っ」
 体の中から何かが出てきたのがわかった。
 熱いそれはじわり下着を濡らす。
 気持ち悪い。なんだ、これ。
 そう思うのと同時に別なことも思う。
 じれったい。直接、さわって欲しい。
 言ってみようか。言えるか? やっぱり言えない。 
 自問自答して無理だと思った言葉がある。
 ――脱がして。
 三橋が気づくように、腰を浮かせてみたりする。後から考えればいっそ自分から脱いでしまった方が恥ずかしくなかったのではと思うのだが、この時は阿部もいっぱいになっていて、ベルトを外す余裕すらなかったのだ。
 気づけば自分から三橋の指に腰を当てに行っていた。
 下着の染みは広がっているような気がする。だって溢れて止まらないのだ。
 そしてそれは相当な量だったのだろう。三橋の指が滑らなくなった。一点で止まる。ズボンにすら染み出した液体の湿り気で、指が動かない。
「ぁ、べ、くん……っ」
 欲情を含んだ三橋の声が阿部の体を支配する。動けない。
「脱がす、ね」
 三橋は阿部の腰を引っ張り、倒すことのできるスペースを確保すると、阿部を畳の上に寝転ばした。 
 不器用な手にベルトが外される。ズボンと下着をひといきに膝まで引き下ろされて、阿部は目を瞑った。
 これから、自分さえ見たことのない箇所を、三橋が見るのだ。
 また体内から液体が製造される。さっきまで下着に吸い込まれていたそれは、染み込む場所を失い、後ろに流れた。
 三橋は阿部の左足から、脱がしたズボンと下着を引き抜くと右足を抱え上げ、未知の場所を覗き込む。
 ごくりと唾を飲み込む音が聞こえる。
 視線が秘部にそそがれているのを感じる。
 はずかしい。だけど焦れる。焦らされる。早く、指でも何でもいいから、視線以外のものに触れて欲しい。
 するとぴたりと何かが当てられた。液体を分泌している場所の入口に。
 ――これは。
 何度も握り、舐めたこともあるものを思い浮かべる。
 これは三橋の、ひとさしゆび。
 それがつぷりと阿部の中に飲み込まれた。少しの抵抗もなしに。
「――っ」
 入口付近で指が蠢く。タコのできた指に阿部の内壁が絡んでいるのがわかる。
 感覚から想像できる映像はとてもいやらしい。
 三橋の指がおそるおそる動く。やわらかい、とか、きもちいい、とか、余計な感想を小さく呟く声も聞こえる。
 やがてそれに中指が加わった。
 太く、少しだけ奥に入れるようになったそれが内部で曲げられたり開かれたりしている。
「っ……ふ……ぁ……っ」
 後ろを弄られるのと同じような、だけど違う感覚が阿部を襲う。
 触られ、広げられるたびに分泌液の量は増え、耳を塞ぎたくなるような音が部屋に充満し始めた。
 こんなあられもない音を上げているのが自分にできた新しい孔と三橋の指なんて。
 文字通り耳を塞いでしまいたかったが、耳に手をあててしまっては今度は口からの嬌声を抑えることができない。阿部は必死に聴覚を手放そうと努力するが、当然実行できずに、触覚と聴覚とに犯される。
 三橋の指が奥から入口までを往復する。
 激しく突き入れられて、阿部の背中が綺麗な弧を描いた。
 声が洩れる。
「あ、ああ――ッ!」
 頭が真っ白になり、体の奥が震える。
「……っ」
 もの凄い浮遊感と共に、一瞬、意識が遠くなった。
 阿部が現実に戻ったのは、さっきまで指が入り込んでいた場所に、熱くて太い楔が打ち込まれたせい。
「っ!」
 例えようがないくらいの快感が阿部を貫いた。



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