世界遺産ブリッゲン


 ノルウェーの第2の都市ベルゲン(人口23万人)は、古くからの国際港で、現在は北欧で有数の観光地となっています。その港のすぐ目の前に建つ古い街並みが1980年にユネスコの世界遺産に登録されました。それがブリッゲンです。(ブリッゲンとは波止場の意味)ここには中世に建てられた色とりどりの長屋が建ち並んでいます。12〜13世紀にはベルゲンはノルウェーの首都になったほどですから、かなり栄えた港町だったと思われます。右の画像は港。



 建物は切り妻屋根で妻面を波止場に向けて建っており、全部で60くらいの建物が残っています。これらの建物は1200年頃から建てられ、何度も火災に遭いましたが、修復されてきました。
 特に1955年に大きな火災によって建物の半分が消失してしまいました。その時から防火体制が見直され、保護に当たって財団が作られました。

 建物は、だいたい3階建てになっています。右の画像ではわかりにくいのですが、上部に出っ張った小屋根がありますが、ここにリフトが付いていて、商品を上の倉庫に運び入れ保存していたようです。
 また、建物はほとんどが木造で、いくつかの長屋がつながっています。(全てつながっているわけではない)
 そして一番端の建物が石造りとなり、そこが防火装置付きの耐火庫になっていたそうです。

港側の表通りに面している建物は、そのほとんどが土産物屋さんになっていますが、その後ろには、普通のオフィスやレストランなどがテナントとして入っています。建築設計事務所(左側下から3番目)も入っていました。
 単なる保存ではなく、使いながら保存していく方が、維持管理の手も入りやすいのでしょう。

さらに奥に進むと右のような寄せ棟の建物がありました。こちらも使用しているようなのですが、いったい何に使われているのか分かりませんでした。裏に公園もあったのでもしかしたら住宅なのかも?
 これらの建物も昔から伝わる建築工法を用いているのでしょう。

左の画像では一部新しい材料が使われているのが分かると思います。ブリッゲンの保存方法で特徴的なのは、たとえば柱を補修する際、15センチ角の太さであれば、通常16センチ角程度に製材したものをかんなをかけて15センチ角にすると思いますが、ここでは20センチ角くらいの材料を鉈(なた)で仕上げるという、昔ながらの工法を選択しています。非効率ではあるけれど、技術の継承もしっかり行っているのです。このように常に当時のやり方で保存・修復するところが、世界遺産になり得るのでしょうね。
現在この地区では、建物の一部が沈下しているという心配な出来事があります。特に深刻なのは、1709年建設、1761年に改築されている、Bredsgardenという建物で、年間約8ミリメートルずつ沈んでいるそうです。
これに対して専門家が調査を行って現在対策を練っているところなので、なんとかよい解決策が見つけられることを祈っています。
建築に興味が無くても、このカラフルな建物は、観光客の目を引きつけ、また土産物屋もいろいろな商品を並べてお客さんを待っています。ベルゲンは他の北欧都市に比べ物価が高いと言われますが、観光地料金だからでしょうか?それでも食べ物は安くておいしいお店もありましたよ。ただし、夜はやっぱり少々値が張るお店が多いようです。シーフードを食べさせるお店が多く、夜遅くまで沈まない夕日を眺めながら、おいしい料理を食べれば、きっと値段相応の気分にさせてくれることでしょう。ぜひ訪れてみてください。



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